脚本演習･超短編シナリオ

おじさんだれ？

課題「風邪」

タイトル『おじさんだれ？』

人物

柏真一（32）会社員

花森るり（4）その娘

○花森家・居間（夜）

　　　柏真一（32）、立ったままテーブルで置

　　　手紙を書いている。書き終わり、その

　　　場を去ろうとすると、扉を開け目をこ

　　　すりながら花森るり（4）が入ってく

　　　る。るりの額には少しくしゃっとした

　　　冷えピタが貼ってありほっぺたが赤い。

　　　柏、少し動揺するが微笑んで

柏「おはよ。起こしちゃったか？」

るり「（目をこすりながら）だれぇ？」

　　　柏、絶句。少し目を泳がせたあと、し

　　　ゃがんでるりに視線を合わせる。

柏「おじさん、お医者さんだよ。ママに呼ば

　れてきたんだ」

るり「ふーん。ママは？」

柏「もうすぐ帰ってくるよ」

　　　るり、コンコンと咳をする。

　　　柏、るりのもとに行き額に手を当てる。

柏「まだお熱あるから寝てなさい」

　　　るり、眠そうな顔で両手を伸ばす。

　　　柏、少し涙ぐみるりを抱きかかえる。

　　　居間の扉をでて暗闇に向かう柏の背中。

○同（朝）

　　　テーブルでプリンを食べるるり。顔色

　　　はよい。その隣に置手紙、「るりへ　れ

　　　いぞうこにプリンがあるよ　お医者さんより」

　　　「お医者さん」の下には塗りつぶされ

　　　た「パパ」の字。