第11話 仮と本

 

 ドラゴンさんの説明を自分なりに解釈すると…

 仮契約は、主となるものがモンスターや精霊に名を教えてもらうか、名を与える一方的なもの

 本契約はお互いに名前を教え合い、血を交換するという怖い感じで始まるものらしい…

 この本契約では、召使い的と言ったのも命令を絶対に従わせられるからなのと、その人が制御出来るモンスターでやるから、しっかり上下関係が確約するみたい


 ここまでの説明で夜一とは血を交換をしていないから、本契約ではないんじゃないかなっと思ったけど、ユニークスキル生き物マスターは、名を交換するだけでどんなに強いモンスターでも出来るみたい…私のスキル恐ろしいっ!

 だけど、強制力はなくて普通のよりも信頼出来る仲間っていう感じらしい!これは素晴らしい!!

 仮契約では、本の前で名を与えるか名を呼ぶだけでいいみたい

 レベルも本契約と違って段階形式で慣れてきたら増えていくから、一気に力が付かないで好きに与えていくみたい


「こんな感じ?」


「やっと理解できたか…」


「ここまで1時間はかかったんじゃねーか…?」


 ドラゴンさんの説明で、夜一はすぐに理解できたらしいけど、私はちんぷんかんぷんで途中から夜一も一緒になって教えてもらいました!


「2人ともめっちゃ疲れてんね!」


「「誰のせいだ!!!」」


 色んなルールがある方が悪いもん…


「まったく、これでやっと仮契約できる」


「そこで質問です!」


「まだあるのか…」


 そんな項垂れなくても!


「ドラゴンさん名前を忘れたと言ってたけど、どうやって契約するんですか!」


 もともとの名前があるならそっちが絶対にいい気がする…


「そのことか

 それならば、お主はもう知っているではないか」


 いや知らんし!

 教えてくれてないですけど!!

 夜一の言う通りボケてんのかな…


「……さっき見覚えがあるといって、書き出した文字は

 我の名だ」


 ………そうなの!?

 なんでおじいちゃんの家に…

 不思議がいっぱいすぎる…これ以上考えると知恵熱でぶっ倒れてしまいます。


「というか読み方わかんないし!!」


「はぁ…言うに事欠いて読めんとな……

 もっと他にも思うことがあるだろうに…」


「俺のご主人様は相当頭が悪いんだな…」


 夜一も苦労するしそうだなぁ…じゃないし!

 二人とも酷いよ!

 読めないもんは読めないもん!私がすぐに異世界の言葉をマスターできると思うなよ!


「…バリオン

 それが我の名だ」


 バリオン…響きかっこいいな

 そんなかっこいい名前忘れちゃうもん?

 …まぁ、ずっと話し相手もおらずにいたからしょうがないのか…

 700年ここに…

 松明の明かりがあっても、暗い洞窟みたいな場所で過ごしてきたドラゴンさんはどんな気持ちだったんだろう…

 私だったら耐えられそうにないや


「では、契約をするぞ

 我の名を唱えよ」


「う、うん、バリオン…」


 ドラゴンさんと見つめあいながら名を唱えると

 夜一の時みたいに本がバックから飛び出し、私の前でページをめくっていく

 パラパラとめくれた後ドラゴンさんに似た絵が現れる

 やっぱり異世界の文字はまだ読めないけど、最後だけは読めた


 神獣愛花、エンドラゴン種バリオンと仮契約するか?


 はい/いいえ


 そのまま、はいと言葉にした後

 前とは違い、続けざまに読める字が浮き出してきた


 エンドラゴン種バリオン、レベルが神獣愛花よりも上です。

 レベルをどれだけ共有いたしますか?


「レベルを共有…どれぐらいすればいいの?」


 横でお座りしている夜一に相談する


「20ぐらい共有して、100に到達してもいいんじゃねーか?

 人間の到達できるレベルが100っていうし」


 と後ろ足で耳裏をかきながら話す

 可愛い…揺れる度に毛がわっさわっさしてる

 あとで堪能させてもらおう

 などと、契約をしている最中にモフモフな夜一さんに夢中になって眺めていたら

 本が目前に移動する


 レベルをどれだけ共有いたしますか?


 さっきより、強調されてるような…


「に、20レベルお願いします」


 提案されたレベルをそのまま本にお願いしたら、急に体が芯から熱くなってきた

 あ、あつい…燃えるように熱いよ…

 急にしゃがみ込む私に夜一が慌てだす。


「おい!どうしたんだ!?どっか痛いのか!?」


「きっとレベルが100を超えたからだろ、

 すぐに元気になる」


 ドラゴンさんの言葉通り熱かった体がシュッと消えた

 び、びっくりしたー


 でも、熱くなっただけで、特に変わってない気がする…


「さて、契約も終わったことだ

 お主らを移転させるぞ」


「余韻も残させてくれないドラゴンさんせっかち!」


「ここでダラダラとしていても仕方なかろう

 夜一も外に出られると聞いて尻尾を振っているし」


「べ、別に振ってねぇ!!」


 ツンデレな夜一最強ね!

 散歩ときいてはしゃぐ愛犬と似ててとてもかわいいです。

 もっとふって

 おっと、また夢中になるところだった。とりあえず本をしまおう。

 顔が緩んでいるところを夜一にみられないよう、本をバックにしまい込む

 そして、ちゃっかりとリンゴをもらっておく

 お腹すいたようにまた食べたいじゃん?

 本当はお肉とかも食べたいけどね!


「準備でっきましたー!」


「そうか、では行くぞ!

 久方ぶりに使うからな、変なところに飛ばしてしまったらすまんな!」


「「え、ドラゴン(さん)!?」」


 意気揚々と不安要素を残し、器用に前足で手を振るドラゴンさんを最後にした

 あのボケドラゴンさんめぇ!!

 恨み言も遅く、景色が一瞬にして移りる。


 す、凄い

 魔法初めて体験した…

 元の世界にないから当たり前なんだけどね!

 ……あれ!?夜一は!?

 隣にいたモフモフな夜一はおらず、代わりに毒々しい雰囲気を放つ森が広がっていた


「夜一がいない!?なぜ!?」


 次に直接ドラゴンさんに会ったときは、一発ぶん殴ってやる!!

 私の手が痛くなるだけか…

 とりあえず…


「どうやって合流すればいいのよぉぉぉおおおおおお!!」


 悲痛な叫びが森に響き渡った





【……マ゛ァ……ダァ……】







 名前:神獣 愛花 年齢:18

 種族:人間 性別:女

 レベル:81→101 HP:203 MP:∞

 ユニークスキル:生き物マスター

        ラッキーガール

        ???


 スキル:杖術…打杖術

    格闘術…足蹴り


 耐性…打撃耐性レベル5

    斬撃耐性レベル5

    刺突耐性レベル5

    貫通耐性レベル5

  魔法耐性レベル8

    状態異常耐性レベル3


 魔法…補助魔法

    獣魔法


 持ち物:魔法バック×1

    木の棒×23

    回復ポーション(緑)×58

    最上級回復ポーション(青)×99

 リンゴ×60

    34,000,000マニー

    全ての種族本


 契約

 名前:夜一 種族:ダイアウルフ 性別:オス

 レベル:81→101 HP:4680 


 仮契約

 名前:バリオン 種族:エンドラゴン 性別:オス

 レベル:??? HP:???

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