あなたのパパ

幸せって何だろう。小さいころの夢を見た。ただただ何も考えずに

「将来の夢はお嫁さんになる事」と何かの発表会で話す夢。


目を開くと見慣れない天井。

彼氏だけど不安定な、曖昧な関係の彼の寝息が隣から聞こえてくる。

私は健太郎さんの何なんだろうか。「セフレも都合のいい女になるのも嫌。」と昨日はっきりと伝えたが、ただ『そんな風に思ってないよ』

としか言わなかった。初めてのデートはいきなり遊園地になった。長時間アトラクションに並ぶかもしれない。その間の会話どうしよう。緊張するな。と私の不安なんて、健太郎さんと合流した瞬間きえた。お互いが人見知りする性格ではないこともあり、1日楽しみそのまま家に泊まっていた。『何もしないよ』って言う言葉を信じていたわけじゃないし。流れで抱かれているときも、小さな抵抗はしていた。軽い女に思われたくないのに、恋に落ちている私には強く拒むことも出来なくて。バカ女だな。と今でも思う。ただ好きだった。今も嫌いになれない。


それから連絡が取れなくなったわけでもなく。そんなに頻繁に会うわけではないが、健太郎さんの部屋で会うようになった。映画に行こう。水族館に行こう。動物園に行こう。どこどこ行こうと話はするが、平日休みの仕事の私と、土日休みの彼との休みが合うことはなく。部屋で映画見て、セックスする。ただバカ女でも自己防衛はしていた。定期ピルを服用し当然避妊も要求していた。


次の日の朝、仕事に行く彼と一緒に部屋を出る関係が続いている。完全完璧に都合のいい女なのである。分かっている。ただ好きになってしまったので、『そんな風に思ってないよ』と言った彼を信じたくなる。


ううん…信じていたから、彼からのLINEを待ってた…

 これが漫画やアニメならば、彼が今何をして何を考えて、行動しているのかが吹き出しになって出てくるから分かるのに。とたまに考える。ただ現実にはそうはいかないから、未読のLINEが彼と私の時間を止める。

 私だってずっと彼のことを考えているわけではない。朝起きて、仕事して、友達と休みの日を過ごしてる。ちょっとした時間に携帯を見る。3日以上も携帯を見る時間がないなんて、絶対にない。意図的に無視しているのは分かるが、その理由がわからない。『また会ってくれる?』と聞いてきたのは彼なはずなのに、今は私が彼を待っている。

 ♪~)3年くらい前に声をかけられた男の人からのLINE。何カ月未読無視しても、定期的にくるLINE。意味わからない時間にかかってくる電話。

この人と彼が逆だったらっと考えない日はなかった。「私最低だな」

今自分がされて嫌なことを、平気で別の誰かにしている。自分勝手で本当に嫌になる。好意を持ってくれる人を好きになれたら幸せになれたのに。

でもね、私はあなたのパパを好きになった。

『俺メンヘラ製造機ってよくゆわれるねん。ただ今までの彼女が、そうゆう気質があっただけやのにひどいよね』って自分が相手を思いやることができていないのを、分かってない人。だけど優しいふりと実際行動には移さないが、いつも都合のいいことをささやいていた。あなたのパパは男性として、情けないし人間として最低だけど、私にあなたを愛することをくれた。愛することを奪ったけど、幸せな数カ月をくれた。間違っていた。初めはただ妊娠という奇跡が、実感なくて他人事だった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る