第2話

家から出るとすぐに真上から日差しが僕を照らした。

もう正午を少し過ぎたくらいだろうか。

僕は近くの大通りへと向かう。そこにはスーパーや牛丼やファストフードのチェーン店などがあり、なにかしらの食べ物を調達できるからだ。

大通りまでへの道中で僕はなにを買うのか頭の中で整理をはじめた。

まず家には何も無いから明日からの仕事終わりの食料を買わなければいけない、あとは今日のごはんと

、などと頭の中である程度の買い物リストをつくる。

そしてスーパーだけで事足りるだろうと決定した。

あまり色々なところに行くのは疲れるからというのもある。

そんなことを考えているうちにスーパーに着いた。

入口付近では人が入ったり出たりが繰り返され一向に扉は開いたままである。

だが店前の自転車置き場には数えられる程度しか自転車が置かれていないのをみると混んではいない様だ。

僕はスーパーの中へと入った。

中は入り口付近とは比べ想像通りあまり人はいなかった。僕は通路の真ん中を歩き何が必要であろうかと食品を右、左と交互に頭を向けながら探していく。

必要な食料をカゴに入れ、僕はレジへと向かった。

「いらっしゃいませ」

女性の店員さんがお会計をしてくれる。

その店員さんはいままで出会ってきた店員となんら変わらなく淡々とレジを打っている。

僕はなんの気なしにレジ前の台を見た。

小さなアリがトコトコと歩いている。

僕はふとこのままレジのカゴを動かしてはきっとこのアリは死んでしまうだろうと考えた。

僕はそのことを少し切なく感じたが逃がしてやることもできずにいた。

すると女性の手がすっとアリの方へとよった。アリは最初はその手から遠ざかるように進行方向を変えていたが、いくらか進行方向を変えるとついに女の手に登っていった。女はそれを確認し手を上にあげる。

「少々お待ちください」

そう僕に軽く微笑んで女は店の出口へと小走りし、店前でアリを地面へとおろした。

そして僕の前までまた小走りで戻った。

「すいません、気になってしまって。」

女はそう言って僕に少し悪そうな顔をしてレジのカゴを移動させた。

「いえ、僕も気になっていたのでよかったです。ありがとう。」

そう言うと女はにっこりとして軽く頭を下げた。


この出来事が彼女との初めての出会いであり、僕が彼女を気にし始めた時であった。

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