第17話 激戦 ~牙獣の終焉~ (前編)
剣を抜き、
レオネスのただならぬ気迫にアラン達、
「何のつもりだ? まさか俺たちとやる気か?」
「そうだ」
アランの問いにレオネスは答える。
「いい度胸じゃないかレオネス、町でのアレで勝てると思ったのかい?」
「そんなんじゃない。多少私怨もあるが、これは冒険者としての仕事だ」
「なんだって?」
「
ラントンとレオネスの問答で、アラン達にとって驚きの言葉が飛び出す。
「はっ! つまりは弱小冒険者の使い走りか。人に頼る雑魚もアレだが、それの言いなりになるお前もつまらねぇ奴だな」
「フフッ、弱小にこき使われる気分はどう?」
アランとファニアはレオネスを挑発する。
「おしゃべりはもういいだろう。それとも逃げるための時間稼ぎか?」
レオネスは
「てめぇ、調子に乗りやがって! まあいい、ちょうどこっちもお前を殺しかったところだ!」
レオネス、アランを始めとする
戦いの火ぶたは切って落とされた。
先に動いたのはレオネスだった。
目にも留まらぬスピードでアランとの距離を詰める。
移動速度を乗せた横薙ぎでアランを攻撃するレオネス。
しかし、レオネスの剣はアランの槍によって遮られた。
(……コイツ、なんてスピードだ!)
「腐ってもAランクか……!」
レオネスとアランが鍔迫り合いになり、隙を突いて、側面からクラムが奇襲をかける。
振り上げられた戦斧は、その身体を両断せんとレオネスに襲い掛かる。
戦斧は振り下ろされ、衝撃で砂埃が舞う。
「やったか、クラム」
「いや、手応えが無い……」
攻撃は避けられた。
それは確実だが、砂埃が舞い、視界が悪く、レオネスを見失う。
刹那、砂埃の中から剣が飛び出す。
「何!? ぐっ!」
砂埃に紛れ、レオネスは姿勢を屈め、クラムを奇襲し、左腕を刺し貫く。
「コイツ!」
クラムの負傷にラントンが矢で援護射撃を行う。
腕から剣を引き抜き、矢を
レオネスの剣戟により、クラムは盾を取り落とした。
「その傷では、盾は持てないだろう」
「なめるな!」
レオネスに対し吠えるクラムは、負傷した左腕に盾を巻き付け固定する。
負傷したクラムをかばうように陣形を組み直す
距離を取ったレオネスに対し、ラントンとファニアが遠距離攻撃を仕掛ける。
ラントンは矢を乱れ撃ちし、攻撃の手数で攻める。
ファニアは貫通力の高い氷魔法、フロストジャベリンを発動させ、氷の槍を放つ。
無数の矢と、強力な氷の槍がレオネスへと向かう。
二人の攻撃はレオネスの剣魔法により撃ち落とされる。
剣の弾丸である
「きゃあ!」
フロストジャベリンと打ち合い、威力が減衰したとはいえ、
フロストジャベリンを打ち砕き、術者であるファニアの腕に
フロストジャベリンと打ち合って、
「よそ見してんなよ!」
剣魔法で遠距離攻撃を迎撃するレオネスの隙を突き、槍を繰り出すアラン。
しかし、その槍は剣の障壁によって防がれた。
──剣魔法・
六つの魔力の剣・
「そう来ると思ってたぜ」
動きを読まれていたアランは距離を取り、一旦体勢を立て直そうとするが、レオネスの動きの方が早かった。
──アルハザード流、
闘気を敵に叩きつけ、吹き飛ばす体術である。
闘気を込めた掌底をもろに喰らったアランは吹き飛び、悶絶する。
「ぐぅ……、くそがぁ!」
数で勝る
自分たちはAランクの腕を持つ冒険者である。
それが、かつての
そんな状況に、アランは苛立っていた。
「自分より下のランクとしか戦わないから、腕が鈍ったんじゃないか?」
レオネスの挑発にアランは怒りが爆発する。
「てめぇ……! 楽に死ねると思うなよ!」
アランは立ち上がり、レオネスに向かう。
「流星槍!」
アランは目にも留まらぬ連続突きを繰り出す。
それに対し、レオネスは同じく高速突きの技である、アルハザード流・
剣と槍が幾度もぶつかり、火花を散らせ、金属音を鳴り響かせる。
不意にアランは技を止め、後方へと飛び退く。
アランが飛び退くと同時に、地面には人型の影が出来る。
上空からクラムが体重と落下速度を乗せた渾身の一撃を繰り出そうとしていたのだ。
「あれは、避けないとまずいな」
ステップで避けようとしたレオネスだが、負傷したファニアの最後の魔法、木属性の拘束魔法・アイヴィーロープで足を固定され、動きを封じられていた。
「終わりだ!」
戦斧を振り下ろすクラム。
「避けられないなら、受けて立つまで!」
レオネスは左腕に闘気を集中させ、襲い来るクラムに向け、
闘気により強化された拳は、振り下ろされた戦斧を粉砕し、クラムを殴り飛ばす。
通常より強化された
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