第49話 準決勝 ~VSビフレスト~ ④
両手で銃を構え、魔力を銃に収束させるルナリス。
「少し遅かったようですね」
ティファが杖をルナリスの方に向ける。
ルナリスがチャージショットで炎の竜巻の軌道を反らしている時からティファは次の魔法の詠唱をしていたのだ。
「
ルナリスが居る場所が爆発し、黒煙に包まれる。
煙が晴れると、そこには片膝を突くルナリスがいた。
「魔力を防御に回しましたか」
ルナリスは魔力銃に収束していた魔力を防御に回し、爆発のダメージを軽減させることに成功する。
「でも、もうダメね。魔力切れで弾切れよ……」
魔力が切れ、攻撃手段を失ったルナリスは両手を上げ、降参する。
「ルナリス選手の降参により、勝者ティファ選手!」
「後は頼んだわよ、ミレス!」
「ええ、まかせて」
ルナリスは入れ替わりにリングに立つミレスに後を託す。
「それでは五戦目、ミレスティア選手対ティファ選手! 始めぇ!」
ミレスは鞘から翡翠の魔剣を抜き放つ。
「魔剣エメラルディア、頼むわよ!」
ミレスは剣を正面に構え、ティファと対峙する。
ティファは中級魔法を短縮詠唱でミレスに繰り出す。
「ファイヤーバード!」
放たれた複数の炎の鳥を模した炎弾はミレスに向かって飛翔する。
「アクアスプラッシュ!」
ミレスは水の散弾を放ち、炎の鳥を相殺する。
「……杖ではなく、剣を触媒に魔法を発動した!?」
ミレスの魔法行使の方法に驚くティファ。
「魔剣エメラルディアの能力の一つよ、この剣そのものが強力な魔術媒体となっているのよ!」
ミレスは剣を振りかぶり、風の斬撃をティファに放つ。
「だから、こういうことも出来る!」
ミレスは剣から風魔法・ウィンドスラッシュを風の斬撃として放ったのだ。
風の斬撃を魔力の壁を展開して防ぐティファ。
「疑似的な魔法剣というわけですか、厄介ですね……!」
ミレスはティファに向かって行き、魔力の壁に剣を振るう。
「そう簡単には!」
ティファは魔力の壁に炎を灯し、攻防一体の炎の壁に変質させる。
しかし、炎の壁は魔剣エメラルディアに斬り裂かれ、消滅する。
「そんな!? まさか、剣魔法!?」
「
「これで!」
炎の壁を突破し、剣の間合いに入ったミレスは拳に闘気を集中させ、さらに炎を灯したアルハザード流・
炎の闘気で吹き飛ばされたティファは体勢を立て直し、着地する。
リングに戻り、杖を構え戦闘続行の体勢を取るティファ。
しかし、異変に気が付く。
(あれ、ふらつく……?)
「無理はしない方が良いわ、さっきの攻撃で魔力を注入させてもらったからね」
ティファは杖にしがみついて、へたり込んでしまう。
「魔力酔い、ですか……。うぅ、私は魔術師なのに……。うぷっ」
ティファは顔を青くして口元を抑える。
魔力酔い、許容量を超える大量の魔力を吸収することで起こる体調不良である。
めまいや吐き気、ふらつきなど二日酔いに似た症状のため、魔力酔いといわれる。
ミレスは先ほど吸収した炎の壁の魔力を魔剣エメラルディアに蓄積させ、
「ティファ選手、戦闘続行できますか?」
魔力酔いのティファにマオルゥが問いかける。
「無理そう……」
青白い顔でプルプルと震えながら答えるティファ。
「ティファ選手の戦闘不能により、勝者ミレスティア選手!」
ミレスは剣を納め、、レオネス達の方にVサインを送る。
「あの剣、どうなってるの?」
ルナリスがレオネスに聞く。
「センジ曰く、三つの能力があるそうだ」
魔剣エメラルディアの能力、それは『属性付加能力の強化・増幅』、『魔術行使の補助』、『魔力の吸収・蓄積』の三つである。
「はぁ~、まさにミレスさん専用の魔剣ですね」
「ああ、センジが一晩でやってくれた」
次の対戦者がリングに上がる。
「それでは六戦目、ミレスティア選手対ノクス選手! 試合開始ッ!」
ノクス・ナイトレイ。
黒魔剣士と呼ばれる闇の魔法剣の使い手である。
「さっきの戦いを見るに、魔法は効かなさそうだ。剣術での戦いになるな」
ミレスは魔剣エメラルディアを構え、ノクスはサーベルを構える。
両者同時に動き、剣同士がぶつかり、鍔迫り合いとなる。
「魔法剣士と剣も使う魔術師との技量の差を教えてあげよう!」
ノクスはミレスを薙ぎ払い、ミレスは後退する。
踏み込み、追撃の手を止めないノクス。
剣と剣がぶつかり合い、火花を散らせる。
両者一進一退の攻防が続き、ミレスはアルハザード流を使うタイミングを見いだせずにいた。
(大口を叩くだけあって、強い……!)
男の剣士であるノクスに対抗するために、ミレスは身体能力を強化するアルハザード流・
しかし、
(長期戦になるとこちらが不利、どうにかしないと……!)
ミレスの剣を握る手に力がこめられる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます