第43話 家族会議
色々あって諸問題は解決した。晴翔兄さんが暗躍したのだろう、探りを入れるなんて野暮なことはしない。
「ほれ、戸籍登録しといたぞ」
「あ、っはい。ありがとうございます」
何さも楽だったように言ってるんですか。
「そう言えば、都知事がお前に褒賞をやりたいって」
「えっ!?」
「この現代社会、電気は必需だ。発電所の異常に対応したんだから当然だろ。俺もだけどな」
「……」
そうか、俺はあの時自動人形である事をその場にいたもの全員に明かして……発電所の代わりに発電していたんだ。
「その前に、家族会議が必要だけどな」
「はい……」
「じゃ、帰るぞ」
「えっ……」
「ほら、新幹線予約してあるんだ。早く行くぞ」
「は、はい……」
色んなことがあった手前、俺は彼について行くしかなかった。
♦︎ ♦︎ ♦︎ ♦︎
「アチー。やっぱこっちも真夏日だなぁ。スーツは暑い」
そう言いながらスーツを脱ぎシャツになる彼と共に実家に来ていた。
俺の隣に兄の晴翔、向かい合わせにお父さんとお母さんが座っている。
つまり、家族会議だ。
「エアコンつけてるんだけどねぇ。扇風機も回しますか」
母の茜がリモコンに手を伸ばす。
「あ、僕が付けますよ」
「……ありがとうね」
家族会議の議題は僕をこれまで通りこの家の子として扱うかどうかだ。だから俺の正体が自動人形であることは両親に伝わっている。
最初こそ驚いていたが、思い当たる節があったようですんなりと受け入れていた。
「俺はコイツと会ったばっかだが、悪いヤツではない。断言する」
「「……」」
会って間もない彼からそんな言葉が出るとは思わなかった。
「ワシも蒼が悪い子ではないのは分かってる」
「私も」
「なら、今まで通り__」
「でもね、悲しいの。私たちは、家族なんだから。最初に言って欲しかった。せめて……行く前に言って欲しかった……それだけなの」
「……ごめんなさい」
俺には謝ることしか出来なかった。
「さっ、ご飯にしましょう。2人とも空いてるでしょ?」
お母さん……
「はい!」
「あぁ」
ホントに頭が上がらないな。感謝しかない。
「手伝います」
「ありがとう、蒼」
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