第19話 ニディルの町 ~新たなる冒険の舞台~

 野を駆ける牙獣ワイルドファング討伐を成功したレオネスはAランクの冒険者に昇格していた。


「活動拠点を移そうと思うんだが」


 レオネスはミレスとフェレティスに提案する。


「いいけど、どうして?」


 ミレスが問う。


野を駆ける牙獣ワイルドファングの討伐で俺はこの町で英雄扱いだ。だが、俺的にはやったことは同士討ちだ。同士討ちで英雄扱いってのは、居心地が悪くてな……」


 それに、別の町に行って野を駆ける牙獣ワイルドファングの思い出を吹っ切りたい、と付け加えるレオネス。


「そうね、リフィアの町の問題も片付いたことだし、別の町に移りましょうか」


 こうしてレオネス達、剣の魔術師ウィザーディング・ブレイドはニディルの町に活動拠点を移したのだった。



◇◇◇



 ニディルの町に到着した剣の魔術師ウィザーディング・ブレイドは、拠点となる宿を取り、新たな町を散策する事となる。


「そういや、フェレティスって武器持ってないよね?」


 武器屋の前でミレスが思い出す。


「そういえばそうだったな、護身用に何か買うか?」


「はい」


 武器屋に入り、武器を見て回るレオネス達。

 フェレティスの武器を探し、剣、槍、斧、弓、鞭、様々な武器を見て回る。

 とある武器の前でフェレティスは足を止める。


「これ……」


 それは魔法銃マジックガンだった。

 魔法銃マジックガンとは、魔力を弾丸にして撃ち出す武器である。


「魔法銃か、確か二種類あるんだったな」


 魔法銃には、使用者からの魔力供給で魔力弾を撃ち出すタイプと、加工された魔石を弾丸として撃ち出すタイプである。


「魔力供給タイプと魔石装填タイプで特性が違うから、自分にあった方を選んだ方が良いわよ」


 ミレスが助言する。

 魔力供給タイプは魔石装填タイプに比べ、威力に優れ、使用者の魔力がある限り、弾切れを起こすことはない。

また、カスタムモデルとして、威力が調節できる物や、一つの銃で弾の特性や属性を変更し、状況に応じて使い分けることができるものがある。

 魔石装填タイプは、一発一発が魔石を加工した弾丸で、予め装填された魔石を使用し、弾丸を撃つ。

 銃にもよるが、撃った後の魔力を失った魔石は排出される。

 魔力供給タイプに比べ、連射力に優れる。

 弾切れになると、弾倉を入れ替えることで再使用が可能。

 魔力供給タイプの威力の調整や弾丸の使い分けは出来ないため、一つの銃に一つの機能が原則となる。

 そのため、銃の種類が多い。


「私は魔石装填タイプが合っている気がします」


 そういってフェレティスは一丁の魔法銃を手に取る。


 回転式拳銃型魔法銃『FIAMMA-6フィアンマ-シックス』。


 それがフェレティスの選んだ魔法銃だった。


フェレティスの武器を購入し、レオネス達はギルドへ向かう。


「なんだか、依頼クエストを受けるのも、久しぶりな気がするわ」


「いろいろとゴタゴタしてたからな……」


 レオネスはCランクの依頼書を一枚取る。

 レオネスが選んだのは、大蜥蜴メガリザードの討伐依頼であった。


「やっぱり、リフィアの町周辺の魔物と種類が違うわね」


「そうだな、リフィアの町に大蜥蜴メガリザードの討伐依頼なんてなかったからな」


 前に居た町の依頼と今の町の依頼を比較しつつ、大蜥蜴メガリザード討伐依頼を受注する。



◇◇◇



 レオネス達、剣の魔術師ウィザーディング・ブレイド大蜥蜴メガリザードの討伐のため、マジルの森へ来ていた。


鬱蒼うっそうとしていて、見晴らしが悪いな……」


「奇襲されないように気を付けないと」


「あ、あそこに見えている尻尾、大蜥蜴メガリザードじゃないですか?」


「でかしたぞフェレティス!」


 レオネスは魔力を剣状に収束し、魔刃剣フォースエッジを作り、魔刃剣フォースエッジを鞭のように伸ばし、大蜥蜴メガリザードの尻尾に絡ませ、引き寄せる。


 ──剣魔法、魔刃剣・蛇咬フォースエッジ・スネークバイト


 魔刃剣フォースエッジを蛇腹剣の形状にし、鞭のように振るうことができる剣魔法である。


 魔刃剣・蛇咬フォースエッジ・スネークバイトにより引き寄せられた大蜥蜴メガリザードに、ミレスは風魔法・ウィンドスラッシュを放つ。

 フェレティスも魔法銃により援護射撃を行う。

 ミレスの風の刃とフェレティスの魔力弾により大蜥蜴メガリザードは大ダメージを受け、討伐される。


「まずは一匹ね」


「必要討伐数は三匹だったな。あと二匹か」


 レオネス達は再び、森の中で大蜥蜴メガリザードを探す。


「フェレティスって、射撃のセンスあるよね」


「そうですか?」


「ああ、ほとんど弾が命中してたじゃないか」


 これまで武器を持っていなかったフェレティスの秘められた才能が開花していた。


「あの木の上にいるの、大蜥蜴メガリザードだな」


「二匹いますね」


「あれを討伐すれば、依頼クエストは終わりね」


「しかし、結構な高さにいるな。どうする?」


 大蜥蜴メガリザードの居る場所は、木の上部であり、地上から結構な高さがあった。


「遠距離攻撃で行きましょう。大蜥蜴メガリザードに当たらなくても、地上に落とせれば、なんとかなるし」


「そうだな」


 レオネスは、剣の弾丸・剣弾ソードブリット戦輪チャクラムの形状に変化させる。

 剣魔法・円輪剣ソードチャクラムを、ミレスは土魔法・ロックシュートを、フェレティスは魔力弾の銃撃を、それぞれ行う。

 ミレスのロックシュートの岩が大蜥蜴メガリザードの一体に命中し、大蜥蜴メガリザードを地に落とす。

 レオネスの円輪剣ソードチャクラムは、大蜥蜴メガリザードの乗る枝を斬り裂き、大蜥蜴メガリザードを木から落とす。

 落ちて来た二体の大蜥蜴メガリザードにフェレティスが銃撃を浴びせ、大蜥蜴メガリザードを討伐する。


「これで終わりだな」


「そうね、帰りましょうか」


 大蜥蜴メガリザード討伐依頼を終え、帰路につくレオネス達。

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