同色

三日月

第1話

夜が明けた時、いつも目の前にあるのは明るい太陽でもなく、小鳥の囀りさえずでもなく黒いもやである。

身体を癒すための睡眠も、これではまったくした気がしない。

僕は重い身体を起こせずに布団の中で丸くなった。

胎内にいた頃の体勢と似ているからなのかなぜか丸くなるとほっと落ち着く。

お腹から小さくにぶい音が鳴り響く。

腹が減った。

しかし家にはなにもない。

布団の側にある小さい座卓の上は、食べ終わったカップラーメンといつかのペットボトルが置いてあるだけで口に入れれるものは何もない。

せっかくの休みの日であるのに外に出なければいけないとは、自分の計画のなさに苛立ちを感じる。

キッチンの洗い場で自分の顔に軽く水をあてる。

ほんの少し視界の明度が上がる。

洗い場下の取手にかかったタオルで顔を拭き、玄関の靴棚の上に置いた財布と鍵を持って僕は家を出た。

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