第14話 新たなもふもふ
一生涯…一生……一生……!?
「一生!?」
「はいでございまする…!」
元気よく返事をするフクロウもどきさんに内心パニックになりながらも、平常心を保つように
極めて落ち着き払った態度で接していく
「い、一生っていうのは、森を抜けるまでという意味でいいかな…!?」
語尾が上がっちゃった…落ち着けぇー
「いいえ!森を抜けた後もどこに行こうにも、一生お供するでございまする!
私、即答していただけてすごくうれしいでございまする!」
お、おかしい…!勝手に話が決まっているだと…!?
両翼を腕に乗せながら上目遣いをしてくるのは、とてもかわいい!首周りについているモフモフの毛も肌触りがとてもよさそうで見ているだけで、癒されますが!!
わ、私には夜一という合流しなければいけない肉食獣が…!あ、フクロウも猛禽類だから肉食か
この子フクロウかわからないけど
「安易に答えるから…」
私としては、モフモフ生物が増えるのは歓喜の舞を踊りたくなるほどですよ?
大歓迎だよ?
けど、夜一と契約したばかりに次のモフモフっていいのかな…
無責任な飼い主みたいにならないかな…
ずっと黙ったまま、考え込んでいる姿に不安を持たせてしまったのか、フクロウもどきさんは羽をバタバタとし始める
「あ、あの…ご迷惑でしたか…?」
「い、いや…そういうわけじゃ…」
「そうですよね…私はワシミズ族…
どこに行っても厄介者…
貴方様にも煩わしい気分にさせてしまいますよね……」
顔を曇らせ、私から去ろうとするフクロウもどきさんの背は物悲しくみえ
胸が痛いぐらいに締め付けられる
ふ、フクロウもどきさん…!あぁ!
「フクロウもどきさん!」
羽をひろげ今にも飛びだって行こうとしたところを止めてしまった……
だって!あんな涙目で言われてしまったら止めるしかないじゃない!!
ドラゴンさん呆れないで!?
呼び止められた、フクロウもどきさんは首だけを私に向ける
そ、それは怖い…
「一生はちょっと無理だけど…この薄気味悪い森から出るまでなら一緒にいよ…?」
「本当でございますか!嬉しいでございます!
森から出るまでに一生といわせて見せますでございます!」
去ろうとしていた向きから勢いよく、私の目前まで近寄り
喜びを表現しようと周りをぐるぐると飛び回る
結構この子ぐいぐいくるね…まぁいいけど……
「お主はもうちょい疑ってかかりなさいな…」
「ドラゴンさんよりも、可愛いかったからつい…」
「お主、我に対して少し厳しくないか」
「今までの行動振り返ってみなよ」
「すみません…貴方様は先ほどから誰と話されておられるんですか?
声は聞こえるのですが…」
声は聞こえるのねよかった…
独り言してるヤバイ奴に思われるところだった…
「このネックレスについてる石で、こことは違う場所にいるドラゴンさんと話してたんだ」
「ドラゴンさん…」
「そう、ドラゴンさん」
「名前を伝えたろうになぜ呼んでくれんのだ…」
ドラゴンさんがすっかり板についてしまってたわ
「ごめんってバリオンさん、これからは名前で呼ぶから拗ねないでね
めんどくさいから」
「め、めんどくさい…!?お、お主今めんどくさいと!」
「そういえばフクロウもどきさんの名前聞いてなかったね!なんて呼べばいい?」
「え!あ、はい!私、名前がないのでつけてくださるととっても嬉しいでございまする!」
考え事をしていたのか、大きな目を伏せて何か呟いていて、返事が遅れた
……?この子ドラゴンって聞いても割と驚かなかった?
この世界では有名じゃないのかな?あ、でも夜一はめっちゃ吃驚してたわ
知らないだけ…?
「名前がない…私がつけちゃっていいの?」
「お主!そうむやみに「はい!つけてほしいでございます!」
バリオンが何か言いかけていたが、フクロウもどきさんが遮るように元気よく返事をする
そこで疑問に思えばよかったのに、ふわふわもこもこの体でフクロウもどきさんに頬刷りされてしまい、
思考を放棄してしまった。
「はうぅ、ふわふわだ…久しく触れていなかったふわふわだ…」
「はい!私、自分の羽には自信がございまする!
存分に味わっていただき名前を付けてくださいまし!」
「な、なまえは…そうだな…フシルなんてどう…?」
「フシル…良い名前でございまする!」
フクロウもどきさんから承諾を得た途端、バックからまたもや本が光りながら飛び出してきた
毎回飛び出すね君…疲れない?
神獣愛花、ワシミズ族フシルと仮契約するか?
はい/いいえ
そういや、名前与えると仮契約だったんだ…うっかりしてた…てへっ!
けど、選択肢あるからいいえって答えればいいよね!
「貴方様!私のモフモフは気持ち良いですか!」
「うん、めっちゃ癒されます」
輝いて、浮いていた本は閉じられ地面に着地した。
え、今の肯定とみなされた?噓でしょ!?
というか、私誘導された!?
「はぁ、ジャブゴブリンたちの言う通りマヌケめ」
「バリオンさん!?」
「主様!これでお供できますね!」
この子、恐ろしいわ…!?
満々と策略に嵌ってしまった…
……夜一との契約もこんなだったな…私、もう少し慎重に生きていこう…
はぁ…しょうがない…ここはもう、夜一と合流して相談しよ…
夜一はどこにいるんだろ…早く会いたい…
「よーし、くよくよしてても事態は変えられない!フシル!行こうか!」
「はい!主様!」
いつの間にか主様呼びになってる、まぁいっか
とりあえずは、動こう!
迷子の夜一探しに!
「おいおい、こんなところに逃げたワシミズ族と小娘がいんぜ」
「ほんとだなぁこりゃ俺たちにも運が回ってきたかぁ?」
ねぇ!まだ一歩も歩いてないんですけど!?
このいらない遭遇率何なの!?スキルのラッキーガールどこいった!!!
いい加減夜一に会わせろや!!!
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