ゲーム??
第440話 鬱な方だけなんだよね。
「そう言えばさぁ、凛の前世ってガチもんの貴族がいる封建社会だったんでしょ?
貴族社会だったら乙ゲーみたいな悪役令嬢とか、略奪系の婚約破棄とか、逆ハーとかって可能だったの?」
源之助が昼寝していたのでオンライン小説のサイトで無料小説を読んでいた碧が聞いてきた。
乙ゲーねぇ。
最近やたらと流行っていてそれの亜流なざまぁモノしかランキング上位に出て来なくなって、近頃ではランキングで新作を探す楽しみが褪せてきた。
「普通の本来の乙女ゲームっぽい感じならありかな?
下の階層の娘が遅くに大きな魔力を発現して、貴族に養子に入ったものの教育が完了する前に貴族が多い学園に通う羽目になって常識知らずで垢抜けていない事を馬鹿にされながらも上級貴族の息子に見初められ、その婚約者に嫌がらせされるって言うのはあり得なくは無かったかも?
ただ、逆ハーは無かったね。
下の階層の娘が高位貴族の息子を何人も侍らせるなんて言うのは、それこそ娼婦になってお客を何人も取るって言う状態以外ではあり得なかったわ」
強力な魔力が遅く発現したせいで貴族に引き取られるのが遅くなり、教育が行き届いていない娘が魔術学院に紛れ込むと言うのは時折あった。
魔力の大小に遺伝も影響したから、そう言う下層出身の娘がどっかの貴族の庶子って事も珍しくは無かったし。
ただまあ、貴族社会だからねぇ。
下手な事をしたら文字通り物理で関係者の首が飛ぶし、そこまでいく前に高位貴族の令嬢からクレームが入ったら制約魔術で問題行為そのものを出来ないようにされたから、いつまでも学ばない馬鹿は居なかった。
本当に救いようなく馬鹿だったら途中退学して魔力庫扱いだったし。
馬鹿なのに強力な魔術を使える子供なんてどこの家も欲しく無かったから、そう言うバカは娼館落ちしても子供が出来ない様に処理されていたって話だ。
馬鹿の子が馬鹿になるとは限らないけど、強力な魔力を持つ子供が中途半端な知識と馬鹿な被害妄想を吹き込まれて育っては危険だからね。
「魅了眼とかって無かったの?」
興味深げに碧が身を乗り出して聞いてくる。
「無いね〜。
と言うか、意思を曲げる系の力って黒魔術師系の才能の一部だから、魔力検査で系統が分かった時点でさっさと制約魔術で使用を封じられてるからうちの国では使える人間が居なかったと思う」
他国では、黒魔術師である事を隠して美貌で人を誘惑している様に見せかけて色々やらかした女もいたらしいが・・・対黒魔術師系の防具は色々と出回っていたからね。
大量のアンデッドを引き連れて挑んでくる捨て身な
当然、国のトップの子息が集まる場所で猛威を振るうなんて事はあり得ない。
「じゃあ、純粋に白魔術師とかで凄く才能があるのを遅く見出されて、教育が足りない素朴な田舎娘っぽい魅力で良家の坊ちゃんに見そめられる事は?」
「まあ、無きにあらず?
才能があるなら取り込もうとするのは貴族の性だしね。
ただまあ、私が生きてた時代ではもう高位貴族が自分の魔力で前線に出て戦う必要は無かったから、結婚を認められる場合は社交が必須な跡取り息子ではなく、分家の嫡男か、せいぜい本家の三男程度だったけどね」
愛に生きるなんて言う夢見がちなガキは魔術学園にはほぼ居なかった。
下手に現実を見ていないと、王族の子に正論をかまして家に被害が出かねないからねぇ。
貴族の子供はとってもリアリストだったよ。
まだ中小規模程度の商家の子の方が夢と理想に燃えてたかな?
「あ、ちなみに悪役令嬢系もある程度目障りだったらサクッと家に圧力を掛けさせたか消させていたから、教科書を破くなんて言う嫌がらせはなかったね」
ドレスに紅茶を掛けても魔術でさっと綺麗にできたから、あまり嫌がらせして役に立たなかったし。
「そんでもって前世の記憶持ちは居なかったって話だからチート少年や少女も居なかったのか。
あまりラノベに向かないね」
苦笑しながら碧が言った。
「まあねぇ。
現実社会は厳しいから。
少なくとも魔術で親子関係は確認できたし、嘘を確認できる術もあったから母親が浮気して色合いの怪しい子供が産まれてそのまま育つってことは無かったしね。
だから純潔はそこまで重視されなかったから、胸を押し付けることで少年を誑かすって手法もあまり効果は無かったかな」
避妊もほぼ完璧な魔道具があったし。
「う〜ん、聞けば聞くほど現実の魔法社会ではラノベっぽい展開は無さげだね」
碧が失望した様に小さく溜め息をこぼした。
「現実だからねぇ。
まあ、封建社会だからこそこっちじゃああり得ない様な虐待や人権侵害はあったよ?
そう言う意味では鬱展開なラノベっぽいところはあったかも」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます