第13話 緊急依頼 ~野を駆ける牙獣討伐依頼~
レオネスと
「見たか? Aランク相当の冒険者を4人相手に無傷だぞ」
「ああ、相当の手練れに違いない」
「あの冒険者は誰だ?」
「連れがレオネスって呼んでたぞ」
「そういえば、最近、そんな名前の新米冒険者が居たな」
「馬鹿言え、あれが新米の動きかよ!」
「新米だろうが、ベテランだろうが、この際どうでもいい。
Aランク冒険者である
──
自分たちを虐げる
冒険者たちは当然ながらレオネスの過去を知らない。
ゆえに、レオネスへの
◇◇◇
ギルドの使者から呼び出され、ギルドへとやって来たレオネスとミレス。
レオネスは自身に向けて出された緊急
「私はここで待ってるね」
「ああ」
呼ばれたのはレオネスだけなので、ミレスは待合のベンチに腰掛け、レオネスを待つことにする。
「すみませーん、緊急
「レオネス様ですね」
受付嬢は辺りを見回し、念入りに
万が一、
「レオネス様への緊急
受付嬢は小声でレオネスに伝え、依頼書を手渡す。
「……!」
レオネスは驚いた。
しかし、レオネスにとっては、自身の手でかつての仲間を倒せ、そう言われているも同然だった。
「……少し、考える時間が欲しい」
自身を捨て、クランから追放されたとはいえ、かつては苦楽を共にした仲間だったのだ。
先刻の
かつての仲間を相手に、自分は本気で剣を振るえるのか。
レオネスは迷っていた。
「……かしこまりました。ですが、緊急
受付嬢との会話を終え、待合のベンチで待っているミレスの元へ戻る。
「おかえりー。なんだったの?」
「……大きな声では言えないが、これだ」
レオネスはこっそり依頼書をミレスに見せる。
「ワ、
依頼内容を口にしようとしたミレスの口を慌てて塞ぐレオネス。
「おい、聞かれたらどうする! 街中で全面戦争だぞ!?」
「ご、ごめん。でも、この依頼は……!」
ミレスを含む冒険者にとっては、新米を虐げる悪質冒険者が居なくなるため、助かる依頼であるが、レオネスにとっては捨てられたとはいえ、かつての仲間と戦う事となる。
「これは、
自虐的に呟くレオネス。
「それで、その
「考える時間が欲しいって、保留にしてある」
「そう……」
依頼を受けるべきか迷うレオネスに、どう声をかけて良いかミレスには分からなかった。
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