第40話 一回戦 ~その後~
一回戦を突破したレオネス達、
「俺たちの出番はなかったわけだが、これで二回戦進出だ。このペースを保ちたいもんだな」
荷物をまとめながらレオネスが言葉を口にする。
「それはそうとルナリス、本気でベルセリオンを美少女にする気か?」
ルナリスに問うセンジ。
「当り前よ、もう変身魔法の使い手の手配は出来てるんだから」
「いつの間に……」
「仕事が早いというべきか……」
ルナリスの言葉に少々呆れるレオネスとセンジ。
「それじゃ、二回戦に備えて、帰ろっか」
荷物を担ぎ、出口へ向かうミレス。
しかし、ミレスは控室の扉から距離を取る。
ミレスが離れた直後、扉が勢いよく開かれる。
「貴様らァ! ただで済むと思うなよ!」
来訪者は一回戦の対戦相手、ベルセリオンの残った二人、デュゴムとミクトルであった。
「何の用だ? 勝負はついたはずだが?」
レオネスが応対するが、その手は武器に掛けられていた。
レオネス達、
「三点先取だと? そんなこと知ったことか! ここで貴様らを殺してやる!」
「いや、アンタ達の仲間、私達に全然敵わなかったじゃん……」
頭に血が上ったデュゴムの咆哮にミレスがツッコミを入れる。
「ちょうどいいわ、このまま捕まえて連れて行きましょう!」
「ふざけやがって!」
デュゴムとミクトルはそれぞれ武器を構え、レオネス達に向かってくる。
デュゴムは槍を突き出し、ミクトルは剣を抜き斬りかかる。
デュゴムの槍は近くにいたセンジに、ミクトルは側にいたレオネスに斬りかかる。
「血の気の多い奴だな」
「室内で武器を振り回すな」
センジは突き出された槍の柄を掴み、デュゴムの攻撃を封じ、掌底でアゴを撃ち抜き、デュゴムを昏倒させる。
レオネスは器用に剣を抜かず、納刀状態のまま剣の柄尻でミクトルの剣戟を弾き、裏拳を顔面へと叩き込んでミクトルを気絶させる。
「変身魔法の人を呼んでくるから、こいつら向こうの控室にまとめておいて」
「へーい」
ルナリスは変身魔法の使い手を呼びに行き、レオネスとセンジは気絶した二人を担ぎ、他のベルセリオンのメンバーがいるベルセリオンの控室に運ぶ。
「じゃ、お願いしますね!」
「めっちゃいい笑顔じゃん……」
レオネス達がベルセリオンの二人を運んだしばらく後に、ルナリスがローブをまとった人物を連れてくる。
「では、始めます」
ローブの人物が変身魔法を掛けると、ベルセリオンのメンバーは
光が収束し、レオネス達が目を開けると、そこには五人の美少女が横たわっていた。
「成功です」
「そのようだな……」
ローブの人物に見ればわかるという視線を送るレオネス。
「では私はこれで」
「はーい、ありがとうございました~」
ローブの人物を見送るルナリス。
「うんうん、事前に伝えてた通りの仕上がりね」
ルナリスは気絶している五人の美少女を順番に眺め、仕上がりを確認する。
「……帰るか」
「そうだな」
ベルセリオンの変身を見届けたレオネス達は宿へと帰っていく。
◇◇◇
「はっ! ここは控室ですの?」
金髪ツインテールの少女が目を覚ます。
「ん? ですの、といいましたの?」
自分の言葉遣いに違和感を覚えるバルリック。
辺りを見回すと、美少女が横たわっていた。
うち一人は美幼女であった。
「まさか、本当に
「うぅん……」
他のベルセリオンのメンバーも目を覚ます。
「……美少女がいる」
「なーんか、周りがおっきく見えるんですけどぉ?」
「ふむ、あの
「はー、マジあり得ないんですけぉ?」
「ちょっと、誰が誰か分かりませんの!」
ベルセリオンのメンバーは鏡を見て、現在の自分の姿を確認し、話し合いをして、誰が誰かを確認する。
「あたしー、ミクトルだよ」
ベルセリオンのリーダー、大柄で長髪の剣士だったミクトルは、生意気な金髪の美幼女となっていた。
「あーし、デュゴムだし」
屈強な槍使い、デュゴムはセミロングの茶髪に黒目の肌で、所謂ギャルの様な感じになっていた。
「私はレムラントだ」
両手に戦斧を持つ戦士だったレムラントは黒い長髪の美人になっていた。
「お姉さま……。っは、あーしは何を!?」
レムラントを見たデュゴムは無意識に呟いてしまう。
「……イレヌイ」
優男の剣士、イレヌイは無口で目元を隠した銀髪の美少女になっていた。
「それで
筋骨隆々の格闘家、バルリックは金髪のお嬢様風の美少女となっていた。
全員の確認を終えたベルセリオンのメンバー。
((……これはこれで、アリだな))
賭けに負け、美少女へと変身したベルセリオンのメンバーは、新たな扉を開き、第二の人生を歩むこととなった。
のちに、一人の男を巡り、ベルセリオンのメンバー同士が恋敵となり対立するのは、また別の話である……。
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