13話 喜びの死
2021年2月 風春 名流 (かぜはるなる)
白花(しろは)のお墓を訪れた僕は昔の記憶を思いだし、そして現在は家に帰り、吐き気と頭痛に悩まさせれているた。たぶん昔のことを思いだしたことによってストレスが貯まったのだろう...ストレスのせいか涙まで出てきた。そろそろ..僕も死ぬか...いや、夢の中で目流(める)に『死ぬな』と言われた..だから今日は生きよう...
いやでも...死にたい...消え去りたい、綺麗さっぱりこの世から元々存在が無かったかのように...消え去りたい。どうせ僕が生きていても悪いことしか起きない、だから僕は死にたい..いや死ぬ。
僕は包丁をキッチンから取りに行き、そしてその包丁を自分へ向けた。包丁で自分を刺そうとするが、怖くて刺すことができない、さっきまで死ぬと思ってたはずなのに刺そうと思うと怖くなってしまう。
だから...僕は自分を刺すのをやめて、自分の左手で自分の右手を殴った。
本気で、ただひたすら、満足するまで、殴り続けた..
リスカをしようにも刃物が怖いからいつもやってしまう自分で自分を殴るリスカもどきだ。
意味なんてない、楽しくなんてない、ただひたすら殴るだけだ。右手が終われば、お腹を殴る、ただひたすら何も考えず殴る、痛みなんて感じずに...
そして満足すればすぐに止める。
そんな生活をずっと...あいつが...白花が..死んでから
ずっと繰り返している。
もう止めたい、そう思うが止められない、毎日の習慣のようにやってしまう..自分を変えたい..でも変えたら自分見失いそうで怖い。そうのような臆病な考えのせいでいつも...変えられてない。
「死にたい」そう呟きながら僕はまた自分を殴った..
「あれ?」そう呟きながら周りをみて、そして横になっていた自分の体を起こす「眠っていたのだろうか」そう呟き、そして近くに転がっていたスマホで時刻を確認する。時刻は17時と書いてあった。「気がついたら1時間も眠っていたのか...」そう呟きながら僕はスマホを手に取り、メモ帳のアプリを開く、そして小説を書く。
実は僕はネットで小説を投稿している、だからこうして時々気が向いたら小説を書いている。
痛みのせいで震える右手を使ってゆっくりと文章を打ち込んでいく、痛みなんて忘れるほど夢中になって。
気がつくと外は真っ暗になっている、時間は大体20時くらいだ。
窓を珍しく全開にしている状態で夜空を見ていた。
綺麗に輝く夜空を10分くらい、夕御飯を食べてないことを忘れるほど夢中に見ていたら、上から誰かが落ちていくのが見えてしまった。僕は驚きのあまり握っていたスマホを落としていた、僕のこの家はマンションだ、しかも最上階ではない。
だから...誰かが自殺した可能性が高い、もちろん僕の見間違いもあるかも知れないが念には念をだ。
「確認しよう。」そう呟き、滅多に出ない外へと向かった。
外に出るとすぐにドアを閉め、周りを確認した。
「何も居ないな」そう呟きながら、階段をジャンプして何段も飛ばして降りていく。
必死に走り、そして耳を澄ませて音が聞こえないかを探る。風の音と何かが落ちたような音が聞こえた。
たぶんもう...危ないだろう...だが!まだ間に合うはずだ!!急げば間に合うはず...少しで希望を持ち、そして良い結果を生み出さなければいけない。だから俺はマンションの策をよじ登り、そして2階から1階まで落ちていった。
「痛っ!!」そう言いながら倒れた自分の体を起こす。
そしてすぐに立ち上がり、音の聞こえた方向へ向かう。
たぶん..方向的にこのマンションの裏だ...
あそこは薄暗くてかなり怖い場所だ。
だから..あまり行きたくないが人の命が掛かっているかも知れないから行くしかない!!
気がつくと僕はマンションの裏に居た。
そして目の前には1人の少年が居る、その少年は僕を見ながら「久し..いや初めまして...名流」と言い、少し微笑んだ。なぜ..僕の名前を知っているかはわからないがたぶん自殺では無かったのだろう。
僕は「あの~どうして僕の名前を知ってるんですか?」と少年に聞いてみた。
その質問をした瞬間少年は僕が一瞬、目をそらした瞬間に居なくなっている。
「まるでアニメみたいだな」と呟きながら僕は自分の部屋へとゆっくりと戻る
『白葉』のことを考えながら...
【3ヶ月前】
僕は生まれて初めて『人が死んで』喜んでいた。
そう...白葉をいじめていた佐藤竜一(かとう りゅういち)が死んだ。
この状況は僕が求めていたことだ、僕は「ありがとう!死んでくれて!ありがとうっ!!」そう言いながら喜ぶ。
でも..本当にこれで良いのだろうか...どうせあいつが死んだところで白葉は戻ってこない!戻って来れない!本当の思いも伝えられてないままなのに!!何も伝えられていなかった。
【現在】
思い出した。
そうだった...竜一は死んだんだった。
そう...誰かに『殺された』のを忘れていた...
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