第704話 料理と香り
単純に悪霊の有無を調べれば良いだけでは無いので時間が掛かるだろうと、今回の事故物件鑑定は1日2件、2件目は私たちが鍵を預かってタクシーで行くことになっている。
かび臭物件に関しては青木氏に電話でカビが怪しいのではと伝えた。
メールだけだとちょっと素っ気ないし説明不足かもだからね。
その後は先にランチを食べることにして、近くにあったちょっとお洒落なイタリアンに入る。
「そう言えばさ、なんか最近窓を開けていると微妙にニンニク料理の匂いが漂ってくる気がしない?」
オーダーを終えた碧がふと聞いてきた。
11月だったら本来なら寒くて窓なんぞ開けないと思うんだけど、今年は暖かいから天気が良い日は陽が当たると意外と部屋の中が暑くなるんで、窓を開けることがあるんだよね。
そんでもって、言われてみれば確かになんか料理の匂いが漂ってくる時がある。
「暑い最中はクーラー一択だったから気にならなかったけど、確かに窓を開けて作業とかする様になって、微妙にお腹が空く匂いがする事が増えたよね。
下か横の部屋に料理好きなイタリア人とかイタリア系アメリカ人とかが入居したのかな?」
日本料理ってあまりニンニク匂いがするイメージは無い。
階段で上がり下りするせいか、あまりマンション内の他の住民に会わないけど・・・流石にイタリア人が居たら目に付きそう?
「・・・なんでイタリア人?
確かにガーリックブレッドとかでそう言うイメージがあるけど。
ネットで調べたら、ニンニクを一番多く食べる国って中国らしいよ」
碧が私の言葉に指摘した。
マジ?!
イマイチ中華料理ってガーリックなイメージが無いんだけど。
「なんか、中華料理店よりイタリアンレストランの方が横を通った時にニンニクの香りがしてくる気がしない?」
あと、ラーメン店とかもそれなりにしてるかも?
・・・考えてみたらラーメンも一応中華料理の一種だったっけ?
中華料理とラーメンってインド料理とカレーの関係と似た感じで、日本の一般食は本国のオリジナルと大分と違っているらしいけど。
「確かに!
でもまあ、日本人だってイタリアンとか中華とかを普通に家で作るからね。
単に誰か料理好きな人が引越して来たか、元々いた住民が料理を習うことにして家で色々と練習しているのかも?
タバコの煙が入ってくるよりはマシだから、文句を言っちゃいけないよね」
店の人が持って来たサラダに手を伸ばしながら碧が言う。
「まあねぇ。
ちょっと微妙だけど、もう直ぐ窓を開けることも無くなるだろうし。
例年だったら11月に窓を開けて換気なんて殆どしないもんね。
ちょっと今年の気象は異常すぎて心配だわ〜」
それこそ、前回の(それとも前々回だったっけ?)の大統領選挙で地球温暖化なんて科学者がでっち上げたフェイクニュースだと主張したどこぞの億万長者も、流石に今年の異常気象で温暖化の現実は認めただろう。
あれだけいい加減な事を言いまくって訴えられまくっているのに未だに次の大統領選挙の最有力候補の一人だって言うんだから、アメリカの政治も終わってるよねぇ。
日本の世襲政治家も、現実性が無いことを適当に言って散々混乱を撒き散らした挙句に党名を変えて水を濁そうとしてそれでも上手くいかなくて党を分裂させた野党も、どちらも絶望的にダメダメだけど。
国の借金が先進国で断トツなのに人気取りで減税なんて言い出す首相も、いい加減あれだけ与党・野党及び世論から不人気なんだから路線変更しろよって感じだし。
国防とか少子化とかで異次元な何ちゃらをやるとか言っておいて財源も明言しなかったくせに、ちょっと税収が増えたら人気取りにばら撒くなんてアホすぎる。
まあ、支持率が下がり過ぎたせいで総選挙がしにくくなって早期に衆議院を解散して無駄金を使えなくなったのが唯一のプラス面かな。
4年に1度で良いはずなのに、日本の首相って自分に有利なタイミングで適当なこじ付けで総選挙をしまくるせいで、衆議院選挙の頻度が高くてやってられない。
実質3年ごとにやってるじゃん!
無駄に選挙を増やすな!!
選挙カーが煩く名前を連呼しながら街中を走り回るのも迷惑だし、何と言っても選挙自体の費用は税金から出ているのだ。
そこんとこ、分かっているんかね?!
早く解散して衆議院選挙の回数を増やすなら、その分報酬辞退でもして国庫に金を戻せと言いたい。
思わず温暖化と政治家のダメダメさに関して碧と盛り上がってるいたら、ランチのピザ(碧はパスタ)が来た。
中々美味しい。
あまりニンニクの匂いもしないし。
近所の料理好きな人は一体何の料理であれだけニンニクの香りを撒き散らしているんだろ?
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