第16話 イメージ
想像以上に燃え上がった炎が小太りの男の足を膝辺りまで、燃やしてしまった。
それを急いで細見の男が、水魔法かな?をかけて火を消している。
円から出さないように、脅すつもりで空まで届くような炎をイメージしただけなのに…
フシルも驚きすぎて、口をポカーンとしている。
…手や足は、はみ出さないでください!
アトラクションで注意されるセリフを思い出し、賊共のせいにしとこう
火を消してもらった男は、細見の男から私が持っている回復ポーションと同じ瓶を受け取り
一気に飲み干す
飲んだおかげで、服は燃えてしまっていたがそこからのぞく焼け爛れた足が、かすり傷程度に直る
「ふっざけんなよぉお!技名も叫ばず、魔法を肥大化させるなんてあり得るかよぉ!」
円となり、燃え盛る炎柱の中心から男は怒鳴り散らすが、全く怖くなかった。
へっ!そんなところで怒っててもなんも怖くないよーだ!
…あんまり調子乗るのやめとこ
「おっさんたち!
フシルや私にこれ以上関わらないなら、見逃してあげるよ!」
賊共の言動に対して、怒り心頭だったけど怪我をしているのを見ちゃったら
冷静になってきた…グロイのは無理です!血は流しちゃアカン!
「ほざくな小娘がぁあ!俺は元上級冒険者だぞ!なめんな!
またもや、細身の男が技名を叫んで周りの炎を消そうとする
だけども、水が賊共の足周辺に水しぶきをあげただけですぐに蒸発した。
「なっ!?」
いっぱい出る筈だったのかな?めっちゃビックリしてる
炎ってもっと強くなるかな、こう薪をくべた焚火みたに…
本に触れたままそうイメージしてしまい、炎柱が勢いを増す
あ、やば
「
何度も技名を叫ぶが現状は変わらず、むしろどんどん水しぶきが小さくなる
「お、おい…!どうなってんだよぉ!!速く消せよぉ!どんどん暑くなってきてんぞぉお!」
完全に細身のに頼り切ってる、小太りの方は魔法使えない感じ?
「うるせぇ!!やってんだよ!!けど!小娘の炎魔法が強すぎてんのか、水が蒸発しちまんだよ!!」
「うぁあああああ!!」
い、一旦火力を抑えよう
コンロの火を弱めるように…
私はさっきからどんなイメージしてんだ
「お、おさまってきたぁ…?」
「あの小娘ぇ…!」
これで炎弱まるんかい
「おっさんたちここで引かなきゃ、痛い目に合うのそっちだよ?
どうする?」
「くそがぁあああ!」
「
えぇ…弱まった炎を飛び越えてきたよ小太りのおっさん…
身軽過ぎない…もう一人も出て来られるのも嫌だし強めよ
「ぬ、主様!」
「大丈夫!」
フシルに微笑みを向けながら、ゴブリンたちを倒したみたいに身体強化の魔法を自分にかける
細身に魔法をかけてもらい突進してきた小太りは、剣を振り下ろし終わる前に弾ける
弾けた小太りは、その勢いのまま再び強めた炎柱に突っ込んでしまった。
そうじゃん!私耐性あったわ…でも、そんな弾ける…!?
「ぎゃぁああああ!!あちぃ!!あちぃよぉおお!」
「ヤロー!!」
違う違う!焼け焦げさたいわけじゃない!
「本今すぐフシルと30共有して回復魔法覚えさせて!」
―ワシミズ族フシルと30レベル共有します。
「30共有…?」
フシルが不思議がってるけど、今は説明してあげれない!ごめんね!勝手に共有する!
共有し終わると、炎魔法を消す
それと同時に小太りに燃え移っていた火も消えた
そこにすかさず、回復させるイメージをする
回復のイメージって!?
と、とりあえず真っ白い肌か!?
健康体だった小太りをイメージして、そこに真っ白さを足した姿を想い浮かべる
「ヤロー?」
成功した…?
炎魔法が消えたことを確認するや否やヤローと呼んでいた小太りに急いで近寄る
倒れている小太りを私も一緒に少し離れた位置で確認すると、全身焼け爛れていたのが、さっきまでと同じ肌に戻っていた
よ、よかった…悲惨な姿見ずにすみました…
小太りは気絶している為、安否はわかんないですけどね!
「お前…何もんだ…」
血気盛んだった細見はなりを潜め、私を慄いた目で見つめる
何もんって言われましても…異世界人…?
……ここは、余裕をもって話せば退却してくれかな
「知らなくていいよ。私はおっさんたちがもう、フシルに関わらずにどっか行ってくれさいいんだから」
「…できっかよ、ワシミズ族を連れて帰んなきゃ俺たちの命がねぇーんだ!」
嘘じゃん…また、戦闘態勢入るの…
人が燃えてるとこ初めてみて参っているに…もうやめよって…
フシルを助けたくて始めたけど、もう終わりでいいじゃん…
引かないおっさんたちにも事情があるっぽいけど悪いことするやつの事なんて知らんて…
「フシルどうする?このおっさんもやっつける?」
「…わ、私は…!もう追いかけられたくないでございまする…
で、ですけど…ぬ、主様が気をおうようなことはして欲しくないでございます…」
いい子だ!!うん!じゃあ!逃げよう!
最初に提言してくれてたのにごめんね!
逃げる準備の為、フシルを抱きかかえると細見がそれを察して魔法を唱える
だがしかーし!私には魔法の耐性があるみいね!!
「くそ!!」
「逃げるが勝ち!」
細見を背にして走り出すと、細見の更に後ろから、聞き覚えるのある声が聞こえ始める
「マナカァアアアアア!」
今度は何!?
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