第1章 第13話
輝夫は三本の木のうちの右側の木の前に立っていた。右側の木の幹には橙色に輝いている部分はなかった。薄暗い前庭の中で他の二本の木と共に星の光を浴びていた。星の光に照らされて見える木の幹の表面は、何の変哲もない普通の木の幹であった。玄関からホールに入ると家の中は静まり返っていた。ホールを抜けて階段へ行こうとした時、スモールライトで薄暗くなっていたリビングルームのテーブルにノートがあるのに気がついた。見覚えのあるノートであるような気がした。落書き帳であった。開いた最初のページに描いてあったのはスマホの絵であった。スマホの画面には三本の木が映っていた。右側の木の幹には橙色に塗り潰された部分があった。
輝夫はベッドに横になって天井を見つめていた。部屋の窓はレースのカーテンだけ閉じられていた。レースのカーテンは星の光を浴びていた。天井にはレースのカーテンの模様が微かに映っていた。右側の木の前に立って、幹から発せられている橙色の光が眩しく輝いて、その橙色の輝きは強烈でまともに目を向けられないほどで、体全体が心地よい暖かさに包まれていくのを感じた。突然暗闇に包まれて上に引き上げられていくのを感じた。時々橙色の光が通り過ぎていくのを感じた。その後の記憶が輝夫にはなかった。気がついたときには輝夫は3本の木の前に立っていた。3本の木は星の光を浴びて微かに輝いていた。
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