第1章 第14話

 「国道にあるショッピングモールを越して10分ぐらい走ったところに中学校があるんだけれど、そこの校長と話すことが出来たよ。僕たちが計画した学習内容を説明したら理解してくれて、中学に通学していることとして認めてくれるみたいだよ」

「それはよかったわ。育休が終わった機会に退職して教育現場から離れて随分経つから、現場の現状に疎くなってしまったけど。たまに当時の同僚にあって聞いたりするんだけれど、最近また不登校の生徒が増えているみたいね。それでも今は多くの中学校で、学校にほとんど通わなくても卒業させてくれるみたいよ」

「そう、そのことを校長から聞いておどろいたんだけれど、ほとんどの学校は卒業させてくれるみたいだね。でも、成績はほとんど1になってしまうらしいね。だけど輝夫の場合、僕たちが学習計画を立ててその通りに実施すれば校長が家まで来て試験を実施してくれるみたいなんだ。4とか5を点けてもらう虫の良い話はまずないとしても、オール1だけは免れそうだね」

「なんて素晴らしい校長なんでしょう」

「女性校長なんだけど。もともと管理職になるつもりはなかったみたいよ。日本が他の先進国に比べて管理職が少ないということが外国で話題になって、民間だけでなく学校現場にもその外圧がきたみたいだね。学校現場ではトップダウン式にその割合が示されたみたいだね。でもその割合は男性に比べ圧倒的に少ないけれどね」

「そうね、わたしが働いていた頃は女性管理職は本当に少なくて、数えるくらいしかいなかったわね」

「その校長は頼まれて嫌々ながらなったものだから、自分の主義主張を通してやっていけるのかもしれないね。いつでもよろこんで降格しますという態度でいるみたいだね。実際本音は早く降格されたいと思っているんだろうな」

「それじゃ明日からでも早速始めたいけど、いいかしら」

「僕のテレワークも早速明日から始まるんだけど、午前中だから。君が午前中に国語と社会を教えてね」

「それであなたが午後に理科と数学を教えるのね」

「問題は英語だけれど、放課後3人で遊びの感じでやればいいんじゃないかな。まあ僕たちも一から勉強し直すという感じで」

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