第18話 激戦 ~牙獣の終焉~ (後編)
「あとは一人か」
足元のツタを斬り払い、レオネスは呟く。
左腕を
また、ラントンも乱れ撃ちにより矢を撃ち尽くし、弾切れ状態であった。
ラントンは護身用の短剣を持っていたが、殴り飛ばされたクラムを見て、接近戦では勝ち目はないと戦意喪失する。
タンクが気絶し、後衛の二人は戦意喪失したが、未だ闘志を燃やしている男が残っていた。
「どいつもこいつも役立たずどもが!」
アランは懐から黒い液体の入った小瓶を取り出す。
「この前の
「それはだめよアラン、戻れなくなる!」
仲間の制止も聞かず、アランは
「
アランの身体は赤く染まり、筋肉は膨れ上がり、赤い蒸気をまとう。
「こレが
アランは力任せにレオネスめがけて槍を振る。
レオネスは飛び退き、槍を回避するが、レオネスが居た場所はクレーターが出来ていた。
「次ハ当てル!」
「次は無い、これで終わりだ!」
レオネスは構えを取る。
大地を蹴り、アランに向かい突進する。
アランは槍を突き出し、レオネスを迎撃するが、槍はレオネスには当たらず、レオネスはアランの腹部を剣で刺し穿つ。
──アルハザード流、
レオネスの放った強烈な突きは、魔物化により強化されたアランの筋肉を貫く。
「さようなら、アランさん。
レオネスは剣を抜き、アランは地に倒れ伏す。
レオネスが急所を外したことと、魔物化による防御力の強化でアランは命を落とす事は無かった。
レオネスは戦意喪失したラントンとファニアに闘気を浴びせ、意識を失わせる。
「せめて、痛みは感じないように、な……」
レオネスは
「これはけじめだ。これで剣だろうが銃だろうが、武器はもう握れまい。あんたたちは冒険者としては、もう死んだも同然だ……」
レオネスは捕縛した
「
「
レオネスの報告に受付嬢は王国騎士団を呼び、フェレティスを含めた
「おかえり」
帰ってきたレオネスをミレスが出迎える。
「ああ、ただいま。少し疲れた……」
そういって、レオネスは自室へと入って行った。
「……」
ミレスはその背中を見守る事しかできなかった。
◇◇◇
「久しぶりねフェレティス」
「ミレスティアさん!」
取り調べを終え、リフィアの町に戻って来れたフェレティスはミレスと再会する。
「レオネスさんは?」
「あれから部屋に引きこもっててね……」
「そうですか……」
レオネスは二年間、苦楽を共にしたかつての仲間と対立・決別し、冒険者人生を終わらせた事に苦悩・葛藤し、この数日間、活動を休止していた。
「私たちにとっては悪い印象しかない
「そうですね……」
ミレスとフェレティスは
道中で人だかりが出来ていることに気付く。
「レオネスさんのおかげで、この町も過ごしやすくなりました!」
「
「レオネスさんはこの町の英雄ですよ!」
レオネスが冒険者に囲まれていた。
「俺は冒険者として、
少し困った顔で言うレオネス。
「レオネス!」
ミレスを見つけたレオネスは冒険者をかき分け、ミレスの元へ向かう。
「もういいの?」
「ああ、もういいんだ。今の俺にはミレスがいる、
レオネスはフェレティスがいる事に気が付く。
「フェレティス! 戻って来てたのか、色々と大変だっただろ?」
「いえ、大丈夫です」
「そうか? ま、三人揃ってることだし、
レオネスの提案で三人はレストランへ向かうこととなる。
「フェレティスはこれからどうするんだ?」
「そうですね、また冒険者をしようと思ってはいるんですが……」
「じゃあ、うちに来ない?」
フェレティスを
「それはいい案だ。どうだろうフェレティス?」
「私でよければ、ぜひ!」
こうして
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