生徒会役員編
第25話 生徒会?
「生徒会に入りたい人〜」
マギクラフト社社長、神生悠の訪問の次の日。朝のホームルームで先生が生徒会の役員募集をしていた。
「ここの生徒会は他のとは違って、やる事多いから部活扱いになる。生徒会の役割としては生徒行事の運営がメインで、あとは新入生説明会とかがある。定員は生徒会長、副会長を除き各学年4人までです。締切は金曜までだからそれまでに私か生徒会役員に言ってください。以上」
号令、そして授業の準備。
生徒会か。前の世界の学校にもあるという情報はあるが詳しくは知らないな。
「蒼は生徒会役員になる?」
と聞いてきたのは愛海。彼女はあの一件以来俺のことを呼び捨てで呼ぶようになった。あの後俺から呼び捨てで良いですよ、といったからだ。
「他に誰もいなければやってもいい、という感じでしょうか。愛海はどうですか?」
実は愛海も俺に呼び捨てで良いよ、と言っていた。なので俺も彼女を呼び捨てにしている。
「私もまだ悩んでるかな〜。2人は?」
「俺は入る予定だ!」
「はぁ。恵みたいな馬鹿が役員になったらこの学校潰れちゃうでしょ」
「俺を遠回しに馬鹿って言ったか今?」
「うん」
「こ、この野郎……」
恵が握り拳を作るが、攻撃にはならない。
「なら! この4人で役員なってみよーぜ!」
「「えぇ〜」」
綺麗に声が重なる女子2人。
「この4人なら、同じパーティーでお互いよく知ってるし、何より蒼がいるから万が一ミスってもなんとかなるだろ」
「……」
「あ、あの?」
2人とも真剣に悩み始めてしまった。え、そんなに恵は学力高くないんだっけ。
「「よし、入るか」」
結局、放課後に生徒会室に行ってみることになった。
「ここが生徒会室……」
一見すると何も変哲もない部屋。しかしドアの奥からは強者の気配を感じ取れていてみんなドアを開けるのを躊躇っている。
「では、俺から」
「え、ちょっ……」
埒が開かないので俺はノックし、「失礼します」とドアを開けた。
「__ッ!?」
開けたと同時に中から何かが飛来してきたので俺は横に避ける。すると飛来物はそのまま俺たちの後ろの壁にぶっ刺さった。
3人は顔を青くさせている。きっと想像したのだろう。『もし自分が開けていたら避けられただろうか』と。それくらい速かった。
「今のを避けるか〜。結構強く投げたんだけどな〜」
「お前人を殺す気か!」
「そんな事はないよ〜。あ、他にそこ3人いるんでしょ? 早く入って入って〜」
恐る恐る生徒会室に入る。2回目は無かったようで安心した。
「まずは初めまして。私は2年工藤遥。生徒会長だよ〜」
「それで、俺がコイツの見張り兼副会長の斉藤雄紀だ」
「「「え、えぇぇぇ!?」」」
2人の自己紹介を聞いた途端驚く3人。
「か、斉藤雄紀って、あの最年少でダンジョンを攻略したっていう」
「は、工藤遥って……魔法の腕じゃ同年代で肩を並べられる者はなく、斉藤雄紀と一緒にダンジョンを攻略したっていう……」
「「「スゲェ〜」」」
……全然分からない。下調べしてくるんだった。校内の噂とか全然聞いていないからな。
ついでに3年生は既に生徒会を引退している。
「も〜。それこの前の休みの出来事なのにもう噂になってるのね」
「しかも俺まで……噂が広がるのは早いな」
「まぁそんな事より、君たちの事教えてくれるかな?」
俺たちは順に軽く自己紹介をする。
「ふ〜ん。ルーキーの『四翼』全員ってわけか〜。これは期待できそうだね」
「うむ。学力、実技。それぞれバラバラだが総合してみるとバランスが取れているように思える」
ホッと安心するのも束の間、先輩方は真剣な眼差しで俺たちを見る。
「君たちに試練を言い渡そう」
「「「「試練?」」」」
「そうさ。4人でダンジョンを一つ攻略してくるんだ。今度の土日でな」
「た、たった二日間で!?」
「4人いるだけまだマシだと思わないのか? 俺たちは2人で3日かけて攻略したんだ」
「もし出来たら、君たちを正式に生徒会役員として迎え入れよう」
試練、か。役員になるのは別に義務ではないので断ってもいいが……
「やります!」
恵が大きく言う。
「うん。せっかく、ここまで来たから、試練やる」
「私も!」
「俺は皆さんに合わせます」
俺は3人の意見を尊重するためそう答える。
「うん。意見が揃ったようだね〜。さっき言った通り、三日間でダンジョン攻略をしたら君たちの生徒会役員になる事を認めよう」
「今からでも準備した方がいい。準備は入念にして損はないからな」
「「「「はい」」」」
勢いよくドアを開けた恵に続き俺たちは生徒会室を後にした。
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