第623話 取り敢えず、購入。

退魔協会の販売コーナーに来てます。


碧のご先祖様は攻撃術系な雷撃の符を作れる様な人は居なかったらしいが、それなりに電撃って対人とか対機械では便利なので最近は適性がある人はかなり頑張って色々と研究しているらしく、販売コーナーには雷撃系の符がそこそこ多く売られていた。


こう言う売られている符は紋様を模倣されない様に偽装済みなので使える紋様をこの中から見つけ出すのは手間だろうが、どこかに電気を意味する紋様が潜んでいるのは確実だから頑張れば報われる・・・かも知れない。


「これなんかは弱めの雷撃で警報系の機器を壊すのに向いているんだよね〜。

ほら、以前、呪師を捕まえに行った時に使ったでしょ?」

並べられている見本の一つを碧が手に取って私に見せてくれた。


あ〜、そう言えばいい感じにセキュリティを壊してたよね。

あの程度が丁度良いぐらいかな?


ただ、碧が指差したのは紋様ではなく祝詞系の符だったので、符についていた説明を読み、紋様タイプので似た様な説明文がついているのを手に取った。


これで符が使い捨てじゃ無かったら符を何度も使って魔力の流れとかを実感して覚えられないか試すんだけどなぁ。

流石に1枚2万円もする符を何度も試す気は無い。


と言うか、1回だけでも試しに使うのも躊躇われるから、この符の研究は実際に魔力は通さずにひたすら部分ごとの紋様を自分で描いてみて魔力を通せないか試す事になるかな。

まあ、依頼でまたどこか呪師の家にでも忍び込む事になったらこの符を使ってどんな風に魔力が流れるか、確認したいところだが。



◆◆◆◆



「どう?

上手くいきそう?」

ありとあらゆる思いつく限りの切り方で単語部分になるであろう紋様を符から書き出したカードが散らばる机の上を見て、碧が声をかけてきた。


ついでに机の上でカードを競技カルタの如くピシパシ叩き落としていた源之助を抱き上げて拘束してくれたので、床に落ちているカードを拾い集める。


源之助を拘束しない限り、いくら拾い集めてもまた叩き落とされるだけだからねぇ。

書き出しが大体終わったので、カードをまとめて箱にでも入れれば良いかな?


「これからどれかに魔力が通らないか、試すところ。

上手くいくかは乞うご期待ってやつだね〜」

符やお守りを描く時の墨を使っているから、魔力の通しは悪く無い筈。

後は黒魔術師の属性で雷撃系の力を使えるかだよねぇ。

一応神経伝達とかを左右できるんだから、微弱な電気は使えてもおかしく無いと思うんだけど。


と言う事で、カード1番です!

適当にまとめて重ねたカードの一番上のを手に取り、紋様に手を当てて魔力を流す。


「・・・ダメだね」

魔力は虚しく空気の中に散っただけだった。


まあ、30枚近くカードを作ったのだ。先は長い。

と言う事でダメだったカードを箱にいれ、次のカードを手に取る。


カード2番です!

なんかクイズ番組の司会者みたいな掛け声を頭の中であげながら魔力を通す。


「これもダメだね〜」

全く何の反応も無し。


カード2番も『没』の箱に入れ、次のカードを手に取る。

「うん?」

符用の墨で描いた線に手が触れたら、微妙な魔力の反応で効果の予兆が感じられた。


「お?

何か出来そう?」

碧が興味津々聞いてきた。


「『狙う』って言う部分の紋様みたい。

属性に関係ない機能だから私でも魔力を通せるのかな?」

カードの隅に予兆で感じた効果を書き込み、引き出しの中から適当な袋を取り出して入れた。


『ダメ』と『欲しい電気系の機能』の二通りの反応しか考えていなかったから、『目的とは違うけど何かに使えるかも知れない紋様』に関しては想定していなかった。

でもまあ、これはデータベースに付け足したら何か後々役に立つかもだね。


そう考えると、他の紋様型の符も積極的に買ってもいいかも知れない。

火系の攻撃魔術とかが入っている符は危険すぎて現実ではあまり使い道が無いだろうが。


とは言え、万が一私でも発火出来る紋様が見つかったら、是非とも覚えて来世に持ち込みたいところだねぇ。


脳裏に自分の魔力で描いた魔法陣は普通の一般記憶と違って忘れないのだが、こう言う属性違いの紋様を無理やり応用させた魔法陣はどうなるのか不明だけどね。

まあ、私が発火とか水出しが出来るような魔法陣の作成に成功する可能性はかなり低いけど。


雷撃系はどうだろ?

黒魔術ってあまり遠距離の攻撃がないから(ゾンビに襲わせるんじゃない限り)、雷撃を使えるようになったら便利なんだけど・・・多分そこまで出力を上げるのは無理だろうなぁ。









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