第18話 VS植物の巨人
加勢すると意気込んだはいいものの…今の私にできることって足手まといしかなさそう…
うぅ、あっちこっちで建物を崩してる砂嵐をまずは対処する?
となると、風魔法でするべき?いや、それだと増長させてしまうのかな…あの砂嵐はどうやって発生してるんだろう。その根本が分かればいいんだけど…
作戦を練っている私に、夜一は私に炎魔法をかけてくれと頼まれ言われるがまま、触れながらイメージすると急に口の火を噴射して、気付かないうちに近づいてきていた蔦を燃やす。
一気に燃え上がらず、抵抗するかのように地面から生えた蔦は全体をくねらせる。けど、夜一は更に噴射し炎の色を赤から蒼く少し白いキラキラが混じったものを噴出させると蔦は燃えかすとなった。
「えぇー!?夜一凄い!?魔法使えないって言ってたのにめちゃくちゃ使いこなしてる!?」
『マナカが俺に魔力を注いでくれているおかげだな
森でも光魔法が使えてたから、もしかしてと思ってよ!』
夜一天才か!私は全く想像できなかったよ!
『また来たでございまする!』
フシルの掛け声で、夜一は私を咥えて一旦襲ってきた蔦からの攻撃を避ける。
蔦は避けられた後、くっついている黒っぽい紫の花から何かを噴出してきた。
それは花粉のように飛び散ると、ぐるぐると回転しだす。
小さい竜巻を起こした?
他にもついている花から同じように噴出されると、やがて大きくなり周りの砂嵐と同じように被害を出していく。
「あの花が原因なのね…となるとやっぱり草の巨人を倒すしかないのね…」
こういう時ってどうして怖い化け物倒さないと収まらないんだろう…
それなら猶更あの人の邪魔にならないような方法を編み出さないと。
…戦闘の経験がこれぽっちもないのにいい案なんか…バリオンさんならわかるかな?
でも、大声で叫ばれてから全然反応がないんだよね。
考えうるにこのネックレスと、短剣はつながっていて私が魔力注いでしまったからこんな状況になってしまったんだよね?
逆に魔力を吸い出すとかできるのかな…いや、ネックレスと短剣が未だに繋がっている可能性は低いからむやみに変なことしたらもっと恐ろくなりそうだからやめとこう
…私のせいで街の人達がこんなめに合ってるなら四の五の言ってないで突っ込むしかないよね。
よし、本来の目的通り短剣を取り出さなきゃ!
夜一に咥えられたままだった私は両手で頬を叩き気合を入れる。そして、フシルに一般の人が怪我しないように風魔法とかで助けに行ってもらい、夜一にはこのまま巨人の近くへ迫ってもらようにした。
夜一君やい運んでくれるのはありがたいのだけど、森の時みたいに背中に乗せてもらうのは贅沢かな…あ、攻撃よけるので精一杯らしいね…
首根っこを放さず蔦からの攻撃やら砂嵐に巻きこまれないように素早く走り抜け巨人の死角であろう、後ろに回る。
そこで下ろされると、私を助けてくれた人が大剣で巨人の腕を切り落とす場面に遭遇した。
だが、巨人の腕は切られても蔦がクルクルと元に戻るように腕を作り直す。それに対して舌打ちをして、私を発見するや否や背中に隠すように移動してきた。
「下がっててっていったのに、どうしてまだいるの。」
「わ、私も倒すの手伝います!これでも強い魔法は扱えるので!」
「…一般人じゃないの?それにそのモンスター…ダイアウルフ?」
悠長におしゃべりしている間に巨人は首だけを反転させて手のひらを広げて地面に蔦を潜らせる。蔦は海ではねて泳ぐイルカのように追撃してくるが助けてくれた人は、大剣をバットみたいに持って振りかぶる。すると、地面は抉れて一緒に蔦も切れ巨人の両腕をズタズタにする。
凄い…威力もそうだけど、その大剣を軽々と振りかぶって攻撃するなんて…
「あの再生力厄介…君強い魔法使えるって言ってたけどあの魔獣が回復するの食い止められる?」
食い止める…私が使える魔法でそんなことできる物あったかな…
慌てて本さんを取り出し使える魔法を見直す。
その中に先ほど夜一が炎を使っていたことその炎が蒼くキラキラしていたことから、なにか組み合わせていたこかもと推測する。
それを本さんに尋ねると正解だったようで、炎と光が融合したものらしい。
なるほど…それなら賊にやっちゃった時みたいに火柱を出せばいいかな?あ、でもそれだとこの人が直接攻撃できなくなっちゃうかも…一旦退いてもらって火の玉っぽいの当てる…?
私が悩んでいると夜一も参戦して、男の人に当たりそうな蔦を蒼い炎を口元に纏わせて嚙み千切っていく。
「…ダイアウルフ凄いね…君はいい魔法思いついた?」
「は、はい!一応!すみませんがちょっとだけ私の後ろにいてもらえませんか!」
「……わかった」
最後にもう一振りとばかりに首を切断して、私の傍に夜一と一緒に走ってくれた。
切断された首は地面に着地する前に蔦やらが掴んでスっと元の位置に直していく。
私はそれを直し終わる前に本を片手にもう片方の手の平を巨人に向ける。
火の玉…火の玉…大きい球体をイメージしたら手のひらの前で炎が丸く出てきた。炎の丸は最初テニスボールぐらいの大きさから魔力を込めると一気に私たちよりもどんどん大きくなり、ついには巨人と同じぐらいになる。その大きさになるまで数秒とかからず、私は巨人に向かって放った。
同じ大きさで避けようがなかった巨人は直に攻撃が当たり黒焦げとなる。蔦は塵カスとなり、急速だった再生もしなくなった。
「こんな威力の魔法初めて見た…何者なの…」
チートをもらった普通の女子高生ですとも言えず、
感情が乏しかった男の人が目をまん丸くさせて驚かれるさまを照れながら笑って誤魔化した。
『マナカ!短剣が出てきたぞ!!』
蔦は塵カスとなって再生しなくなったが、巨人のいた場所に短剣が浮かんだままで真ん中の黒い玉が邪気を放っていた。
「闇魔法をまとった短剣が元凶…?…君知ってた?」
はい…私がもらった短剣です…
男の人は興味があるのかないのかわからない表情で私に問いかけたあと、短剣の邪気が強まるのを感じたのか、また仕掛けてくる前に大剣を身構え始めた。
この人かっこいい…臨戦態勢に入って目をキリっとさせた男の人に不覚にも胸をときめきさせた私に夜一は何かを察したのか、その人と離れさすように間に入って私を背中に咥えて投げた。
「きゅ、急に投げられたら受け身取れないよ夜一!危うく転げ落ちそうだったじゃない!」
『ごめんな!フンッ!』
え、全然謝る声色じゃない
「……今度は砂嵐が相手?」
イケメンさんの言葉で短剣の方を見やると建物を崩していた砂嵐が集まってくる。
それが短剣の周りをグルグルと囲いだして、塵カスとなっていた蔦の残骸が舞い始める。
それが砂嵐と合体すると吸い込まれてしまいそうなほど黒く大きなハリケーンとなった。
イケメンさんが大剣で切っても風のため切れずただ黒い粉が舞うだけだった。
そして、最悪なことに粉は虫のような形になって無数に飛び交って襲い始めてきた。
噓でしょ!?さっきよりもめちゃくちゃ厄介なことになっているんですが!?
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