第45話 ディアス班 ~ロイヤルナイツの実力~

「それでは二回戦第四試合! 王国騎士団精鋭部隊ロイヤルナイツグラニル班対ディアス班! これより開始です! 選手入場ー!」


 ロイヤルナイツ同士の戦いに観客は白熱する。

 レオネス達、剣の魔術師ウィザーディング・ブレイドも選手席から王国騎士団精鋭部隊ロイヤルナイツ同士の戦いを観戦していた。


「寝てなくて大丈夫なのかセンジ?」


「ああ、問題ない。それより、ディアスたちの戦いを見ておきたいんだ」


「確かに、一回戦のときは見に来たら終わってたもんね」


 レオネス、センジ、ルナリスがディアスたちについて話す。


「あ、来ましたよ!」


 フェレティスが指す方を向くと、ディアスたちが入場してくる。

 二組の王国騎士団精鋭部隊ロイヤルナイツの入場に観客は歓声を上げる。


「王国騎士団の中でも最強部隊といわれる王国騎士団精鋭部隊ロイヤルナイツ! その王国騎士団精鋭部隊ロイヤルナイツ同士が戦うという異例の展開! 果たして勝つのはグラニル班か、それともディアス班か!?」


 マオルゥが会場をさらに盛り上げる。


 最初にリングに上がったのは、ディアスの副官である小柄な緋色の髪の少女であった。


「先鋒は属性詠唱者エレメンタルキャスター、ローゼリンデ・ネガロスか」


「知ってるのか?」


 ミレスに聞くレオネス。


「ええ、魔術師で彼女の名を知らない者はいないと思う。すべての属性を操る天才魔導士、それがローゼリンデ・ネガロスよ」


「……いまいち、すごさが分からないんだが?」


「そうねぇ、上級魔法を詠唱無しで連発してくるって言えば、何となくわかる?」


「それはヤバいな……」


 ミレスの説明でローゼリンデの力を理解するレオネス。

 いくらレオネスが魔法を無効化する幻影破斬ファントム・ソリッシュを使えるとはいえ、幻影破斬ファントム・ソリッシュにも限界はあるため、上級魔法や超級魔法を連発し、物量で押されると無効化しきれない可能性がある。

 対魔術師戦で無類の強さを発揮するレオネスだが、ローゼリンデと戦うとなると厳しい戦いになるかもしれないと思ってしまった。


「それでは試合開始ぃ!」



◇◇◇



 結果はディアス班の勝利で幕を閉じる。

 王国騎士団精鋭部隊ロイヤルナイツ同士の戦いでありながら、終始ディアス班が優勢であった。


「同じ王国騎士団精鋭部隊ロイヤルナイツでも、これだけの差が……!」


 息をのむレオネス。


「準決勝で負けてくれないかなー、なんて言えるレベルじゃないわね……」


 ルナリスの表情にも焦りが見える。


「とりあえず、出場した三人の戦力を把握できただけでも得るものはあったわ」


 ミレスは今回の試合を見て、前向きに考える。

 今回の試合に出場したのは、ローゼリンデ、エリュティア、マリーネの三人である。

 ディアスとジャックは順番が回って来ず、出場していないため、詳しい戦闘スタイルは分からなかった。


「それでは、二回戦が終了したため、結果発表を行いたいと思います!」


「二回戦を勝ち抜いたのはこの4チームです! みなさん盛大な拍手を!」


 二回戦を突破したチームが発表され、観客は勝ち残ったチームに声援や拍手を送る。


「帰って作戦会議だ」


 レオネス達は準決勝の相手を確認し、足早に宿屋へ戻る。

 宿屋に戻ったレオネス達は早速、作戦会議を始める。


 ローゼリンデ・ネガロス。

 王国騎士団精鋭部隊ロイヤルナイツディアス班所属でディアスの副官の魔導士。

 全ての属性に適性を持ち、破格の魔力量から、上級魔法や超級魔法を詠唱短縮、無詠唱で連発するという規格外の魔法使い。


 エリュティア・ヴェルメリオ。

 ディアス班に所属する騎士。

 ナイフを用いた高速戦闘を得意とし、近接戦だけでなく、正確無比なナイフ投擲で遠距離戦もこなすオールラウンダー。


 マリーネ・エル・ネルガル。

 ディアス班に所属する騎士で、魔法銃士マジックガンナーである。

 威力重視の黒鉄、連射重視の白銀の専用の二挺拳銃を用いた銃撃戦を得意とする。

 素早い身のこなしと近接格闘術で接近戦もこなす。


 ジャック・ド・モリソン。

 ディアス班に所属する騎士で、剣と盾を使うオーソドックスな騎士である。

 今回の試合には出場していないため、詳しい事は分からない。


 ディアス・D・フランシア。

 王国騎士団精鋭部隊ロイヤルナイツディアス班のリーダー。

 剣聖の再来の異名を持つ魔法剣士。

 剣魔法の使い手であり、東洋の武器『カタナ』を使う。

 剣聖の再来として有名であるが、戦う姿を見たことがある者は少なく、強いことは確かだが、詳しい戦闘力は不明な点が多い。


 レオネス達が得た情報を整理すると以上になる。


「……ローゼリンデは私が行くわ」


 ミレスが最初に口を開く。


「私の相手はマリーネ、ね」


 次にルナリスが口を開く。


「ふむ、相性的に俺はジャック・ド・モリソンだろう」


 センジが続く。


「私はエリュティアさんと戦います!」


 フェレティスも続く。


「そして、俺はディアスと……!」


 レオネス達、剣の魔術師ウィザーディング・ブレイドは決勝戦で当たるであろうそれぞれの敵を見据える。


「それじゃ、ここからは目の前の準決勝のことを考えるか」


 レオネスがパン、と手を叩き、話題を変える。


「そのことだが、二人に相談がある」


 センジがレオネスとミレスに相談を持ち掛ける。


「……ということなんだが」


「私のは明日の準決勝に間に合うんだよね?」


「ああ、簡単な調整で行けるからな」


「うん。じゃあ、私は大丈夫だよ!」


 ミレスは剣をセンジに渡す。


「レオネスはどうだ?」


「うぅむ……。確かに、今日の連中を束ねるのがディアスだからな。あいつら以上の戦力だと想定すると、今のままでは力不足感は確かにある。しかしなぁ……」


 センジの言葉を聞き、考え込むレオネス。


七色の道標ビフレストも中々の強敵だが……。わかった、何とかしよう!」


 レオネスは考えた末に結論を出し、魔剣レグルスをセンジに託す。

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