第18話 殺し方

残り23分という中で、ダイアナに暴言者の…殺し方を教えてもらった。


綴リビトや寄り添いビトの武器は暴言者の“メンタル”なるものを

破壊できるらしい。ダイアナにぶっ刺された暴言者も、何処かにぶっ刺して

横にスラッシュされてたような気がする…。


人間のメンタルは「精神面、また、心の持ちように関する」。

意外と繊細で、暴言を吐かれるたびに傷ついていく。


たまにちょっとやそっとじゃ傷つかない鋼のメンタルの持ち主もいるそうだけど。

心の中にあるため、暴言者が宿る場所でもあるらしい。


心に傷が出来るとそこからしばらく、食料となる“言葉”があふれてくるからだ。

それは大体、傷つく原因となった暴言や、それに対する心の声。


暴言者のメンタルは人間と同じく傷つく。自身が発する言葉に反論されれば。けれどそれ以外は人間の核ともちろん違っていて、暴言者の心臓にあるらしい。


暴言者に消化器官とかあるのかな、と思ったけど、心臓=核だそうだ。弱い暴言者は

人間と同じ位置にあるみたいだけれど、いくら暴言者の身体が


大きくなっていっても、核の大きさはそのまま。賢い暴言者ほどそれを利用して、

人間と同じじゃない場所に動かしたりする。…動かせるんだ。


核は小さいままでも、言葉や言霊を食べると、体の成長や頭が賢くなるにつれ、

鋼になっていく。そうなっていくと、反論をしても核は破壊できない。


だから、武器を使って強制的に消滅させる。

それが、綴リビト(または寄り添いビト)だけが暴言者を倒せる理由らしい。


反論で消滅させることは普通の人間にも出来るそうだけど、寄り添われたり、

綴リビトに暴言者が心から追い出されて外に出ない限り人間に見えることは

まずない。


仮に自身に宿る暴言者が見えたとしても、暴言者が宿るのは、言葉を嫌う

破ルモノだけだ。とうてい反論など出来ないだろう。

反論出来ないから、心に傷がついていって、やがて言葉を嫌ってしまう。


ダイアナが刺したあの時の暴言者は大きなぬいぐるみぐらいあった。

ダイアナいわく、


「多分、寄り添いが成立したときも未だ核にいた。元々は最初に倒した暴言者と

同じくらいの小ささだった。けど、寄り添いビトになったことで大量に溜まる

言霊を食べた。そう思う。」


急成長、ということなのだろうか。寄り添いビトになった瞬間に倒されてたから、

かなりの急スピードで言霊が溜まったのかな…。



今日学校から帰ったと、き留守番をしてくれていたダイアナが、玄関まで来て

「おかえり」と言ってくれたけど、その瞬間じっとこちらを見ていた。


初日と同じように肩叩かれて、暴言者が出てきたのを見たけれどやっぱり慣れない。

というか、慣れたくない。自身の身体から生物(?)なんて良い気にならないし。


破ルモノになってしまった自分が悪いんだけど…言い訳をするのならば

「嫌いになったっていいじゃないか!」。暴言者というリスクがつきますけど。


その時倒された暴言者も、けっこう大きかった。言霊をいっぱい食べてるのか…。

他の破ルモノに宿る暴言者が言霊に気づいて襲ってくることはあるようで。


そのための武器、というわけでもあるんだけれど…。本来暴言者は黒いもやで、

触ることが出来ない。けれどやはり、言葉による反論は出来るし、


武器でならば触ることが出来る。でもそれはあくまで寄り添いビトだけで、

綴リビトだけは触れるらしい。初日あの大きい暴言者、ダイアナ掴んでたからね…。


ダイアナの武器は短剣だ。金色に光るつかに銀色に光る刃。

至ってシンプルで、少し豪華そうな短剣。


対して自分は白いレイピアだ。フェンシングでは白いフルーレを使っていて、武器を

決めるとき、寄り添いビトのイメージも必要になるから、


白いフルーレ、というイメージが、レイピアを白くする原因になったんだと

ジョシュアが教えてくれた。現在あの双子は仲良くアリアと朝陽の武器練習を

のんびり見ているのだが。二人はなんの武器なんだろう…。


フェンシングには本来フルーレの他にもサーベルとかがあるけれど…、

一番当てられる範囲が広いのはフルーレだ。それに学校もフルーレを使う方針。


レプリカ(練習用)のレイピアよりも、フルーレよりも、そして使ったことがない

エペやサーベルよりも、やっぱり本物のレイピアの方が重い…気がする。


武器は本来、綴リビトと寄り添いビトの手が“Key”を包み込み、意識を

集中させることで寄り添いビトは出せるのだが、


上達すれば自分だけで出せるようになるらしい。しばらく武器の扱いの練習を

したあと、出せるように集中する練習があるとアリアが言っていた。


アリアいわく、今いる寄り添いビトの中で、自力で武器を出せるのは

エルヴィスの寄り添いビトだけなんだとか。強い。


そういえば、お茶会の出席者は意外と少なかった。ダイアナも

「綴リビトが海外にいることは珍しくない」と言っていたけど…。


(アリアさん、)

「?」


ダイアナから説明を受け、残り16分。3分ぐらい休憩をとることになり、

蓮はシャーロットに教えられた爆弾の構造を一人復習、


朝陽はアリアが持ってきた紅茶を飲んでいた。シャーロットはイザベルと談笑し、

ジョシュアは未だ日向ぼっこ中だ。


(お茶会のときの出席者、意外と少なかったんですけど…)

「ん。欠席、いっぱい。それ、分かる、分かります。でも。」


途切れつつもアリアが教えてくれた。あの時は文字化なんて現象、初めてだったから

全員が集まったが、綴リビトというのは気まぐれで、今までに何度か集まったことは


あるけれど(主に報告だったりする)、いろんな理由で出席しないということは

あるそう。


アリアいわく、バージルにはそもそも手紙を出せなかったと。


「バージル、危険、です。綴リビト、力、強すぎる。」


バージルは綴リビトとしての力が強い反面、情緒不安定で、

寄り添いビトをという事件を起こしたそうだ。


しかも作られてからあまり時間が経っていない間に。本人もその一件が

トラウマらしく、寄り添いビトを持てない状態。


暴言者を倒してはいるそうだけど、お茶会に出たとして情緒不安定になり、

仮に自身や朝陽、蓮を殺してしまったら大変だ。


だからアリアは、バージルに伝えはしたけれど、手紙は出さなかった。というか、

朝陽に書くのをやめさせたらしい。そしてお得意のワープで伝えるも、


アリアが予想していた通り、寄り添いビトを殺すかもしれないと遠慮して、

欠席をしたそうだ。


エルヴィスはというと、手紙を届けはしたものの、速攻パス。


『綴リビト+寄り添いビトいるんだからもう行かなくて結構だよねぇ?』


と断られたらしい。綴リビトであるながら、言葉の危機を救おうとはしない性格で、

元々がめんどくさがりや、というこもあるらしい。


フィオナはというと、現在寄り添いビトに付き添って海外にいるため、なるべく

急いで日本に行くけれど、少し遅れるとのこと。ダイアナが危惧していたとおり、

やっぱり海外に行っている、ということはあるんだな…。


ギャリーとヘレナについては、文字化によって現在寄り添いビトがおらず、

ギャリーは快く行こうとしてくれたものの、ヘレナにエルヴィスと同じ理由で


止められ、行こうにも行けない状態らしい。止められたから行けないって言っても、

綴リビトに止められただけで行けないのかな。言葉での引き留めじゃなくて


実力行使での引き留めだったり…?シャーロットの回想ではバージルとヘレナは

出席をしていたものの、「バージルさんが」「ヘレナさんが」こう言った、とは


聞かなかったため、発言をしていないのだろう。なのでどういう人かがわからない。

でも、出席をしないという理由については、


「めんどくさいor海外や引きとめで行きたくても行けない」ということだ。

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