スイーツフェアと兄妹喧嘩
第274話 至福の時
「ケルトンホテルで特別スイーツフェアをやってるんだって!
行かない?!」
ネットで何やら見ていた碧が突然声を上げた。
「マジ?!
そう言えば、スイーツ食い放題行ってないよね!
是非行こう!!
予約できそう?」
なんたる事!?
碧がダイエットに無敵と聞いてスイーツや焼肉食い放題に行こうと話をしていたのに、何だかんだと忙しくて結局行けていない!!
「ふふふ〜。
明日の14時半からの枠が空いてる!」
「よし、予約取って!!
昼食抜いて行くのに丁度いい時間じゃん!」
素晴らしい。
下手に絶食して胃が縮んでいると却って楽しめるスイーツの量が減ってしまうかも知れないが、14時半ならちょっと忙しくて昼食が遅れた程度の時間だ。
良い感じにがっつり食べられるだろう。
「ちなみに、先にお通じを良くしておくとウエスト周りが苦しくならなくていいんだけど、便秘気味なんだったら治すから言って?」
碧が真面目な顔で提案してきた。
甘い物は別腹ってある意味事実で、美味しそうな物を見ると胃がぐいっと動いて食べ物を腸に押し込んで胃にスペースを作るらしい。そんなX線映像をテレビで見たが、確かに腸に押し出すんだから、そっちが詰まっていない方が良いよね。
しっかしあれってバリウム入りの美味しいスイーツでも食べさせて撮影したのかね?
どうやって撮影したのか、ちょっと気になる。
それとも撮影機の感度を上げれば普通に食べ物と胃の動きも見えるんだろうか?
「いや、私は特にお通じに問題ないけど・・・こう、瞬間下剤っぽい感じに全部出しちゃうのって出来る?」
下剤は飲みたく無いんだよねぇ。
前世でだけど、嫌がらせ(多分)で下剤を盛られて3日ほどトイレの傍から離れられない経験をした。
薬の成分ってすぐに出て行く訳じゃないから、変に無理やり魔術で下痢を止めるよりも全部出終わるまで出した方が良いって治療師に言われたんだけど、あれは中々辛かった。
まあ、流石に下痢ピー状態だと王族からの呼び出しも免除になったんで精神的ストレスは無くてそっちの面では良かったが、腹が痛かった上になぜか消化器の問題の筈なのに熱っぽくて頭も痛くなるしで体調的にはかなり最低だった。
現代日本の下剤ならもっと楽ですっきり出すだけの効果なのかも知れないが、ちょっと試す気には慣れない。
「う〜ん、普通に腸がちゃんと動いているんだったら変に手を加えないほうがいいから、そのままで良いんじゃない?
いざとなれば満腹中枢を鈍らせれば2時間ぐらいだったらぶっ続けで食べてもちゃんと胃が膨れるし」
碧が答えた。
2時間食べ続けてもちゃんと胃が膨れるって・・・経験から語っているのかね??
凄すぎるぞ。
「分かった。
じゃあ、明日は太らない様に吸収ブロック宜しくね!」
ガッツリ代謝を上げる形でガンガン消化させて燃やしちゃうのもありかもだけど、あまりそれをやると早く老けそうだしね〜。
現実的な話として胃酸を増やして消化を早めるのってなんか胃の粘膜には優しくなさそうだし、やはりここは栄養分の吸収をブロックして貰うのが一番だろう。
自然な治療プロセスとは違うと思うが・・・ダイエットの為に色々と試したんだろうなぁ。
◆◆◆◆
「うっわぁ〜」
ホテルのレストランの席に案内されて、思わず声が漏れた。
凄い。
部屋片側が全てデザートに埋め尽くされている。
早速突入しようとした私を碧が捕まえて抑えた。
「いらっしゃいませ。
飲み物はコーヒー、紅茶、その他のこちらのメニューにある物を選んで頂けましたらお持ちします」
席に案内してくれたウェイターの人が言った。
おっと。
思わず我を忘れるところだったよ。
「こちらの紅茶はポットで出して頂けますか?」
どうもカップで出てくる紅茶って香りが飛んでる気がしてイマイチなんだよねぇ。
まあ、ポットのは上手く茶葉を隔離できない対応だとかなり濃くなっちゃって、2杯目の時点で牛乳を大量に足さないと飲めない代物になっちゃうけど。
「勿論です。
コーヒーは3杯まで無料でお代わり可能です。
紅茶はお湯足し用のボトルもお持ちしますので、こちらも大体3杯分だと思っていただいて結構です」
にこやかにウェイターが答える。
「私は取り敢えずカフェオレで」
碧がお願いする。
「ではホットのアールグレイをミルクティーで」
コーヒーの方が消化に良いとも聞くが、やはりケーキは紅茶の方が合うように感じる。
「承知しました。
直ぐにお持ちしますのでブッフェの方へご自由にどうぞ」
しっかし、3杯までお代わりOKとは中々太っ腹だね。
やはり大量にケーキを食べる為には飲み物もそれなりに必要なのか、それとも水分で客の胃を膨らませてケーキに消費量を減らそうとしているのか。
ちょっと気になるけど、スイーツは別腹なのだ。
ちょっとやそっとのお茶には負けない!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます