第8話 人々の生活
ノラは、安心させるように私達に言う。
「増えたネコ達は、近くの森から移動して来た猫なのら。オルタ達が知ってる通り、世界は日に日に狭くなってるのら。だから壁によってセイカツケンを奪われたノラ達が、町に移動してきてるのら」
「なるほどな」
「そういう事だったのね。確かにそれなら自然だわ」
のんびりしてる動物とか、知能の発達していない昆虫とかは壁に巻き込まれてそのまま消滅したりもするけど、移動力のある動物なんかは安全な地を求めて移動し続けている。
それは私達だって同じ事だ。
人間だって、安全に生きられる場所を探して、徐々に中央部に集まり始めているのだから。
そういうわけで、人間の生活圏に野生動物が入って来る事は珍しい事ではない。
「住民統制なんかは、もっと上の奴らがやってるから俺達はよく分かんねえけどな。猫までは、さすがに面倒見きられないよな」
「でも、これからどうするの? 今日は一応手伝いはするけど、このままだともっと増えるよわ。ノラは大丈夫なの?」
聞いたのは、もちろん野良猫の世話を出来るかどうかという話だ。
ノラは、神妙な顔になって「正直今の現状で、いっぱいいっぱいなのら。でも、ギリギリまで受けいれてあげたいし、見捨てたくないのら」と言った。
問題を先延ばしにしているに過ぎないけれど、私達がそれ以上あれこれ言える問題でもない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます