第7話 ノラの野良猫集め



 もくず屋で必要な買い物をした後は、商店街へと向かった。

 辿り着いたのは、ぽっかりと空間があいた空き地だ。


「野良猫を集めてほしいのら」


 と、私達に野良猫集めを頼んだのは、この商店街でマスコット的な存在である少女ノラだ。


 年は十歳かそこら。

 ちょうどフィーと同じくらいの歳だろう。


 特徴的な話し言葉をしながら、彼女は説明する。


「地域猫は厳重な管理が必要なのら。でも、誰かが飼ってた猫を放し飼いにしたらしくて、見覚えのない猫が増えてるのら。というわけで、至急対処をおねがいするのら」

「おう、分かった」


 大仰に頷いたオルタは、「けど」と周囲を見回す。


 空地にはすでに十数匹の猫がたむろっていたからだ。


「全部で何匹いるんだ、これ」

「百匹近くなのら」


 私とオルタは、「「百匹ぃっ!!」と、思わず声を合わせて驚いてしまった。


 ノラは地域の野良猫を保護して、お世話をしている事は知っているけれど、まさかそれほどまでとは思わなかったから。


「この間来た時は、そんなとんでもない数じゃなかっただろ。この短期間でなんでそんな増えてんだ?」

「そうよ、おかしいじゃない。誰かに押し付けられたりしたの?」

「そんな事はないのら」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る