第646話 情報収集手段も重要

「考えてみたら、停電とかが続いた時に携帯の充電が出来るように乾電池を多めに備蓄して充電用のアダプターみたいのを買っておくか、ソーラーパネルでも買わないと」


携帯を充電しようとして、ふと災害用の備えで残っていた点を思い出した。


「あ〜。

確かに、モバイルバッテリーとかモバイル電源だけを買っておいても、多分2、3日分しか保たないよね。

ソーラーパネルを買っておかないと危険か」

碧が頷く。


停電でテレビもネットも使えない状況だとしたら、携帯が使えなければ情報が断絶してしまう。

区の広報車みたいのが周回して重要な情報は伝えてくれるかも知れないが、あれって余程近くにまで来ていないと聞き取りにくいんだよねぇ。

煩くは感じるんだけど、何を言っているか聞き取れない範囲が大きすぎる。

その点、名前だけ連呼する選挙カーの方が音ははっきりしている。

名前だけ言って政策を語りもしていないのに投票してもらおうなんて言う虫の良い行動にはムカつくけど。


LEDライトとラジオがついた非常用の懐中電灯みたいのも買ってみたので、一応ラジオ経由で情報はゲットできるが、何分ラジオなんて馴染みがない。

携帯でワンセグ放送を見るなり、ネットを調べるなりできるようにしておきたい。


「まあ、運悪く曇りや雨が続く可能性もあるけど。

一応モバイルバッテリーを買っておいてそっちをフルにしておけば何とかなると期待しよう」

数日だったら通話とかデータ通信を最小限にすれば充電も保つだろうし。


「・・・ちなみに、ソーラーパネルってどのくらいの出力のが必要なんだろ?

なんか見た目似た様なサイズでも25wから200wまでピンキリで、値段も1万円弱から5万円ぐらいまで色々とあるけど」

碧がタブレットを見ながら言う。


「流石に25wは弱すぎそう?

かと言って最大クラスっぽい200wだったら高性能すぎて勿体無い気がするから、100wか60wぐらいで良いんじゃない?」

60wと100wでどの程度違うのか、イマイチ実感はないが。


「ワット数を決めたとしても、一番安いのを買うか、評判が良さげなのを買うか。

中々悩ましいねぇ」

碧が唸る。


「もしもの時に動いてなかったら困るから、評判が良くてそこそこ安そうなのを探すっきゃ無いんじゃない?

まあ、全然駄目だったら返品と言う手もあるけど」

なんだったら買う前に一度電話してみて、ちゃんと日本語が通じる事務所が日本にあるか確認しても良いかも?

変な訛りの怪しい日本語で対応されたらダメって事で。


碧がソーラーパネルの条件を絞っているのを横から覗き込んだら、上の方には安そうなのがあるが、下の方には35万円なんて言うのもあった。


「なにこれ。

なんでこんなに高いのが混じってるの??」

ちょっとおかしいだろう。


「ああ、それはモバイル電源とセットなんでしょ。

高性能なモバイル電源なのと一緒になってやたらと高いのがあるね。

そう言うのは家でコンセントを使って充電しておいて、ドライブとかにキャンプとかに行った時にソーラーパネルでちょっと電力を追加充電する感じなんじゃない?」

碧が商品の写真の手前側にある目立たない箱型の商品を指先で示しながら言った。


おお〜。

ソーラーパネルを買おうとしているのに、その本体の6倍もするようなバッテリーをセットで買うっておかしくない??

まあ、キャンプに行く時に使うなら扇風機とかミニ冷蔵庫を動かせるだけの充電量でもあるのかな?


「モバイル電源とモバイルバッテリーってどう違うの?

意味的には同じ様な気がするけど」

セットになっているのでも値段がお手頃なのはモバイルバッテリーと書いてある。


「モバイル電源は本格的なバッテリーみたいので、大きい代わりにかなり大量に充電できる上にUSBケーブル以外も普通のコンセントみたいに繋げられるみたい。

モバイルバッテリーはカバンに入れておいて携帯の充電が切れそうな時に使う様な小さいやつで、基本的に携帯とかタブレットとかの端末しか繋げられないみたいね」

碧が『モバイルバッテリーとモバイル電源の違い』と言うサイトを見せて教えてくれた。


へぇぇ。

でも。

「ソーラーパネルだけを買って携帯を充電できれば良くない??」


「う〜ん、ベランダに置いてソーラーパネルで発電するなら、その場で携帯に繋ぐのって季節によっては寒かったり暑かったりする中でウチらがそばにいなきゃいけない羽目になるかもじゃない?

最近は100円ショップでもモバイルバッテリーを売っているみたいだし、とりあえず一つか二つそれを買って様子を見てみない?」


え??

「モバイルバッテリーが100円なの??」


それはちょっと安すぎてすぐに発火しそうで怖いんだけど。


「いや、1000円。

でも、意外に性能は悪くないみたい?」

なにやら『ダ◯ソーのモバイルバッテリーの機能確認をした』とか言うウェブサイトを見せながら碧が言った。


「一応もしもの時用として最低限の機能が二週間程度保てれば良いんだから、取り敢えずはその100円ショップので試してみようか。

しっかし、碧って色々と知ってるんだね〜。

こう言うのって今時の常識だったりする??」


「常識って訳でも無いんじゃない?興味があったら簡単に調べられるだけで。

この部屋って中々日当たりが良いじゃない?

だからソーラーパネルを買って充電させて日常の電気代を節約できないかな〜って考えたこともあったんだ。

ただまあ、日常の電気代って冷蔵庫とかテレビとかエアコンが大きいって言うじゃない?

そう考えると携帯の充電程度の電気代じゃあソーラーパネル代の方が高いかなと思ってやめたんだよね。

でも停電時とかの事を考えると、あった方が良いよね。

いつかバンを買って源之助と遠出するならその際にも携帯とかの充電に使えるかもだし」

碧がベランダを指しながら言った。


確かに、『経済性』と『もしもの時の備え』って別問題だよねぇ。


「色々と調べててくれてありがと〜。

じゃあ、適当に選んで事務所の経費として計上しておこう!」

非常食とか猫砂は事務所の費用とは言えないけど、もしもの時に携帯で連絡が取れる様にする充電設備だったら経費扱いで良いよね?


まあ、携帯は個人的にも使っているから半々ぐらいかもだけど。


まずは適当にお手頃価格でかつ評判がいいパネルを選ばないとね〜。



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