第125話 魔眼?
気持ち悪いとまで言っているのに、近藤さんは諦めなかった。
「そんな事を言わないでよ〜。
瀬川クンは本当に素敵な人なんだよ!
長谷川さんも会ったら絶対夢中になるから!!」
「そんなに素敵なら近藤さんが付き合えば良いじゃん」
合コンを企画するのだ。
近藤さんだってフリーだろう。
それともお見合いババアみたいにお節介で合コンを手配しているの??
「え〜。
私って彼のタイプじゃ無いと思う〜」
変な感じに体をくねらせながら近藤さんが言った。
・・・。
こう言うタイプだとは思わなかった。
異性が関わると人格が変わるタイプって時々いるが、彼女もそうだったらしい。
「興味がない私に付き纏って悪評を立てるよりも、その瀬川とやらの良いところが分かっている近藤さんと付き合う方が彼も幸せになれるよ。
取り敢えず、私は知らない人と飲みに行く気も食べに行く気も絶対に無いんで、紹介は断られたって言って慰めてあげたら?」
現時点でフリーで、瀬川とやらが良い男だと思っているなら近藤さんがアタックしてそいつの注意を引いてくれ。
「そうねぇ。
断られたって言っておく」
近藤さんも自分でアタックしようと思ったのか、あっさり頷いた。
おっしゃぁ!
◆◆◆◆
「長谷川さん!
やっぱり瀬川クンと会ってみないと彼の素敵さが分からないと思ったから、取り敢えずここで皆の前でなら良いかと思って連れてきちゃった」
今日は、学食に入ろうとしたところで語尾にハートが付きそうな変に明るい口調の近藤さんに声を掛けられた。
二週間連続で学食で会ったせいか、毎週この日は学食でランチを食べているというスケジュールを把握されたらしい。
ウザいんだけど。
思わずウンザリしながら振り返ったら、妙な感じに目が濁った印象のある近藤さんが比較的普通な感じの男子生徒と一緒に立っていた。
来ている服や髪型は金をかけているっぽいが、背が高いわけでも顔が特に整っている訳でもなく、近藤さんがあれ程べた褒めするタイプには見えない。
客観的に見たら、しっかり美人メークしている近藤さんの方が美男美女度で言ったら勝っているだろう。
うん?
ちょっと目に魔力を集めて近藤さんのオーラというか魂というか精神体を観察する。
何か変な負荷が掛けられている。
しっかりとした術と言うよりは、魔力を声に込めて何か頼まれた感じ?
源之助みたいな猫だったら魔力を声に込めて命じればそこそこ行動を矯正出来るが、人間だと短期間しか効かないしちょっと精神に負荷が掛かるので不自然な形跡が残る。
この瀬川とやらがやったのかね?
普通に魔力を込めた程度だったら私に命じても効かないとは思うが、一応防御術を急いで喚び出して魔力を脳裏の魔法陣に通してから近藤さんと一緒にいた男の方へしっかり目を向ける。
「やあ長谷川さん。
政経2の授業で見かけてどうしても知り合いになりたいと思って、近藤さんに無理を言って紹介を頼んだんだ。
押しが強くてごめんね、許してくれると嬉しいな」
なんか気味の悪い薄っぺらい笑いを浮かべながら瀬川とやらがこちらの目をしっかり見ながら握手の手を差し出してきた。
おや、珍しい。
魔眼系の能力だ。
魔力が強い人間、特に黒魔術の適性がある人間は声に魔力を込める事で洗脳に近い影響力を及ぼせる。
勿論、相手の意志の強さや魔力、警戒心などにも影響されるが。
ごく稀に声でなく、視線にそう言った能力を込められる人間がいるのだ。
魔眼とか、邪眼と前世では呼ばれていた。
声と違って意志を直接相手に魔力で押し込む効果があるので、使われている事が中々発覚せずに被害が大きくなった事も過去にあった。
必ずしも黒魔術の適性持ちが魔眼持ちになる訳では無いし魔眼持ちが全て黒魔術の適性持ちでも無いのだが、精神へ影響を及ぼす黒魔術の適性があると魔眼の効果がブーストされるのか、歴史の中で悪名の高い邪眼使いは黒魔術適性持ちが多かった。
この事情も黒魔術の適性持ちを隷属魔術で縛り付ける制度の正当化に使われた。
黒魔術の適性って本当に悪用しようと思うと色々出来ちゃうんだよねぇ・・・。
まあ、それはともかく。
こいつはなんだって私に魔眼を使おうとしているんだ?
退魔協会が白龍さまの愛し子である碧に近づく為に画策しているのかと思ったけど、考えてみたら黒魔術の適性持ちに初対面で魔眼を使おうとする様なバカは流石に専門家である退魔協会には居ないだろう。
・・・居ないよね??
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