D-DAY6~ それぞれの思い出

D-DAY6 戦力強化

 奴らの数が10を下回った時、奴らを轢き殺しながら移動を開始した。

「――まさか、元木先輩の息子さんだったとは・・・、失礼いたしました」

「いえ。謝るのはこっちですよ、結局騙してしまったのですから」

 車内で小隊長さんと雫の3人で話をしていたのだが、渉は初めて乗る96式装輪装甲車の運転者とマニアにしか分からない単語で会話していた。

「ところで、元木先輩はご存命ですか?」

「あ、いえ・・・。実家に行ったら、奴らの仲間でした。最後の言葉は電話越しでした」

「そう、か・・・。すまない、嫌な事を思い出させてしまったな」

 小隊長さんの名前は守男もりお達明たつあきというらしい、なんとも紳士的な人だ。

「達明さん、陸自の前線基地に着いたら――!」

「ああ、分かっているよ。君達は友人という事にするから、なにも問題はない。安心してくれ」

「それと雫の親父さんと、俺を会わせてくれますか?俺と渉は、向かうべき場所があるので」

「ちょっと、隼!何言っているの⁉」

 雫が驚愕の眼で俺を見て来たが、「良かったじゃン、親父さんと出会えて」と優しく言った。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 市ヶ谷駐屯地に着いた俺と渉、雫の3人は、達明さんの案内で雫の親父さんが待って居る場所へと向かっていた。

「ここが、応接間だ。少しだけ待って居てくれるかな?雫さん、キミもここに居るかい?」

「え、ええ」

 達明さんが笑顔で部屋を出ていった後、雫にビンタされた。

「何・・・平気な顔して、離れていくの⁈」

「だって、俺達は――」

「雫を家族に会わせるために、行動していた」

「昨晩、キミが寝ている間に隼と話し合ったのさ。キミを大阪まで連れて行ったら、危険だってね」

「――でも!」

 そこに陸将補と陸将が達明さんと一緒にやって来たので、俺達は一度会話を終わらせた。

「久しぶりだね、隼君」

「そうですね、正治良せいじろうさん」

 俺達は互いに握手をしあった後、正治良さんに感謝を言われた。

「――小隊長から聞いたよ、雫を護衛してくれていたって」

「初めに名前を聞いた時、驚きましたよ」

 雫は「え・・・?」と驚いたのだが、渉は補足で「隼は記憶や管理だけは、一流だよ」と誇らしく言った。

「ハハハ!そうか、そうか。・・・あー、それで源十郎は元気か?あいつは、狙撃の成績や数々の大会で金メダルの常連だったからなぁ・・・」

「それが、奴らになってしまったらしく――」

「うそだろ・・・?いや、こんな混乱している世界だ、大会常連の彼らも敵わなかったか」

 その後、俺は今後の計画を話に出した。

「――取り敢えず、大阪に行きます。そこに渉の実家があるので・・・」

「何が必要かな?」

「え?」

「燃料ほぼ空の車で向かう気か?それだったら、旧式ではあるがガレージにある車両とか武器を賞与という形であげる事は可能だが?」

 マジで・・・?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 陸将補の人と建物裏にあるガレージに向かうと、何処かの博物館のような広さに中に外套をかけられて眠っている銃器や車両達があった。

「うっわぁー・・・、スゲェ・・・‼」

 ミリタリーもヲタクの範疇の渉は外套をめくりあげて銃器名や車両名をピタリピタリと当てていった。流石、ヲタク。

 やがて、渉は1台の車両に足を止めて俺達を呼んだ。

「隼!これが最高だぜ!」

「この車が・・・?」

「ああ、銃座付きの統合系戦術車両。通称、M-ATVだ!こいつなら、悪路も問題なし‼」

 陸将補の人が「AT車ですよ、この車両は」と言ったので最悪、俺でも運転が出来そうだ。

「あ、それと!あそこにある偵察用バイクのALX250も追加で!」

 うわぁお、抜け目がないねぇ・・・。

 その後も、マイナーな銃器から有名な銃火器までを頼んだ。

「・・・い、意外だわ」

 陸将補の人が隼と渉から離れた時、小声で心の中の声を言った。

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