第10話 文字
完全になめてました
日本と一緒の五十音だから、簡単に覚えられるとか思ってました…
あいうえおで書いてあったら誰でも簡単とか普通思うだろう
でも、実際には慣れない形で似てるような文字がとても多かったり、組み合わさると違う発音になったり…
結果!覚えられません!
「ドラゴンさん!私の頭じゃ難解過ぎて読み解けません!!!」
「もうねをあげているのか?
そんなでは、この世界についていけんぞ~」
そう言われても…
元々勉強ができない私におっしゃらないでください…
この世界を理解していかなきゃいけないていうのは、分かってるんだけど
英語もままならない私にとって新しい言葉を覚えていくのは、サルに勉強しなさいと言っているようなもんよ
これはお猿さんに失礼か
まぁムリって言いう話ですよ
チート級のスキルを持っているのに、言語に関してはからっきしってどういうこと!
大体なんで異世界トリップしてんの私は!
いきなり知らない土地にいて知らないモンスターに追いかけられて!
知らない言葉覚えなきゃなんなくて!
ここまであり得ない事の連続過ぎて違和感逆に感じなかったけど、冷静に考えると発狂してもおかしくない状況ですけど!!
最初から叫んでいた事実も忘れて、勉強のイライラを貯めてたらふと気になる文字を発見する。
「ねぇねぇドラゴンさん、この文字とこの文字を組み合わせるとなんて読むの?」
「なんだお手上げだっというとったのに、もう文字をくっつけることが出来るように…なっ…」
難しすぎる文字たちなのは変わらずだけど、どこか見覚えがある字をくっつけてみせた
それを見たドラゴンさんは、表情はあんまりわからないが笑顔っぽい雰囲気から一変、もともと丸い目をこれでもかって程にかっぴらき、瞳を震わせている。
え、ドラゴンさんどうしたん?私もしかしてやばい文字作っちゃった?
それとも言葉を無くすほどの罵倒だった?
や、やばい…とにかく謝ろう!!
「ど、ドラゴンさん!なんかやばい文字だった!?ご、ごめ「お主この文字は、今偶然作り出したのか…?」
謝罪を遮り、静かに疑問を口にするドラゴンさん
返答次第で私怒られる…?
ぐ、偶然っていう?それだと嘘になっちゃう…
文字の意味は知らないし、本当のこと言えばいいよね…
私とドラゴンさんの緊迫した空気に、休憩していた夜一が一度観察した後、
目をつぶって寝る体制に戻る
ちょぉおおお!一応私主人!!見捨てないでぇええ!
助けを求める私にドラゴンさんはため息をついて、諭すように話し始める。
「はぁ…我は別に怒っているわけではないぞ
ただ、この名前を知っているのかと聞きたいんだ」
名前?これ名前だったの…
怖い空気醸し出すから、変な言葉かと思って焦ったじゃん!もう!
「冷や汗かいたと思ったら今度はぷりぷりしよってからに、忙しいやつだのぉ」
「うるさいですーそういうお年頃なんですぅー」
反抗期の様に言葉を返す私に、良いからはよ答えを言わんかと催促される
18にもなってちょっと大人げなかった…恥ずかしい…
だが、鼻で笑った夜一はあとで懲らしめる!!
「昔おじいちゃんの家に遊びに行って、見かけた覚えがあったので書いてみました…」
「おじいちゃん…ふむ…」
瞳を閉じて、暫く考えこんでいるのか、沈黙が訪れる
お、重い…沈黙が重いよ…
親しい人とは耐えられそうな沈黙も、会ったばかりのドラゴンさんとは空気が重いよ!
私との関係性をはかってから沈黙して!!
関係性はかるってなんだ私!
一人漫才を頭で繰り広げているうちに考えがまとまったのか重そうな口を開ける
「やはりここで修行や勉強をするよりお主は、外にでて実践で教えた方が良さそうだ」
「外に出る?このダンジョンみたいなとこから出て、イナバウアーしてるゾンビがいっぱいいる外に!?」
イナバウアーと聞いて耳を立てた夜一が、私を見捨てて、寝た体制を起き上がらせる
心の中で見捨てたを強調する私に夜一はジト目を向ける
夜一はエスパーか!
「顔に全部出てんだよバカ主人」
何!?今度からポーカーフェイス練習しよう…
「話しても良いか…」
「はい…」
やっべ、そろそろドラゴンさんいじけそう
「ごほんっ、外の魔物やゾンビのことは気にするな
我の魔力を使ってお主が安全に実践出来る場所まで移動させる」
「移動…ゲームであるような転移魔法的な?」
「おぉ!そうだじゃそうじゃ!話が早くて助かるぞい」
自分のオタク知識が役に立ちました!!誇ろ!
「…でも、そうなるとドラゴンさん外に出て平気なの?」
悪い意味じゃないけど、絶対目立つ大きさだよね…
というよりドラゴンって珍しくないの?
「我はここからは出られない訳がある故、一緒にはついて行けぬ」
それって…ドラゴンさんまた一人ぼっちに…
「感傷に浸りそうな所悪いが、我はお主と共にあるぞ」
…?
「何言ってんだお前、ボケたか」
「夜一お口が悪いよ!本当のこと言ったらドラゴンさん傷ついちゃう!」
「お主ども失礼すぎじゃ、これでも我はまだまだ若い分類に入る年齢だ」
そうなんだ…お年寄りの口調だからてっきり…
って、それより!
「ここから出れないのに、共にあるって矛盾してない?」
おもむろにドラゴンさんが口を開ける、夜一は攻撃されると思ったのか私の前に走りこむ
夜一!私よりも何で自分を大事にしないの!
私もとっさに夜一を覆いかぶさるように抱き着く
だが、想像していた炎を出すかと思ったら、生温い風だけが力強く噴き出す。
風の勢いに目をつぶる
バラエティー番組のドッキリにある扇風機にあったっているみたいに風が強い!当たったことは一度もないけどね!
けど、それぐらい強い風が数秒吹きぬける
「少しは、我のことを信用せい」
風が止まるとドラゴンさんが少ししょぼくれた声を出す。
いきなり尖りまくった歯がいっぱいある口を開けるのも悪いと思います!
「すまん…」
素直に謝れる夜一いい子!
「ん?私こんなネックレス付けてたっけ」
さっきまで寂しい首もとがあら不思議、小さくて透明な石がついたネックレスがステキにぶらさっがっている
「そこに我の意識を移す、そうすることで身体はここにとどまられさせることが出来る
身体は我の魔力で状態を維持できるので死なぬので安全じゃ」
それってつまり幽体離脱…
「とにかく、まずは我と契約をしよう」
契約?それって夜一とした契約ってこと?
ドラゴンさんが契約獣…
ドラゴンと…かっこいい…いや、すぐいじけるしなぁ
「てか、契約って召使い的なのでしょ?嫌だよ
私友達になりたいのに」
友達になりたい宣言に目を細め、穏やかな表情になるドラゴンさん
「(本当に似ておる…)…大丈夫じゃ、契約は契約でも仮契約的なものだ
夜一としたみたいな本契約は、実はこの世界では稀でな
我とは名前をお互いに酌み交わさないでやるもの」
なんか仮契約とか本契約と仕事みたい…
はぁ…この世界きてから難しいことばっかり…
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