Ⅳ・水脈

静かにたゆる湖に立つ屋敷に籠もって二日経っている。


燄使いに取って、この二日は永遠の拷問にも等しい物だった。

燄を纏い炎を操る燄使いのルルンミルカに取って水は天敵である。

そして彼の水脈公の屋敷は湖の真ん中にある。

水脈公が言うには屋敷の周りに湖があるのであって湖の浮島に屋敷が

あるのではないと言い切った。


水脈公。

水を操る亜人貴族の中でも特出した商才を持ち、若くして五つの領地を治める

地位に昇り詰める

今となってこそ壮年の域に達してはいる物の若い頃は人の恋目線を一身に集めた

で容姿でもある。

亜人の技として自ら水を扱う術は元より、商才と策略を知恵にも長けている。

富も財も立ち振る舞いも生粋の貴族で有り、その生涯に一部の隙もなかった。

水脈公の名の物とにこうあるべきであると言うのが万事であり全てである。


水晶公は屋敷にルルンミルカの前手を出迎えた刻と毎晩の夕食時にだけ顔を出す。

その食事は貴族出身のルルンミルカにも豪勢な食事であった。

前菜は水藻の塩麺麭を散らしたスープ。メインディッシュは常に二種類用意され

水魚の塩焼きか水牛の輪切り尻尾ステーキのどちらかを選べる。

デザートは冷たい水菓子の周りに香りと色を付けた水飴菓子となる。

箸休めには冷たい水に浸した甘い果物や一度燻製にした肉を

水に浸しで戻した物もある。


水脈公の周りにある物は水と水と水である。

貴族の屋敷には辿り着くまでの長い道がある。

石畳であったり貴重な石をわざわざ道床に使ったりとなるが

辺り一面を湖に囲まれた水脈公の屋敷はそれとは違い馬車を引く馬も一頭もいない。

浮島に深く堀を造り湖の水を引き込み道に見立て馬と馬車を模した船を浮かべ

それに乗って屋敷に辿り着く。

大玄関も水でと水飛沫で満たされる。屋敷の四方壁面は湖から組み上げた水で滝が

造られている。

中央にある大扉には屋根が取り付けられそこから屋敷に入るが、

絶えず落ちてくる水飛沫は体に掛ってしまう。

勿論、屋敷玄関の内側には衣服に付いた水滴を専用の羽箒で払う従者が数人

きちんと控える。

廊下の端々にも小さな水堀が掘られ、絶えず緩やかな水音が耳を擽る。


「此方のお部屋をご自由にお使い下さい。」と与えられた部屋でさえ

床一面が水であった。浮島の地面に穴を掘り部屋の床にする。

その上を一枚の硝子で覆っているのだ。手間と労力は持ち主の財を示す。

しかし、それ以上にルルンミルカに苦痛を与えたのはお付きの従者達だった。

元より水脈公に仕えるのであるから当然、水を使役する術に長けている。

しかも、恐らくは腕に覚えのある玄人ばかりなのだろう。


燄使いのルルンミルカは体質的に意識しなくても炎を纏ってしまう事がある。

例えば考え事をしてる刻には長い髪が突然燃え始めたり

何かの拍子に持ち上げた指先が燃え上がったりする。

しかし、この屋敷の中でそうなるとルルンミルカには辛い事にる。


一寸、考え込んでしまい髪が燃え上がろうものなら、頭の上から水滝が振ってくる。

なにか拍子に指の周りに炎が纏わり付けば正面から樽一杯分の水球が飛んでくる。

その度にルルンミルカはクシュン。ゲホゲホと咳き込み咽せる。

水に濡れれば体が冷える。

暖を取らせてくれと頼めば、此方で御座いますと大風呂に案内される。

いや、そうじゃなくて暖炉の側で良いの。と言えば

「そんな物、当屋敷には一つもありません。」と真顔で従者は言い切る。

「この屋敷には、火と言う物はないの?食事の支度とか火は必要でしょ?」

と真剣に聞けば

「厨房にさえ、一切、火はありません。料理する場合は、火の力を封じ込めた炎石を使いますが火、その物は使いません。何せ水脈公のお屋敷で御座いますから」

とルルンミルカ以上に真剣な顔で応える。


お付きの従者と言えば聞こえは良いが言ってしまえば専用の火消し係りである。

全部で五人居る火消し従者の内、最も腕が良くいつも側にいるのが

ピチョリ・ピチャと名乗る少女だ。

名前から簡単に水を連想できてしまう彼女は背はあまり高くなく一見すれば

未だ幼さが乗るがその胸はかなり大きい。尻さえも大きく彼女がと並ぶと

ルルンミルカはまるで一本の細い棒にさえ見える。

「最近、水脈公にお仕えし始めたばかりで・・・。」と丸眼鏡をクィとあげて言う。

どこかで見た事ある光景な気もするがルルンミルカは良く思い出せずもいた。


「見合いと言うよりこれは監禁よね」水晶公との夕食の後、

私室に戻ったルルンミルカが

大きな水細工の寝椅子に四肢を投げ出しふんぞり返って良い放つ。

「むしろ、私には拷問だわ。拷問。右を見れば水よ。上を左を見れば

又。水よ上も下も水だらけなのよ。

燄使いが水に囲まれて生活するってどうなのよ!」

「そうで御座いますわね。まぁ、水脈公で御座いますから。致し方ないかと

ほら、水甘飴上げますから機嫌直して下さいませ。」

ピチョリが差し出した飴を口に放りこむ。

「大体、変態丸眼鏡野郎と戦って魔妖力を切れてる時に拐かす何て卑怯過ぎるのよ。

・・・あら、でもこの飴美味しいわね」本当に美味しかったのでガリガリと

噛みつぶしピチョリの顔の前に手を差し出しお代わりを強請る。

「水脈公で御座いますからねぇ。策士で御座います。

ずっと機会をうかがっていたとも聞きますし。

まぁ〜そうでもしないと。燄使いのルルンミルカ様を

嫁になんか出来ないでしょうし」お代わりの飴を差し出して言う。

「嫁って言われても。嫌よ。ずっとこんな生活出来る分けないでしょ?

あの変態丸眼鏡野郎を仕留めないといけないし。何よりアタシが持たないわ。

うんざりよ」

甘い飴を舐めて少し魔妖力が戻ってきたのか、ゆらりとルルンミルカの髪が

紅く燃え揺らぐ。

やれやれ又かという顔でピチョリがルルンミルカの眼前に手をかざすと大きめの風船くらいの大きな水球が放たれ、ビチャと音を立てて破裂する。

「だから・・・。手加減してくれてもいいんじゃない?一寸位良いじゃん。

ああ〜。又着替えて、化粧し直しだし。」ルルンミルカはびしょ濡れになった

紅い髪を手で払う。



「彼の淑女のご様子はどうだ?少しは興味を持ってくれてるだろうか?」

水晶公は美しい水庭を水枠の付いた窓から見つめながら問いかける。

「水晶公様、残念ながら答えは否で御座います」

水晶公の背に控えるピチョリは凜とした声で応える。

「それは、どれ位の否だ?十段階で言うとどれ位だ?」

「はい。水晶公様。十段階でいえば。零で御座います。

割合で言えば十対零で否で御座います。」

「それは正確な答えではないな。ピチョリよ。

十段階と言えば壱から十の数値で示すされる物だ。

貴様の言い方は、それとは違うぞ。しかし、意味は解る。

つまりはルルンミルカ殿は儂に興味が無いと言う事だな。微塵にもか?」

「微塵にもで御座います・・・。」ピチョリは大きく頭を動かし同意の意を示す。

「本当に微塵もか?一寸位気があるのでは無いか?照れ隠しで表に出さないとか?

本当はすごく惚れてるのに構って欲しくてわざと平静を装うとか?

乙女心は複雑だろ?大体、淑女は駆け引きが得意ではないか?」


「水脈公様。ルルンミルカ様は我が御主人様に対してお気持ちなど一切、

微塵にもありません

照れ隠しなど出来るほど器用な御方ではおりませんし、

あの手の御方は自分の気持ちに素直な方でしょう

ですから良く良くきちんと申し上げますが

お諦めになさった方が宜しいかと思います。」

背筋をきっちり伸ばして進言するピチョリに水脈公は「うぬ・・・。」とだけ頷く。


水脈公。

若い頃から毅然とした態度と容姿、その財力に惹かれ貴族や王族の女性が

いつも側にいた。しかし、高位貴族であり財も才もある水脈公にも欠点がある。

何かを決める。何かを選ぶと言う事に迷うのだ。

しかも病的と言うほどの時間と掛けて悩む。

沢山の物から絞り込むのは抵抗はない。これはいらない。

これは必要だというのは簡単だ。


未だ若く成人の儀を迎えたばかりの頃、当然の如く結婚の話になる。

この時彼に両親は離婚しており母親は遠方の実家に帰っており

折り悪く父はミヌの大川の女神の元に召されたばかりでもあった。

自身の成人の儀と同時に水脈公の名と地位を若い彼は引き継いだ事になる。

伴侶となる候補の女性は多くいた。

若き水晶公は慄然と候補を選別し、幾人かの最終候補の女性達にあう。

八人・五人・三人と数が減った後、二人ところで彼は始めて迷う。

どちらの女性も魅力的であり、自分の好みに合致し、

どちらの女性にも惹かれたのだ。

小さな問題であると思ったものの。彼にはどちらを選ぶかの決断が出来なかった。

いっそ、両方を妻に迎えてしまえば良いだろうと淑女達に提案すると

「では、どちらが正妃でどちらが妾でしょう?」と二人に言われ決断を迫られる。

三日三晩悩んだ末に、どちらも娶らないのが無難であると決断を下す。

以来、人生の伏し目に訪れる決断すると言う事に迷いは果てるのが彼の性格となる。


壮年の身になると。

自然と先の事を考える時期が必ず来る。

誰かが水脈公の名と地位と財を継がなければならない。

彼は自分の子にそれ等を継がせなければならなかった。

しかし、自身は決断する事もままならない。

そこでどうしたかと言えば占いである。占いではあるが別の意味合いもあった。

水脈公は著名な貴族専門の占い師の所に自ら脚を運び。

運命の人を占ってもらう。それが燄使いのルルンミルカだった。

歳も互いの環境も違うし会った事もない。

しかし、自分が決断したわけではない。

誰かが決定した事柄を黙って受け入れただけだ。

水脈公はそれが心地よかった。

他人が決めた妻を受け入れる。それほど容易く楽な事はない。

後は地位と財を使ってルルンミルカを手に入れるだけであった。


きっかけはルルンミルカの些細な躓きだった。

恒例となっている水晶公との夕食時のデザートに出てきた小猿の練乳デザートを

食べようとした時に少し大きく肘が動いてしまい果実酒杯に当たり、

ガシャンと床に落ちる。

小猿の練乳はルルンミルカの好物であり、多少掛けられている練乳が

薄い物の中に入れ込んである甘い球が彼女は好きだった。

焦っていたわけでは無いと自分では思う。

しかしいつもより肘の近くに果実酒杯があったのは確かだろう。

「あ。御免なさい・・・。」申し訳なさそうにきちんと頭を下げて

ルルンミルカは謝った。


「水脈公の妻となる者がそのような粗相をするようでは先が思いやられるな。

重々気を付けて貰わねばなるまい。」

水脈公としては軽くたしなめたつもりである。

彼に取ってはルルンミルカは占い士が選んだ妻である。

自分の妻が粗相をしたのならば、夫として窘たしめるのは義務である。

当然の事でもあるだろう。


「何ですってぇっ。誰が妻になるですってぇ〜?」

水脈公の一言に激高したルルンミルカが立ち上がり食卓をバンと叩いて立ち上がる。

ブワっと髪の毛が舞い上がり、火の粉が上がる。

それはすぐ炎となりルルンミルカの体を燃やし包む。


驚いたのは水脈公である。

自分としては、妻の粗相を窘めるのは夫の務め。それだけのつもりだった。

ルルンミルカがこの屋敷に来て二十日ともなれば、当の昔に自分を受け入れてると

考えてもいた。

顔にこそ出さないが、好いているし惚れてくれているとさえ思っていた。


既に燄を全身に纏ったルルンミルカを止めるのは難しい。

初動対応が遅れたのだ。

今までならば、ルルンミルカが炎を纏ってもお付きの火消し係

がすぐに水球を放ちルルンミルカをびしょ濡れにし鎮火させていた。

しかし一瞬の間も開けず上がった火の手の勢いは最早従者達の水球では

消し止める事は出来なかった。


「貴公は儂の嫁となるのではないのか?いや、既に決まっているのだぞ」

たじろぎながらも水脈公が言う。

その顔は冷静さを失い狼狽の表情をべったり貼り付けている。

「誰があんたの妻になるですってぇ〜?」再び上げたルルンミルカの声に

あわせ燄が揺らぐ。

それは獅子の鬣の如くたなびき当たりの物に翼を広げ燃やし始める。

「水脈公だがなんだか知らないけどっ。アタシが力を失い掛けてる隙を突いて

無理に拐かしてきたのに。見合いですって?嫁になるのが決まってるですって?

何処の何奴よ。そんな事勝手に決めたの。許さないわ。燃やし尽くしてやる!」


「き、決めたのは儂じゃない。彼の占い士だ。

しかし、運命なのだぞ。水脈公の嫁と慣れは富も財も地位も名も高位な物だ。

それを手に入れられるのだぞ。素直に受け入れて当然の物だろう」

「なんですってぇ〜〜。自分の嫁を占い士に選んで貰ったってどういうことよぉ〜?

恋愛は互いの気持ちがあってこそ。互いの心を積み重ねて愛を育む物よ。

その先に結婚があるのよ

なによ。自分一人で嫁も決められない軟弱者じゃない。」

炎を纏い鬣を振るわせルルンミルカが怒声を上げる。

「それはだな・・。訳けがあるのだ。決して軟弱者などでは・・・。」

痛いところを突かれて水脈公は脚を引く。


「問答無用!燃やし尽くしてやる。何もかも消し炭にしてやるぅ。

剛燄 強慾 業欲 豪食 強姦 豪悦 業嘘 業欺・・・」

久しぶりに纏う自分の燄の熱さは熱は気持ち良く、

それが痛みであっても気持ち良い。

全身に広がる燄はルルンミルカに快楽さえ与える。

長く浸ることの出来なかった快楽に溺れ、溢れ出る魔妖力のままに燄は形を

変えて燃え上がる。

「剛燄 強慾 業欲 豪食 強姦 豪悦 業嘘 業欺・・・」

呪文と呪詛が紅い唇から燃え真っ紅に全てが燃え上がる。




「真祖来たりて、満たすは水脈。圧して長すは人の罪。緩み弛み集い力と成るのは水の精霊大地に巡るは水の恵み。ああ伏して称えよ。我が水脈の力と慈愛・・・。」

凜としたされど力強い詠唱が流れる。片手を後ろに回し、胸元の前に出した手の上に

水が溜まり水球となる。見る間に膨らみ水球の中に渦が出来る。

燄使いのルルンミルカが火妖術を極めた者ならば

水脈公も又、水妖術を極め登り詰めた術者である。


「剛燄 強慾 業欲 豪食 強姦 豪悦 業嘘 業欺・・・

六・罪・燄・球!喰らいやがれぇ〜〜」

淑女にもあるまじき汚言と共にゴウと音を鳴らし燄球が放たれる。

「真祖来たりて、満たすは水脈。圧して長すは人の罪。

何のこれしき。水脈烈壁っ。」


ルルンミルカが放つのは特大の燄球となる。

まさに燄の塊にふさわしい勢いで水脈公目がけ一直線に跳ぶ。

燄飛沫が飛べば当たりの物は燄を纏い燃え上がる。


水脈公が放った呪文は食堂のど真ん中に分厚い水の壁を付くる。

元より、燄と水では特質が違う。

極めて単純な事であるし鯰顔属の幼子でも知っている事だ。

水は火や炎や燄を制する。

燄使いのルルンミルカの術では水脈公には叶うはずはないのだ。


燄球は真っ直ぐに水渦壁ぶつかる。

ジュワっと音を立てて水蒸気が上がり水の壁に燄が塵果てる。

まるで燄が壁に当たって飛散したようにさえ見えた。

「剛燄 強慾 業欲 豪食 強姦 豪悦 業嘘 業欺・・・六・罪・二連・球っ」

間髪入れずルルンミルカは追撃を掛ける。

出来るだけ壁際に身を寄せる従者達の目を前を燄球が跳びボウと言う音が

後から耳に届く。

ルルンミルカ嬢は相当怒ってると従者達は肝を冷やす。

最早、衣服などは燃え墜ちその肌を覆うのは燄その物だ。

その従者達は、動けなかった。水脈公が最も信頼するルルンミルカの

お付き従者ピチョリが下知を飛ばしたのだ

「これは、痴話喧嘩で御座います。いずれ夫婦となれば言い張らそう事も

ありましょう。

以下に主人であろうとも夫となる者が嫁の癇癪を抑えきれないとなれば

水脈公の名が泣くでしょう」

そう言われてしまえば他の従者達も手出しは出来ない。

出来るだけ壁に身を寄せて立つ事しか出来ない。


放たれた二発の燄球も水の壁によって敢えなく煙渦と成り消え失せる。

それでもルルンミルカは諦めない。

一度大きく天井に向かって上げた手を真っ直ぐに振り下ろす。

「烈火豪柱・・・。」短く吐いた呪言と共に手の先から沸き放たれたのは燄柱。

それは真っ直っすぐ伸びて水晶公が創り出す水壁を襲う。

轟々と燄使いが生み出す燄は慈悲も無く水晶公の水壁を燃やし尽くそうとする。


先に放った燄球とは違い燄柱はそれほど激しいものではない。

しかし、瞬間的に燃え上がるものではなく。継続的に全てを燃やす。

幾ら水壁が火を煙飛沫に変えても燄は絶える事はない。

じわじわと水壁が薄くなっていく。

それでも相手は水晶公であり、何よりルルンミルカは全快とは言えない。

変態丸眼鏡と戦い最初から魔妖力を使い果たしているのだ。

後の時を経ても未だ、全力を出せるほどではない。

それでもルルンミルカは臆しなかった。

一度、燃やし尽くすと決めたのだ。再び力を使い切っても水脈公を燃やし尽くすつもりだった。


「剛燄 強慾 業欲 豪食 強姦 豪悦 業嘘 業欺・・・」

両の目で水脈公を睨み付け呪言を吐き続け体の芯から力を振り絞る。

「軟弱貴族なんか、アタシの燄で燃やして消し炭にて箒で掃いて飛ばしてやるぅ」

小さく恨事を吐くと更に力を振り絞る。


意外だった。

自分が圧されている事に水脈公は驚いてさえいた。

自分が嫁にしようとしてる娘は燄使いだ。

当然、水は炎に勝る。常に勝つ物であり、説き伏せるのも簡単な物だと考えていた。

確かに少々、おてんばでありじゃじゃ馬かも知れない。

それでも水使いの前ではなす術など無いと知るべきであった。

水脈公は焦りを感じてさえいる。

守りに入ってしまい打てる手がないのだ。

確かに水壁は有効である。しかし、燄柱を食い止めるだけで攻撃にはならない。

攻撃を受けるだけで攻撃が出来ない。

嫁となる女性が癇癪を起こし激怒して拳を振り上げるのを両手で押さえ

込んでるだけに過ぎない。

説き伏せるどころか、ただ耐えいるようにしか見えない。

自分に対しても従者にも示しが付かない。それは水脈公の名前にもだ。


一向に止まない炎と水の戦いは四半刻も続く。

三すくみの状態であり燄を放つルルンミルカの顔に疲れが見える。

かといって、水壁を維持する水晶公もたじろぎはしないが責めには転じられない。


「剛燄 強慾 業欲 豪食 強姦 豪悦 業嘘 業欺・・・モゴモゴ・・・?」

不意にルルンミルカが口吃る。

ドンと音がして水壁を襲う燄柱が太くなった。

「え?モゴモゴ・・・?あらん。美味しい・・・」

一瞬、瞬きした合間にルルンミルカの口に投げ込まれたのは飴だった。

懐かしい飴玉であり、それはビリビリと熱を吐き出し口の中で燄となる。

それは燄飴と呼ばれ東方の国で子供のおやつでもある。

しかし燄使いに取ってそれは力その物である」


「は〜〜〜い。ア〜〜ンして下さいなぁ〜。ルルンミルカ様」

言われるままにルルンミルカが口を上げると燄飴が投げ込まれる。

「剛燄 強慾 業欲 豪食 モゴモゴ・・強姦 豪悦 業嘘 業欺・・バリバリ」

炎飴の効果は抜群だった。口の中で燃える炎。

舌を焼く痛み。そして大好きな燄の味。舌が燃えれば瞳が燃える。

放たれる燄柱はゴウと唸り勢いも太さも増していく。

「モゴモゴ、バリバリ。アンタ誰?何で私にこんな物を?モゴモゴ。

てか美味しいし。てかなんでよ?バリバリ」

「は〜〜い。次ですよ〜〜。何せ今度はすごいですよ。

あの八本鍋の総菜屋特製ですからねぇ〜

誰ってアタシですよ?お忘れになったのですか?専属火消し係のピチャですの。

ほらほら。大きく口をあけてぇ〜〜。あ〜〜〜〜ん」

聞き慣れた名が聞こえたが届いたと同時に一回り大きな燄球が口に放り込まれる。

「「剛燄 強慾 業欲 豪食、ウワ。これすごい!・・爆燄烈火ぁぁ〜〜」


ボンと燄が跳ねてそれまで一本だった燄柱が二本になる。

その筋を這うように三本目の燄柱が重なり、

また一本燄柱が唸りを上げて水壁を襲う。


ド〜〜〜〜〜〜〜〜ン

屋敷全体を引き裂くような轟音が鳴ると水晶公の創り出した壁は水煙と

成って弾き消えた。

衝撃は大きく、それまで凜と立っていた彼も体を飛ばし床の上に尻餅を付く。


「やったぁ〜。この軟弱貴族を倒したわぁ〜。はぁはぁ〜。

と、ところでなんでアンタが私を?」両手を膝に付き体を支え、

燄飴の袋を抱えたピチャリを見つめる。

「最初から、ルルンミルカ様の味方でございます。

従者と言う訳では御座いませんの。

愛しの御主人様から言い付けられまして。何やら見合いとかするらしいから

一寸邪魔して来いっと。

あの御方、結構嫉妬深い御方でして・・・そこがまた可愛くて、むふふですの」

なにやら一人で悦に入るピシャリを唖然としてルルンミルカは見上げる。


「何故だ。魔力も削っておいたのだ。

そもそも最初からあんな燄を出せるなんて・・。」

水硝子の床に手と尻を付けたまま水晶公は愚痴る。

「イヤに決まってるからでしょう?弱った女を無理に拐かして手込めにしようなんて

嫌われて当然だわ。女心より人としてどうなのよ。この変態白髪の軟弱者ぉ」

燄が纏わり付く紅い舌を突き出してルルンミルカは罵倒する。


「な・・軟弱者だとぉ〜〜。だ、断じて儂は違う。軟弱者ではない!。

許さんぞ。絶対に許さん。このじゃじゃ馬娘め。手なずけて尻を叩いてやるわぁ」

グイと膝に力を入れて立ち上がると再び詠唱の構えを取る。

先に責めれば勝算があると水脈公は踏む。

壁ではなく水槍を生み出せば良いことだ。一撃でじゃじゃ馬も大人しくなるだろう

その後で尻でも叩いて言う事を聞かせれば良い。


「しつこい男は嫌われるのよ。この軟弱者」

ルルンミルカが詠唱構えを取れば脇に立つピチャリも燄飴の袋の中に手を入れる。


「剛燄 強慾 業欲 豪食・・・。」先に詠唱を始めたルルンミルカの腕を

引っ張り制したのはピチャリだ。

あっと唇からもらし、上げた手を静かに下ろす。

好気と見た水晶公は声を張り上げる。

「真祖来たりて、満たすは水脈。圧して長すは人の罪。刺して一撃は槍となれ。

いざ、我にひれ伏せ、愚かな娘よぉ。水懺悔槍。」

怒りと怒声が交じり必殺の一撃。水槍が放たれる。


ピチャン。

必殺の一撃と声を上げ放った水槍は

確かに水脈公の指先から伸びて行ったが、それは槍とは言えないほど

細い水の棒だった。

ルルンミルカの体に穴を開けるどころか、その遙か手前で勢いを失い引力に

導かれ落ち水硝子の床を少し濡らして砕け落ちる。


「なんだと・・・・?」

確かに必殺の一撃であったはずだった。にもかかず、指からでたのは

細い水棒でしか無かった。

術使いとして恥ずかしい限りであり、対峙するルルンミルカさえ気まずそうに

目線を逸らしてる。

ピシャリなどはわざと大げさに口を開けて嗤ってさえいた。

壁に背を貼り付ける従者達の口からも落胆と中傷が漏れる。


何かの間違いだと信じ

「真祖来たりて、満たすは水脈・・」唱える呪言はそれ以上

水脈公の口からは出てこなかった。


「えっと。静かにたゆる湖に立つ屋敷の主人。

水脈公スイチャン・スリン・スペルスペ様の屋敷は此方で御座いますか?

おお、察するところ貴方がが彼の噂に名高い水脈公ですね。お会いできて光栄です。

幾千万の法と正義と罪の律法の名において惡人と罪人と嘘つきの腑を抜いて

首に巻き捨て果てる国の役人。

議論家のヌヌン・ヌリ・ヌペンと申します。え?言いにくい名前ですって。

それは自分でもそう思うですが

なにせ、私共の国では、親でさえも子の名前は自由につけられないのです。

全ては法律でして。」

やたら話好きな印象を振りまき痩せた男が水硝子の部屋にズカズカと入ってくる。


男の属する国の名とその職業を聞いて、厄介事だと眉をひそめて喉を鳴らしたのは

水晶公を始めその場にいた全員だった。


「ええ〜。その解ってます。私が名乗ると皆さん同じ反応をするんですよね。

まぁ、しょうが無いですが。私も仕事なんでして。我慢して頂くしかないですね。

はい・・。

えっと、何やら立て込んでいらしゃるようでしたが?お済みですか?

何しろ書類や手続きがいろいろあるので時間が掛かると思うのでして。

割り込んでもうしわけないのですが、此方を先に済ませて貰って頂いて良いですか?

淑女の皆様。仕事が終われば速やかに退場いたしますので。

ほら、丁度おやつの時間でも御座いますし寛いで頂いて。

あ、私には冷えた水を一杯下さいね。

おっと、それから私、議論家でして言霊使いで御座います。お忘れ無く。」

風体を覚えるよりも口数の多さが目に付く男は議論家であり言霊使いとも名乗った。


興がそがれたと言うより議論家相手に術は使えないと誰もが知ってるし

身に染みているので燄使いのルルンミルカも黙るしかない。

仮に術を使ってみても全て霧と化してしまう。

彼の周りでは全ての魔妖力が吸い取られてしまうのだ。

まぁ何も出来ないのだから言われた通り御茶でも飲んで時間を潰すしかない。

未だ水晶公の屋敷に務めるピチョリが寝椅子と卓を用意し炎茶と炎飴を差し出す。


水晶公の従者達は自分達の主人にも椅子を用意しようとしたが

議論家・ヌヌンがそれを許しはしなかった。

つまり議論家ヌヌン抱える案件が水脈公にあると言う事になる。

同時に従者達は終わったと感じ、次の仕え先は何処にしようと

皆が胸の中で考え出す。


水硝子の大広間に木卓が置かれその上に水杯と水刺しが用意される。

隣には分厚い法律書と書類を置く読書台も据え置かれる。

背筋をピンと伸ばし細四角眼鏡の節に指を添え申し立ての羊皮紙に顔を近づけて

議論家ヌヌンが声を上げる。


「ええ〜。ご存じだと思いますが。厄介事でしてね。

身に覚えがある事でしょうし。まぁ、そういう事です。訴えられたと言う事でして。

貴方を訴えた書簡が届けられたのが、運が悪いことに私達の裁判所でしてね。

幾千万の法と正義と罪の律法の名において惡人と罪人と嘘つきの腑を抜いて首に

巻き捨て果てる国の裁判所ですから

それはもう、きっちりとさせて頂きますので。水脈公殿」


議論家ヌヌンの前に一人立たされた水晶公はただ、ただ、黙る事しか出来ない。

全ての事柄を千年も万年も前から定められた法律に準ずる国の役人から

逃げる事は出来ない。

一度、彼の国の裁判所に訴状が届けられたら最後、役人はあらゆる場所にでも現れ

罪を償うまで追い掛け回される。逃げる事などは出来ない。

だから、黙るしかなかった。


「さて、我が。

幾千万の法と正義と罪の律法の名において惡人と罪人と嘘つきの腑を抜いて首に巻き捨て果てる国に届けられた

書状によりますとですね。え?いちいち長いですって?これ略しちゃ駄目なんですよ

法律で決まってるです。

略しても間違って噛んでも罰金って法律に記されてるんです。え〜〜とですね」

見るからに役人であり堅苦しいヌヌンは手にした書簡と水脈公の顔を交互に

見つめて良い放つ。


「スイチャン・スリン・スペルスペ殿。

訴状によると貴方は内縁の妻様と内妾のお二人から訴えられていますな。

内容としてはどちらを正妻にするかを長年決められてないと言うことですね。

業を煮やしたお二人が訴え出たと言う事になりますが・・・・。

今、此処で決めて頂いて宜しいですか?

お二人の内どちらを正妻にするかお決めになって下さい。」


「うぐぐ・・」水晶公は一言唸り身を後ろに下げる。

「ちょっと、ちょっと。お役人さん?内縁の妻とか内妾とかどう言うことなの?

その辺詳しく!」

寝椅子に殆ど全裸で四肢を投げ出し柔菓子を口に運びながらモゴモゴと

ルルンミルカが声を上げた。


「え〜とですね。訴えを起こした内縁の奥方様がお住みになっているのが

幾千万の法と正義と罪の律法の名において惡人と罪人と嘘つきの腑を抜いて首に

巻き捨て果てる国でして

彼の地では正式な結婚をしなくてもミヌの大川は三度干上がる間

非公式でも婚姻関係にあれば

正式なそれと変わりない待遇が保証されるのです。内妾の場合は御法度ですね。

彼のお二人は各基準を満たしております。つまりスイチャン・スリン・スペルスペ殿の財産を受け取る権利をお持ちになっています。

最も長い間、正妻と認められずにいたのでこの度、業を煮やしてと言う事ですね。

で?どちら様を正妻にお迎えになります。水脈公殿?」


ルルンミルカの問いに答えたヌヌンは改めて水脈公に向き直って聞き正す。

しかし、肝心の水脈公は口を固く閉じワナワナと体を震わせるだけだ。

「急に具合が悪くなったようなご様子ですが、仮病ですか?それは通じませんよ?

我が国の法律がそんな三文芝居で誤魔化せると思ってるのですか?、

さぁ決めて下さい。今すぐに」

細四角眼鏡の脇縁に手を添えてギラリと睨む。


「うぐぐ・・・。決められん」

「はぁ?ご冗談を?どちらかを選んで頂いたのです。

決められないという選択は出来ません」

「はぁはぁ・・うぐぐ・・無理だ決められん・・・・うぐ」

顔真っ青に染めて今にでも水脈公は倒れそうだ。

「無理ですね。何故にお決めにならないか解りませんが、この場合はえっと・・。

幾千万の法と正義と罪の律法の名において惡人と罪人と嘘つきの腑を抜いて首に巻き捨て果てる国の法律条文によって、其の地位と名誉と財の全てを内縁のお二人に

譲渡する事になりますが。宜しいですか?」

「うぬ・・。それで、頼む・・・。」やっとの事でそれだけ声を絞り出すと

口から泡を吹いて水脈公は水硝子の床の上に倒れ落ちた。


久しぶりに燄を纏い悦に浸るルルンミルカであるが

まだ手続きがあるからとヌヌンに言われ

仕方なく礼服に着替えて私室で待ってると議論家ヌヌンがツカツカと入ってくる。

「いやぁ〜。ちゃんと法が施行されて良かったです。わざわざ遙々彼の国からやって来た甲斐がありました。

え?略したんじゃないかって?いえいえ。代名詞の使用は法律に触れません。

それも又法律で決まっているのです。

何?初めからそう言えば良いですって。それもまた決まってるのです。

ちゃんと正式に三度言って初めて以後は略して良いと定められているのです。」

一度、話出すと止まらないヌヌンに何度も簡素に放して欲しいと頼み込んでやっと

事のあらましを聞く事が出来る。


水脈公。

名士であり財も名誉もある貴族公爵ではあるが、誰にでも欠点がある。

彼は物事を選ぶ事が苦痛であり、無理に選ぼうとすると体の具合が悪くなる。

それは何かしらの結論が出る迄収まらないが、自分で決断は出来ない体質であった。

逆に第三者が決めた結論を受け入れるのは容易でもあり

彼の苦痛を止めるにはそれしかない。

議論家ヌヌンはそれと知っていて水脈公に難題を突きつけたと言う訳だ。

勿論仕事である。定められた法律に準ずるのが全てですと、ヌヌンは笑う。

結果的には内縁の妻と妾のどちらかを正妻にと当人が決めれば

それで済んだ話であるが当人はそれもままならず、地位も財もその場で剥奪された。

身につけていた宝石も衣服もそのまま剥がされ屋敷の外堀の湖に

放り込まれたと言う。

自業自得ですね。と良い放つヌヌンではあるが一番怖いのはヌヌン自身だろうと

ルルンミルカは内心に秘める。


確かに女を邪険に扱うのは良い事では無いけれども

だからと言って高位貴族の名と財とを取り上げ、従者達の給金の精算に必要だからと身ぐるみを剥ぎ奪い

あとはいらないからと湖に投げ棄てるのは行き過ぎでは無いかと言うと

「あはは。そうですか?えっと。ご存じありませんか?淑女様。

議論家と言うのは法律家ですが、同時に執行人でもあります。

つまりは罪人を裁くが仕事ですから・・・。言い換えれば処刑人ですね。

まぁ今回は刑事案件ではなく、民事案件なので軽い方です。

と水を飲みながら言い流す。


「何となくわかったけどさぁ〜。本当の所はどうなの?ピチャリ?

貴方の主人って誰なの?今思えば時々くれてた飴も炎飴でしょ?

食事にも入ってたよね。

タシの魔妖力を回復させるためでしょ?確かに効果あったけど。

それに、ヌヌンさんも不思議だわ。まるで狙い澄ましたように

あのタイミングでやって来るなんて

ちょっとおかしくない?ね?貴方達って何者?」

寝椅子に胡座座になったルルンミルカが問いただすと


ピチョリが蒼い布にくるんだ箱をルルンミルカの目の前に差し出す。

「私、逝かせ殺しの魔女。ユシアムリリン・サク・ヘシカンドーグと申します。

今は善絲使いハンニバル・シュルツワイグ・アイゼンホルムソーヌ様に

雌豚として飼われておりますの」

議論家ヌヌンも期せずして蒼い箱を差し出して言う。

「名乗った名は本物ですが。ハンニバルは兄でして・・・。

異母兄弟って奴です。いつも兄がお世話になってます。はい。

あまり世話を焼かすなと申しておりましたよ?」


ワナワナとルルンミルカの手が震え、ガクガクと肩が揺れる。

「あ・・あの・・・野郎ぉぉ〜〜〜。変態丸眼鏡の差し金かぁ〜〜〜〜〜。

あの。変態野郎が・・・・。クソ〜〜〜。助けてくれたのは嬉しいけど。くやしい。

ど・・・どうせ、包んである布は下着でしょ?しかもブラとパンティなんでしょ?

どうせ、サイズもぴったしなんでしょ〜〜。あの変態野郎。絶対燃やしてやる。

絶対燃やし尽くしてやるぅ〜〜」


「ええ、ルルンミルカ様の寝てる隙に私が時にこの手で寸法取りましたしぃ、

一寸のズレも御座いません。」

自身下に逝かせ殺しの魔女が良い放つ。ヌヌンも、深く首をふり同意する。



「お誕生日が近いでございましょ?

野暮用があって自分では来れないので渡してくれと託されたのです

おめでとう御座います。ルルンミルカ様」


「あ。あの野郎ぅ〜〜。でも、何故か嬉しい。くっ。複雑だわ。許せないけどぉ」

怒りと嬉しさで顔が強ばってしまったまま、二つの包みを解く

確かにそれは淡い色のブラとパンティのセットでコルセットガードルもあった。

二つの箱にはルルンミルカが好んで付ける薬指と小指の指輪だ。

魔妖を力を高める宝石が埋め込んでさえあった。

「うれしい。綺麗だし。素敵。でも許せない。

絶対燃やし尽くしてゴミ箱に捨ててやるぅ〜〜」

嬉しくもあり悔しさも又、抑えきれないルルンミルカの絶叫は静かにたゆる湖に立つ屋敷の外まで轟き響いていた。

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