第21話 イルミネーション
「その・・・今の私はあなたにどう見えますか? 」
占い師はそうY子さんに聞いた。彼女の悩みがどこにあるのか、とにかく正直に答えた。
「今のあなたは・・・今まで見たことのないあなたのような気がする・・・」
「そうですか・・・・・・」
この会話は、彼女にとってY子さんの言葉が励ましにならなかった事の証明だった。しかしY子さんは逆にしっかりして、まるで占いを受けている時とは真逆になった。
「今のあなたは、おとなしめの可愛い女の子に見える。その・・・何て言うのかな・・・言葉の重さをよくわかっているから、言葉が少ないのかもと思うんだけれど。決して嫌な雰囲気ではないわ」
「あ・・・ありがとうございます」
すこし占い師はほっとした感じになった。
「あの・・・もしかしたらその・・・今までのあなたの色々なキャラって、その・・・幽霊というか、亡くなった方の意向というか、そんな感じなの? 」
「あ・・・・・」
その言葉とともに彼女はキョロキョロと部屋を見渡した。誰もいないにもかかわらず、何度も何度も部屋のあちこちを見て、そして数分後
「不思議・・・今日は誰もいないみたい・・・どうしてかな・・・
大きなイベントとか・・・」
「イベント? 確か今日駅で大規模なイルミネーションの点灯式があるって」
「ああ! そのせいですね!! じゃあ、しばらくはここには帰ってこないかな!!! 」
初めて明るい顔になった。
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