第624話 自家発電式マッサージも?
退魔協会の符をありそうな紋様の形に細かく分解し、片っ端から魔力を通してみた。
一応ギリギリ紋様が使える程度に私も雷という現象を使う適性があったのか、かろうじて起動する簡単な電気を通す魔法陣を作ることに成功した。
もっとも、退魔協会で買った符はセキュリティシステムをショートさせたり人を昏倒させる程度の威力があったのに、私はどれだけ魔力を込めてもちょっと痛いかなとか白熱灯を20〜40w程度に少し暗めに点けられる程度だったが。
新しく買ってきたLED電球だとそれでもかなり明るくなったけど。
ただねぇ。
暗がりで動こうとするだけだったら暗視の術を使う方が確実なんだよねぇ。
黒魔術師用に目の機能を上げつつ魔素で情報を補う暗視の術があるから、実はほぼ完全に真っ暗闇でも私はそれなりに動けたりするんだよね〜。
でも、新しい属性が使えるのは嬉しい。
と言う事で。
今日はちょっと碧にデモストレーション。
「見て見て〜」
魔法陣の上に電球を固定したのをリビングへ持ち込み、魔力を流して見せる。
「おお〜!!
雷をマスターしたの?!」
碧が盛大に驚いてくれた。
「いや、やっぱ適性がギリギリなせいかどうしても出力が上げられなくて、LED程度の微量な電気で動いてくれるものじゃないとダメなんだ。
マスターしたと言うのはちょっと語弊があるかな」
どう足掻いてもこれで誰かを昏倒させたり麻痺させたりは無理だし、試していないけどセキュリティをショートさせるのも不可能だろうね。
「電池だったら直列だっけ?に繋ぐと出力が上がるじゃん?
そんな感じに出力を上げられない?」
碧が思いがけない提案をしてきた。
「確かに」
電池の出力だって一定だが数を増やして直列(それとも並列?どっちかだよね)繋ぎにすると電球が明るくなった記憶はある。
私が有している魔力そのものを全て振り絞って電球がギリギリ点くと言う訳ではなく、単に私の適性だとどれだけ魔力を込めても最低限以上は出力が上がらない感じなので、それこそ直列繋ぎ(多分)っぽく魔法陣を積み重ねていったら出力が上がるかも?
出力を上げられたら発火とかも可能になるかもだし。
まだ盗聴器とかの発見方面には全然手をつけていないけど・・・先にちょっと火付けの魔法陣だけでも完成させられないか、頑張ってみよう。
タバコなんぞ吸わないからライターは持ち歩かないけど、場合によっては火付けが出来るってとても重要だし。
また今度転生したらかなり重要になる可能性もある。
寒村時代は毎朝寒い中で竃の灰の中になんとか確保しておいた埋め火から火を起こすのはそれなりに辛かったんだよねぇ。
あれをバチっと魔力で素早く出来るようになったら凄く嬉しいぞ。
部屋が暖まるのに掛かる時間は大して違わないかもだが。
そんな事を考えつつどうやって魔法陣を直列繋ぎにするのか紙の上に線を引き始めてみたら、碧が机の上に置いた魔法陣を手に取った。
「神経の信号を操れるなら電流への適性が少しはあるって事だったら、私も使えないかな?」
「・・・可能かも?
それに魔力を通してみたら?」
白魔術師だって神経系の治療とかが出来るんだから、少しは電気に対する適性があっても不思議はない。
碧が魔法陣にLED電球を乗せ直し、魔力を通した。
「・・・本当にギリギリ辛うじてってとこだね。
白魔術師は黒魔術師よりも更に電気適性が微妙って感じ?」
ごく僅かに光っている電球を見ながら碧が呟く。
「だねぇ。
つうか、もしかしたら生き物って皆微細な電気適性を持っているのかも?
今度諏訪に行った時に、碧パパや翔君にも試させてみない?」
元素系の適性持ちだとどのくらいの電気適性になるのか、興味がある。
どうでも良い事だけどさ。
「だね〜。
ついでにこれで微細な電気を体に流して自家発電式EMSマッサージみたいな魔法陣を作れないかな?
母親に喜ばれそう」
碧が提案する。
おお〜。
確かに良いかも?
意識して魔力を流せなきゃいけないから一般人には使えないけど、退魔師とかには垂涎の符になったり?
自分で魔力を通すなら使い捨てじゃないし、売れるようだったらそれなりに需要があるかも。
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