第8話 ゴースト

僕は...僕の名前は風春 名流 (かぜはるなる)だ...


世界がモノクロになる。

目が眩む、すべてが白と黒になる、僕は青希さんの屋上に居たはずだった。

でも今はなぜかたくさんの歯車や時計がある、不思議な場所にいる。

ここはどこだ?そんな事を考えながら、たださっきの絶望的な事を思い出す....思い出した瞬間、吐きそうになる...死にたい、もう終わらせてたい...「死にたい」そう僕は呟いた。

「まだ死なないで!」、そんな声がどこからか聞こえた。声の方向を向くとそこには青奇が居た。

僕は青奇に「どこに行ってたの?」と言った。

青奇は「ごめん..とりあえずここから出ようか」と言った。ここはどこにあるんだ?出口もわからないし、それにここは夢じゃないのか?だって死んだはずの白葉が居た。それにあの場所は...白葉の...自殺した場所だ。

春咲白葉は死んだ。僕が殺したのと同じような物だ...

2年前..彼女(白葉)はいじめられていた。

僕はそれに気づけなかった...いや気づいていたのかも知れない...でも僕は...僕は、僕は..見捨てたんだ。

「大丈夫?」と言いながら青奇は僕に近づいた。

僕は「大丈夫だよ」と言いうと、「わかった。じゃあ行こうか」と青奇は言った。

僕は青奇はどこか、さっきの屋上で会ったときと性格が違って見えた。

考えていると突然、目の前が真っ白になった。


自室


ここは...どこだ?

僕は今居る場所を見渡した。

ここはたぶん僕の部屋だ。

まったく同じ壁にまったく同じな内装、完璧に僕の部屋だ。あれは夢だったのか...そう思いながら僕はただただいつもの用に植物のように何もせずにただ時間を待つだけの生活に戻ろうとした。

いつものようにイスに座ってパソコンで暇潰ししようとすると、イスの上にイベリスとアベリアがあった。

恐怖という感情が頭の中を支配する。

どうして、こんな場所に花が置いてある?

どうして?どうして?どうして?そんな疑問を解明しようとしても、どうしても解明ができない...さっきのは夢?でもあのすべては夢じゃない気がする。

過去に戻った気分だった。

何なんだこれは...言葉にできないこの気分はかなり複雑だ....

白葉...もう半年以上もお墓参りに行ってないな..久しぶりに白葉のお墓参りに行くか..


白葉のお墓


「ここら辺かな?」そう呟きながら僕は白葉のお墓に近づく、近くには白葉の兄が居た。

「あっ久しぶり」と白葉の兄は僕に言った。

僕は「お久しぶりです。」と言った。

約半年振りの再開だからすごく懐かしさ感じる。

あの夢のお陰で久しぶりに白葉の兄に会えたから、あの夢には感謝しなければ行けない...

でも..それにしてもあの花は一体何なんだろう...

しばらく考え込む..「あっ白葉のお兄さんだ、それに名流もー!」と言う声が後ろから聞こえた。

その声の主は青希だった..何か性格が変わっている気がするが1年ほど前から明るくなっていった。

その結果がこれだ...たぶん白葉の死や色々な事も原因だったと思う...

少し懐かしい気分になり、2年前の青希との出会いを思い出す。


2年前


夏休み..僕には、青い空、白い雲!綺麗な海!横には綺麗でツインテールの彼女!!、なんて物は無くただマンガを読んだり、スマホで適当に調べたりするだけの夏休みだ。

普段なら..そうだっだ...でも幼なじみの白葉にプールに呼び出された。

昨日メールで「みんなで泳ごー」と白葉に言われ、ぼっちの僕がついにリア充の仲間入り!と思って来てみた、のだが

来ていた人は白葉と僕の妹の風春 夏希(かぜはる なつき)と僕だけだった。

ボードゲームとかをやる時はいつもこのメンバーだ。

いつものメンバー、それに炎天下の最悪な太陽、「まぶしいな」と呟きながら僕は手で顔を隠して、太陽の光を遮断しようとする。

「はあ、これだから夏は嫌いなんだよ」と僕は呟きながら、僕はポケットからスマホを取り出し、ネットのコミュニケーションアプリを開き、僕の運営している、中二病サーバーの管理をする。

スマホを触っていると後ろから「それだから、お兄ちゃんはリア充の仲間入りができないんだよー」という声が聞こえた。

この声は夏希だ。

僕は「リア充とかどうでもいい...友達がたくさん居てもうるさいだけだよ..」と言った。

もちろん強がりだ..本当はもっと友達が居て、クリスマスとかバレンタインデーとか、そんなイベントの時に横には彼女が居るというのが僕の理想だ。

でもそんな事が起きるはずも無い、起きたとして、それは詐欺師か僕を殺そうとしている殺し屋だろう...

まあ、もしも..もしもの事も考える..まあ可能性は99%無いけど、考えるだけ考える。

考えていると「なるー、せっかくプールに来たんだし泳ごうよー」と白葉が急に僕に言った。

僕は「えー、わかったよ、そろそろ泳ぐよ」と言い、一番深いプールに向かい、勢い良く、水の中に入った。

ゴーグルを着用して入っていたため中はちゃんと見えている。

深い場所をただ泳いで行く。

目標も無く泳いでいると、奥深くの地面に少女が倒れていた。

重りのような物が背中に付けられていて、まともに立てて無いのだろう..

でもどうして、こんな死ぬような事をしているんだ?

いや、誰かに付けたんだ。

助けるべきか?、ここで助けると、これを仕掛けた誰かに僕も狙われてしまう...

いや!助けるしかない..ここで見殺しにするわけには行かない。

僕はすぐに少女の重りを取ろうとする。

でもなかなか取れない、でもすぐに、すぐに取らないと少女はこの薄暗い水の中で死んでしまう

それだけは阻止しないと行けない..でも重りは中々取り外せれ無い、鎖のような物で少女と繋がれていて、何をしても無駄だ。息が苦しい、もう諦めるしか...いや!ここで諦めたらこの人は死ぬ、それにこれはもしかしてだが、安物の鎖かも知れない、安物の鎖ならどうにか外せそうだ。


■■分後



重りを何とか取り外し、僕は少女と共にプールサイドへと戻った。

息が苦しかった、死にかけた..数年振りに死の危険を感じた。

夏希は横たわってる僕に近づいて「お兄ちゃん、その人どうしたの?」と言った。

そして続けて夏希「まさか!ナンパに成功したの!?」と変な発言をした。

「違うよ!」と言い、何とか黙らせようとするが、夏希の後ろには奴がいた。

そう白葉だ、白葉は「なにーなにーあのボッチの名流がナンパに成功したのー?」と言い、さらに面倒くさくする。

いつもの事だがさすがに死にかけた後だと疲れる、というかキツイ..

「あっそうだ、さっきのあの人は..」と白葉は言う、僕が「あの人がどうしたの?」と言うと横から「あの、助けていただきありがとうございました。あなたは命の恩人です、風春 名流さん」と言う声が聞こえた。

横を見るとそこにはさっき助けた、同い年くらいの少女が居た。僕は「い、いえ」と言った。

この人は見たことがある..この人は僕と同じ学校でいじめられている、青希 目流 (あおき める)だ。

まあ、僕もいじめられているから目流に関わっても問題は無いが...たぶん学校で親の権力を使って、やりたい放題しているいじめっこのグループがさっきの重りを付けたんだと思う..もしそうだとするとかなり面倒だ。僕は「ごめん、みんな楽しんでいてくれ」とみんなに言い、僕はいじめっこグループを探すことにした。

たぶんさっきの深めのプールの近くだと思う..そう考えるとウォータースライダーの近くだろう..早く、早くしないと目流が死んだことになってしまう...あいつらの場合は目流が死んだと思ったらすぐに親にもみ消してもらうはずだ。そうなれば後々面倒になる..

だから早めに探さなければ...でも見つからない..

どこだ?、再び回りを見る。

「居た」そう呟きながら僕はいじめっこグループのクズどもに近づいた。

「あの、あなたは青希目流を知っていますか?」と僕は言った。

いじめっこグループのリーダーであり、実質的な学校の権力者である、佐藤竜一(かとう りゅういち)が僕に「目流か、さっき死んだんじゃないの?w」と言った。

続けて、竜一は「てか、お前ぼっちだろwなんでこんなところに来てんだよw」と言った。

殴りたいところだが今は怒りを抑えなければ行けない

落ち着いて、一度深呼吸してから僕は「目流なら生きてるよ、僕が重りを外した」と言った。

すぐに竜一が「wwおつかれさーん、わざわざあんなクソ女を助けたのかよーw、名流さんやっさしいぃw」と言った。

僕は「クソ女か..ならお前はそのクソ以下だな..」と小さい声で言った。

竜一は「聞こえないなー、もっと大きな声で~w」と言いながら、手を叩き、笑顔で挑発するようにした。

僕は「お前はそのクソ以下だって言ってんだよ!!」と言った。言ってしまった、ここで怒ってしまっては無駄だ..完全なやらかした、どうせもう殴られて死ぬんだ..

そう思いながら、ただ殺されるのを待っていると「お前こっち来いよ!」と竜一が怒りながら、大きな声で、近くにあったベンチを叩きながらそう言った。

僕は「い、いや..す、すみません..」と言うが、竜一は「もう手遅れだから」と言いながら近くにあった関係者以外立ち入り禁止のドアを開けた。

そして僕をその中の投げた。

「痛い」そんな感情すら沸き上がらないほどの威圧的な空間、それに恐怖という感情が頭を支配するこの感じ

死という文字がすぐに思い付いた。

「おい!なに考えてるんだよ!」と言いながら竜一はペンチで僕の爪を引き剥がした。

それを見て周りに居たいじめっこグループの奴らが笑っていた。

その表情は悪魔に見えた。

僕は..もうここで殺される..救いなんてどこにもない..

でも..最後に、最後に言いたかったな..あいつにバカにされるとは思うけど

「好きだ」って言いたかったな、素直にその一言を言いたかった。

「何考えてるんだよ!」そう言いながら竜一は僕のお腹を殴った。

「言い残す..」そうぼそぼそと僕は呟く

「言い残す?何を」と竜一は笑いながら僕に言い返した。僕は..竜一を殴った..ただ無我夢中で、言い残すために、殴った、殴った、殴った、殴った。

竜一の顔を何度も何度も何度も!

もう一発殴ろうとした時「お、おい落ち着けよ」といじめっこグループの野次馬どもが言った。

こいつらは見て笑っていた。ここで【殺す】か?

そんな事を思い付いてしまう

理性が保てない...体もボロボロだ..でもそれでも伝えないといけない!あの言葉を....


現在


あの後、僕は意識を失った。

数時後に自宅で目を覚まして、目流たちとみんなで話したりした。

これが目流との出会いだ。

そしてここからが地獄の始まりだった。


キャラクター説明


青希目流(あおき める)

いじめっこグループにいじめられていた。

能力者の可能性あり




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る