第9話 自警団の仲間マリオン・デザトリア
空地でうろうろしていた猫を外に出さないように言ってから、地域を走り回ってしばらく。
30匹くらいの猫達を回収したけれど、まだまだ先は長そうだった。
抱え込んだ猫に引っ掻かれながら「明日も手伝う事になりそうだな」オルタがため息を吐く。
私も「そうね、絆創膏とかもってきたほうがいいかも。いちいち魔法で怪我を治すのも面倒になってきたわ」と同意する。
とにかく捕まえるはし、新たな猫が見つかるのだから、おちおち治療してる暇もない。
なれてきた頃からは、もう手賞の傷なんて唾つけてそのままだ。
それからも十匹くらい捕まえていたら、声をかけられた。
「よう、お前さん達何やってるんだ。猫とじゃれるなんて物好きだな」
声をかけてきたのは中年のおっさんだ。
そこらへんを出歩いてそうな、おっさんに見えるけれど、そう見えて中々頼りになる。
自警団の仲間として、朝は他の地方で活動している。
名前はマリオン・デザトリア。
「おう、マリオンのおっさんか」
「こんにちは、ちょっと頼まれたんです」
「相変わらず、あっちこっち首突っ込んでんな。大概にしとかねぇと、そのうち痛い目みるぜ」
大抵は一人でいることが多いマリオンさんは、私達のしている手伝いにあまり良い印象を抱いていない様だった。
この人は大勢と一緒にいるよりは、基本は一人で行動する事が多い人だ。
自警団の見回りも、一人で行ってるみたいだし。
マリオンさんは、「いざという時、義理と人情で板挟みになって、大切なもんを守れなくて亡き目を見る事になるからな。じゃ、生きてたら今度飲みにつきあえよ」そう言って去って行く。
オルタは、「おっさん悪い人じゃないんだけどな」何とも言えない表情で呟く。
「オルタがああいう人を苦手に思うのは分かるけど、この世界ではああいう人が普通なのよ」
「俺には、あんな風に割り切るなんてできそうにねぇな」
正直私も苦手だけど、こんな世界だし、そういう意見になっちゃうのも仕方がないと思う。
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