D-DAY3 危険回避

 コンビニから3人で出るとすぐにキャンピングカーに改装したハーフトラックに乗り込み、後部座席に置いてあるかばんから充電中のスマホを取り出してある場所へと電話を掛けた。

『――もしもし?』

「あ、親父?」

『隼か⁈今、どこにいる⁉』

「今、高山病院近くのコンビニで――」

『高山って・・・、暴徒騒ぎの場所だろ』

「うん、今から3人でそっちに向かう所だよ」

『そ、そうか。狩場に居る』

「わかった」

 携帯をきると、狩場の場所を渉に教えた。

「山梨か・・・、遠いな。少なくても3日はかかる」

「ココから行くには、下道だよな?」

「ああ、奴らが高速に居る場合はそうなるな」

「あ、あのぅ・・・?」

 後部座席に座っている女性の存在を忘れていた俺達は「あ」と言って、会話を辞めた。

「え、えーっと・・・名前は?」

笠倉かさくらしずくと言います、大学生で2、23です」

 嘘ついている感じがするのは、俺だけですか?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 途中、パーキングなどに車を止めたりまだ無事なガソリンスタンドで補給をしたりしてなんとか東京都まで移動してきた。

「・・・静かだな」

「ああ」

「そう・・・ですね」

 高層群が立ち並び、活気があったであろう秋葉原は今や地獄と化していた。奴らが蔓延り、都庁前広場には配給中という看板をぶら下げたまま放置された屋台などがあった。

「隼、見ろよ」

「なんだ?」

 渉が指差した場所を見ると、〈セーフベース〉と言う看板があった。

「自衛隊のか?」

「さぁな、でも。行ってみる価値はありそうじゃないか?」

「ああ、後で。な」

 東京から山梨へと向かうという決断で車に走りシートベルトを閉めた時、20式小銃を構えた自衛隊員がこちらに走って来た。

「止まりなさい!」

「渉、出せ!」

「おうよ」

 エンジンが唸りを上げてバンが走り出すと共に、ベッドの上に腰かけていた雫が後ろを見ていた。

「雫、後ろはどうだ?」

「戦車来ている!」

「戦車・・・?」

 サイドミラーを見ると確かに10式戦車が見えた。

「マジかよ――渉、後方に戦車2両‼」

「おいおい、勘弁してくれよ」

 40キロ制限の道路を車線関係なしで走っていると、いつの間にか山梨に着いていた。

 山梨県のとある田舎町に俺――元木家の実家がある。元木家は狩猟を中心に生活しているので当然、家の玄関にはショットガンや猟銃が置いている。

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