第696話 これもストレスの結果なのかな?
斎藤氏がお守りの話を持ち出した相手は、そこそこ濃厚な隈を飼っているバリキャリっぽいスーツを着た女性だった。
う〜ん、ブラック企業で仕事が忙しすぎて鬱になっちゃったタイプ?
それとも完璧主義過ぎて自分を追い詰めちゃうタイプかな?
混合タイプかも知れないが。
スーツそのものはピッタリ体に合っているようだし、セミかフルのオーダーメイドっぽいからお給料はしっかり貰っているみたいだが・・・ちょっと地味。
落ち着いた雰囲気とも言えなくはないが。
ある意味、会社で見かけたらあの隈さえなければ頼りになりそうな出来る女っぽく見えると思う。
でも、あそこまで濃い隈がある時点で仕事量の管理が出来てないね〜と評価が一段階落ちるかな。
顧客やお偉いさんに会う時とかはお化粧で誤魔化しているのかな?
週末に精神科医に会いに来るのにスーツを着ている時点でちょっと微妙だが。
週末出勤の帰りだとしてもスーツは必要なく無い?
今だったらスマートカジュアルが主流だから、女性なら露骨にスーツっぽい服を着なくても何とかなるだろうに。
まあ、頭の古い男性相手とかだったら露骨なスーツで武装する方が腰掛け・お茶汲み要員扱いされなくて都合が良いのかも知れないけど。
どうやらこの女性(戸塚さんと言うらしい)は最近体が薬に慣れてきてしまったのかまた眠れなくなってきたので、もっと強い睡眠導入剤を希望しているようだ。強力な薬は体に悪いし、一度精神的な落ち着きみたいな意味で、お守りを使ってみないかと斎藤氏が提案している。
自分も使ってみたら驚くほど効果があったし、野草っぽい匂いもするから何かアロマセラピー的な効果があるかもとの事。
そういえば、聖域の雑草が入っているからちょっと野草の匂いがするかも?
まあ、こじ付けに近いけど。
今使っているの以上に強い睡眠導入剤は肌が荒れ易いと言う斎藤氏の言葉に戸塚さんも心が動いたのか、お守りを試す事に合意した。
確かに肌が荒れていると化粧のノリも悪くなるから、ますます隈が隠せなくなるもんねぇ。
ただでさえストレスが掛かると肌がガビガビになりやすいし。
と言う事で現状の睡眠導入剤と共にお守りを併用する事で話がついたようだ。
お守りは薬とは違う次元で働くから睡眠導入剤を併用しても効きすぎるってことは無いが・・・斎藤氏と併用に関しては話し合ってないんだよなぁ。
当然大丈夫だと思ったのか、お守り効果は薬ではないから現状の睡眠導入剤にプラスされても問題ないと想定しているのか、それとも
ちょっと不安だなぁ。
それともこう言う時用に睡眠導入剤と見た目がそっくりな
まあ、2週間後に経過確認(と場合によっては追加お守りの販売)の為に斎藤氏に会いに行く事になっているから、その時に一応確認しておこう。
お守りの使い方を説明されてブツを受け取り、ジャラジャラと薬も受け取って戸塚さんは帰宅。
そこそこ駅近な1LDKだったが・・・建物のお洒落な見た目に反し、中は凄かった。
マジもんのゴミ屋敷。
いや、『屋敷』じゃ無いからゴミ『部屋』?
玄関の脇から中身がガッツリ詰まったゴミ袋が積んであり、あちこちにDMや通販の箱らしきものや通販で買った物の包装物の残骸とかが散乱している。
リビングもその奥の寝室も足の踏み場がない程だが、寝室側の壁際に洋服のラックが置いてあり、なんか今着ているスーツと似たような印象のスーツが5着程掛かっている。
下にはどしゃっとクリーニングから引き取ってきたらしきワイシャツやブラウスが山積みされている。
・・・もしかして、毎週同じ服を着て会社に行っても目立たないように似たようなスーツを揃えてるの??
それともそう言うスーツが趣味なだけなのだろうか。
よく見るとソファとかカーテンとかは中々お洒落で落ち着く感じなのに。
ゴミで埋まる前は素敵な部屋だったんじゃないかなぁ。
『特に穢れも呪いも無いし悪霊も見当たらないにゃ』
部屋の中を探索して回ったクルミが報告してくれた。
精神病(?)になるなんて、もしかしたら家に悪霊とか穢れがあるのかも?と密かに思っていたのだが、違ったか。
まあ、一応斎藤氏もそこら辺は確認できるよう医大で学んだとは言っていたけどね。
一般人が見て分かるんかね〜?と密かに疑っていたんだけど、違ったか。
となると、こんなゴミ部屋状態になっちゃったのは本人の通常なストレスからなんだねぇ。
『通常』と言う言葉に語弊はあると思うけど。
社会人生活が出来なくなるほど破綻する前に精神科医に通えているので、願わくは私生活がこのゴミ部屋状態以上に破綻する前になんとかなる事を祈っておくよ。
取り敢えず。
お守りでちゃんと眠れるか、確認だね。
魘されるようだったらクルミ経由で夢に干渉しても良いし。
ちゃんとお守りを使ってしっかり眠ってね〜。
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