第17話 未来のない世界



 私達二人はコールドスリープの眠りについた。

 そして、世界の終わりの時代に再び目覚めた。


「久しぶりですね、キャロ。オルタ」


 クレアに再会を喜ばれて、少しは彼女の役に立てた事が分かって嬉しかった。

 ほんの少しだけ胸のつかえが少なくなった。


 もうすぐ世界は終わるだろう。

 やっと終わる。

 追われるんだ。

 あと半年くらいだ。


 それまでオルタと一緒に精一杯生きて滅びを受け入れよう。

 それが私の罪の償いだ。

 見届ける義務なんだ。


 つきあってくれるオルタには申し訳ないけれど。


 世界にはまだ結構な人達が生きていた。

 当初の予定では人類は緩やかに衰退していくとみられていたけれど、意外としぶとかったようだ。


 未来の無い世界を生きている彼らは何を思っているのだろう。

 選択した当人である私は、その事を聞けないでいる。


 これもきっと罰なのだろう。

 苦しいけれど、今はその苦しさに救われている。


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る