第46話 記者会見①

「……貴君らが多大な貢献をしたことを、ここに称する。本当にありがとう」


新聞記者やテレビのカメラマンの前で表彰が行われていた。


「ありがとうございます」


愛海は卒業式の卒業証書授与のように1歩前へ出て、証書を受け取り、一方後ろに戻る。即興と言えでも単純な動作なのでミスるなんてことはなかった。


「神生蒼」


名前を呼ばれたので前に出る。


「貴殿の栄光を讃え、ここに称する。ありがとう」


彼から恭しく賞状を受け取る。彼は手を差し出してきた。

握手を求めているのだろうか。断る理由もないので畏れ多いように握手した。


記者たちのカメラのフラッシュで眩しい。テレビニュースのあのフラッシュの雨を自らが受けることになるとは想像もしてなかった。


褒賞の後、記者たちの希望で10分間程度の質問会が設けられた。簡単にパイプイスとテーブルが設置され、俺たちと一席空けたその隣に三谷都知事も座っている。


「これより質問を受け付けます」


司会がそう言うと、予め考えていたのか半数以上の記者が手を挙げた。


「○○新聞者」


「はい。お2人は高校生、だそうですが何故今回の行動をしたのでしょう?」


「あっ、えぇっと……」


愛海はエキシビジョンで緊張が更に張り詰めている。代わりに俺が答えることにした。


「私たちなら解決できる。そう確信したからです」


「あなた達に出来ることが、大人に出来ないとお思いになったのですか? 実際、問題解決をしたのはギルドの人間だと聞いています」


痛いところを突かれるな。


「はい、その通りです」


「あなた達が具体的に何をしたのか、伺っても良いですか?」


「はい」


アイコンタクトで愛海に許可を求める。彼女は小さく頷いた。


「お答えするために、事故の全容をお話しする必要がありますが、三谷都知事よろしいですか?」


「構わん」


「分かりました。__スクリーンをご覧ください」


記者の目が俺たちの後ろにあるスクリーンに向いた。


「ご覧のように、発電施設において謎の呪いが発生しました。原因は調査中です」


記者陣がざわついた。

調査中とはいったが判明しないだろう。呪いの使い手は俺が元いた世界でも極少数であり、呪術師特定は俺がこっちに来る前の数年間で確立した技術だ。魔法技術が発達していないこっちの世界では無駄足になるに違いない。


「これにより発電施設は機能を停止。皆さんも被害に遭われたと思いますが東京を中心に大規模な停電が発生しました」


ついでにスクリーンのスライドは俺がリアルタイムで作成しているのを映している。


「私たちは発電所に急行し、現状把握後一時的に電力を給電しました」


1人手を挙げる。


「簡単に言ってますが、電力はどこからきたんです?」


「俺が発電しました。……その後ギルド職員が到着、事態は収拾ついたわけです。今言った通り、私たちは一時凌ぎではありますが、停電を復旧しました。また、ギルド職員とは知り合いであり、連絡をしたのも私です」


「発電した、というのはあなたのスキルですか?」


「はい」


「どのようなスキル__」


「君、それ以上は不躾ではないかね」


三谷都知事が止めに入る。


「都知事構いません。その件をお話しするためにこの場にいるようなものですから」

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