第15話 切り崩し



 私達は頑張った。

 だけど、頑張ったからといって、必ずしも最善の方法を手に入れられるわけではない。


 説得は失敗だった。

 彼らは切り捨てなければならない。


 視線の先にはたくさんの知り合いがいる。

 商店街の皆にノラ、もくず屋のフィーや、マリオンさん、一緒に戦った仲間達もたくさん。


 けれど、彼等のやり方ではだめなのだ。

 この世界が滅んでしまう。

 オルタが死んでしまう。


 だから、私達はその地域を切り崩すことにした。


「イクストラ・グランドパージ」


 名前のある音魔法の使い手が、大地を切り崩して、世界を切り取っていく。

 私達の地域と寸断された彼らの地域は孤立無援になった。


 彼らのすぐ傍には壁が迫っている。

 あのまま、妨害を続けていたら一か月も持たないだろう。


 私達はそれを助けない。

 見捨てなければならない。


 心の中で何度もごめんなさいと呟き続けた。

 でも実際には口に出さない。

 きっと、皆同じ気持ちだろうから。


 ああ、この世界を救ってくれるヒーローがいてくれればいいのに。


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