第12話 友達



 決意したはずなのに。

 答えなんて出てる。

 どっちを選ぶのか聞かれたら、私は迷わず一方をとるだろう。


 でも、クレアは私達の友達だ。

 友達を、ただ生きて魔法を行使するだけの存在にするだなんて。

 そんな生贄みたいな事していいのだろうか。


 だから私は、「反対です。何か他に方法があるはずよ」そう言う。

 せめて最初から諦めるなんてしたくはなかった。

 私の大切なものは決まってるけど、だからといって簡単に切り捨てられない。

 オルタも同じ気持ちだったらしい。「おう、まだそれしかないって決まったわけじゃないんだろ。だったら、さがしてみるべきだぜ」と、同意してくれた。


 しかし、クレアは首を振る。


「もうそれしか方法がないのです。貴方達もご存知でしょう。確かにまだ余裕はあるかもしれないけれど、ギリギリまで我慢すれば、それだけ人の心は追い詰められ、荒んでしまう」

「っ!」


 つい最近あった出来事を思い出す。


 動物達ですら、世界の異変を感じている。

 ストレスに弱かったらしい一部の種は、絶滅してしまったほどだ。

 なら、人間が追い詰められていないわけがない。

 今はまだ、普通に生活できているが、この先は?


「そうなってからでは遅いのです。私達は人の上に立ち、人の生活を守るために武器をとった。なら、平穏が壊れる前に何とかしなくては」


 反論が見つからなかった。


 ここで代案が見つかるまで説得出来れば、どれだけよかったか。

 でも、そんな無責任なことはできない。

 仲間は大事。この世界の人達も大事。

 けれど、私にとって一番大事なのは、オルタだから。


 結局、最初から選択肢なんてなかった。

 クレア一人が犠牲になるしか、なかったのだ。


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