第18話 警官


「商店街をランニングなんておかしいけれど」


Y子さんは少ない人の目をちょっと気にはしたが、とにかく占い師のところに少しでも早く行かなければと思った。彼女の不可思議な行動を、会いに行く最大の理由にしている自分も変であるが、それ以上に

「私、何故こんなに急いでいるんだろう、そんな必要ないだろうに」


でも何故か足は止まらずに、店の前にやってきた。そしてドアノブに手をかけた瞬間、中から声が聞こえた。男の人の声で、しかも大きい。


「あ・・・どうしよう・・・いけないよね」


と、とにかくライオンの顔の前まで下がった。ちょうど良く息を整える時間ができて、持っていた水筒のぬるめのお茶を飲んでいた。するとガチャリとドアが開き、出てきたのは、制服を着た警察官二人だった。


「あ!! 」案外大きめの声を出し、

Y子さんは思わず数歩前に出て、そしてそのまま、警官のところに行った。


「あの、彼女が大きな道を何度か横断した事でこられたんですか? 」


すると警官二人は顔を見合わせ、一人がちょっと話し辛そうに


「まあ、そうですが、お友達ですか? 」


「いいえ、彼女に占ってもらった人間の一人です。今日、私も彼女が危険横断をしているのを見ました。ちょっと妙な感じでした。それでここに来てみたんです。

でも、それは彼女なりの理由があると思います。その辺は全くわかりませんが、彼女の占いは、よく当たるというか・・・その・・・占いだけでは無くて、人間の観察という点も含めてすごいと思うんです。

そのおかげで泥棒に入られるのも防げましたし」


「泥棒? 」

その言葉に警官二人は目が光り、その光った目で頷き合って


「すいません、少しお話を伺えませんでしょうか、あの占い師の事も含めて」


「はい、喜んで」


近くの交番に行くのかと思いきや、大きな警察署にパトカーで向かうことになってしまった。

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