第53話 決勝戦 ~フェレティスVSエリュティア~
「もはや、多くは語るまい! 決勝を制した者が王国最強!
先制攻撃を仕掛けたのはエリュティアだった。
両手に大量のナイフを広げ、一斉にフェレティスに向かって投擲する。
フェレティスは
なおもエリュティアは大量のナイフを投擲し、フェレティスを攻撃する。
ナイフを撃ち落とすフェレティスだが、
攻撃が止んだことに気付くフェレティス。
「ナイフを使い果たしたんですか?」
エリュティアの攻撃に使われたナイフの量は相当であり、隠し持っているのだとすれば、全て使ったのではないかという量だ。
エリュティアに言葉を投げかけたフェレティスだが、違和感に気付く。
一つもないのだ。
撃ち落とし、砕いたナイフがひとつもリングに転がっていない。
「……まさか!」
フェレティスは知っている。
同じ技を使える
「ディアス様に教わりましてね。剣魔法なんて大層な物ではありませんが、私の魔力がある限り、このナイフが尽きる事はありませんよ」
エリュティアは再び両手にナイフを広げる。
その銀のナイフはエリュティアの魔力から出来ていたのだった。
「魔力を実体化する
試合を見守るレオネスが呟く。
(まずいですね……!)
フェレティスは魔石が装填された
対するエリュティアは魔力量を調整することで、残弾を調整する事ができ、魔力がある限り弾切れは起こらない。
また、先程の大量のナイフ攻撃を行っても平気な顔をしていることから、魔力量も多いと推測される。
そのため、フェレティスは無限のナイフを持つ者と戦っているに等しかった。
(弾のあるうちに何とかして倒さないと!)
最終決戦ということで、
「それそれ!」
エリュティアの攻撃は苛烈を極め、とても弾丸を節約しながら戦うなど出来る状態ではない。
エリュティアの大量のナイフの弾幕を
(このままじゃ、弾を消費するだけ。何とか攻勢に転じないと……!)
フェレティスは
「速い……!」
フェレティスはナイフの弾幕を掻い潜り、エリュティアに接近する。
「チャージスティンガー!」
フェレティスの魔力弾は何もない空間へと放たれる。
「こっちですよ!」
フェレティスは背後から声を掛けられる。
咄嗟に振り向き、
しかし、
「このスピード、
「使えるのは、あなただけじゃないのです!」
エリュティアは
エリュティアは
フェレティスは破壊された
ナイフの弾幕を張るエリュティアに対し、フェレティスはダメージ覚悟で一点突破を掛け、エリュティアを攻撃する。
フェレティスの魔力弾に被弾したエリュティアは攻撃方法をナイフの弾幕から、一点集中の連続攻撃へと切り替える。
フェレティスは
互いにダメージを受け、二人は立ち止まる。
体の所々にナイフが刺さっているフェレティスと、魔力弾を被弾し、装備や服装の一部が破れているエリュティア。
ダメージはフェレティスの方が大きかった。
肩で息をするフェレティスはあることに気付く。
(……私の方がダメージが大きいはずなのに、同じくらい疲弊してる。もしかして、打たれ弱い?)
外見上はダメージの少なそうなエリュティアもフェレティスと同様に息が上がっていた。
エリュティアの疲弊に勝機を見出すフェレティス。
フェレティスは体に刺さったナイフを引き抜き、投げ捨てる。
フェレティスは
対するエリュティアも両手にナイフを広げ、応戦する。
エリュティアのナイフ攻撃は激しさを増し、ナイフの弾幕と一点集中の連続攻撃を織り交ぜる。
フェレティスは
「ヒステリックアサルト!」
「まだまだ、トリックリフレクション!」
さらに
「そんなっ!?」
複雑な軌道を描き飛来する弾丸が直撃するエリュティア。
強力な
「くっ……!」
体勢を直し、着地するエリュティアだが、その表情は苦しそうであった。
エリュティアへの攻撃に成功するフェレティスであるが、フェレティスもエリュティアのナイフ攻撃を受け、血を流していた。
本来は両手で扱う
(もう、大きい
腕にもナイフを喰らっていたフェレティスは
エリュティアも呼吸を整え、ナイフを精製し、構えを取る。
お互い
しかし、フェレティスは足に喰らったナイフのダメージから、エリュティアは受けた魔力弾のダメージから、本来の速度を発揮できていなかった。
接近戦を展開する二人。
ナイフがぶつかり合い、切り傷を作る二人。
至近距離で
弾切れになった
しかし、ナイフが一本のフェレティスに対し、エリュティアのナイフは二本。
ナイフの数が勝負を制した。
エリュティアはフェレティスを弾き飛ばし、片手のナイフを投擲し、追撃する。
弾かれ、無防備となったフェレティスは投擲されたナイフが足に突き刺さる。
片膝を突くフェレティス。
「おーっと! フェレティス選手片膝を突きます! 10秒以内に立ち上がれるか!?」
足に刺さったナイフを抜き、立ち上がろうとするフェレティスであるが、今までのダメージの蓄積から、立ち上がってもふらつき、リングに尻もちをついてしまう。
「……
マオルゥが勝利を告げると、エリュティアは糸が切れたように倒れ込む。
「今回は私の方に運が向いたみたいですね」
エリュティアがフェレティスに言う。
二人の戦力差はそれほどなく、どちらが勝ってもおかしくない状況だった。
今回勝ったのはエリュティアだが、次回は結果が違うかもしれない。
「負けちゃいました……」
レオネスに運ばれるフェレティス。
「フェレティスはよく頑張った、あとは俺たちに任せろ」
「レオネスさ~ん、うわあああぁぁぁん!」
フェレティスは負けた悔しさからレオネスにしがみつき、むせび泣く。
「次の相手はジャック・ド・モリソン、俺の出番だな」
次の選手であるセンジがリングに立つ。
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