第三章

第11話 クレア・ラル・カリファイル



 アーク・ライズの世界は、ただ座して滅びを待っているわけじゃない。

 皆、必死になっていて、どうにかして大切な人達が死ななくてすむように考えてる。


 でも、だからってこんな方法、許されるの?


「許される、許されないの問題ではありません。私達が生き延びるために、やるしかないのです」


 その日、自治組織の中でも優秀な人達が集められた。

 そしてある話がされる。

 私達に、その方法を説明した人は顔を曇らせた。


 百人に問えば百人が美人だと答えるだろう容姿の少女。

 クレア・ラル・カリファイル。


 彼女が音魔法を使って、壁の進行を食い止めると言った。

 けれどその方法が、問題なのだ。


 この世界には、音魔法の源である物質が集まっている場所がある。

 莫大な共鳴水晶が眠っている。クリスタルの山。

 エア・コンドル。


 そこで永遠に眠りにつき、ただ魔法を繰り返し行使するだけの存在になるというのだ。


 彼女の結界は、確実に浸食をくいとめるだろう。私達が現在の人口から緩やかに減少していくだけの時間の間なら、この世界を守っていける。


 未来はないけど、オルタと幸せになるだけの時間は確保できる。


 でも最低だ。

 こんな打算。

 

 最悪だ。

 私が選び取るのはもう決まっている。


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