第16話 不調
これで私達の未来を妨害しようとする人間達はいなくなった。
大切だった人達に邪魔もの、だなんて言葉は使いたくないけれど。
彼らがいなくなった事で色々な事が鵜なく行くようになった。
疫病神だなんて、せいせいするなんて、そんな風に罵っている人を見ると胸が痛くなる。
でも、彼等を犠牲にして得た時間を、私達は大切にしなければならない。
だから、私達は平和な時間を贈り続けた。
それでも、すぐにうまくいかなくなった。
やっぱり犠牲を出し過ぎたのかもしれない。
何も知らない一般人達と笑うことができなくなって、オルタに随分心配をかけてしまった。
オルタの幸せを願っていたはずなのに、
今のオルタは全然笑ってくれない。
当然だ。
オルタの傍にいる私が笑えてないんだから。
私は私の我がままで皆を犠牲にしたんだから。
ちゃんと幸せにならないといけない。
でも、無理。
笑えない。
だって、夢に出てくるのよ。
皆「お前のせいだ」って私達を責めてくるのよ。
やめてよ、ああするしか方法なかたんだから。
ごめんなさい。
ごめんさない。
ごめんなさい。
私はうわごとを言いながらうなされていたようだ。
オルタが私を起こしてくれた。彼は「キャロ、大丈夫か」心配そうな顔で話しかけてくる。
「大丈夫よ」
嘘だ。
大丈夫じゃない。
私の心は壊れかけてる。
だって、その証拠に、音魔法が使えなくなってる。
戦えなくなってしまったのだから。
オルタはそんな私に「なあ、キャロ。コールドスリープしないか」そう提案してきた。
私は彼の意図が分からなくて「どういう事?」そう質問する。
「世界の終わりを見届けようぜ。そして短い間だけ幸せに生きて、一緒に死のう」
それが私達にふさわしい罰。
そして義務。
一番の方法なのかもしれない。
オルタを守る事が私にとって大切な事だけど、そのときのわたしは何を一番にすればいいのか分からなくなっていた。
だから「そうね」そう私は頷いていた。
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