第2話 師事 ~運命の出会い~
「とりあえず、こんなものかな」
必要な量の薬草を取り終え、あとは町に帰るだけであったが、アクシデントが発生する。
「なっ!
普段は森の奥に生息しているが、まれに餌を求めて、森の奥地から出てくることがある。
レオネスは運悪く、餌を探して徘徊していた
突進は空振りに終わるが、方向転換し、
先に動いたのは
剛腕を振り回し、斧の様な爪による攻撃を繰り出す。
レオネスは身を
一進一退の攻防は続き、決着はなかなか付かない。
攻めているはずの
爪撃、噛み付き、突進、頭突き、持ちうる武器、あらゆる手段を用いて眼前の獲物を倒さんと攻撃を仕掛けるが、
「こんなところで、やられてたまるか!」
レオネスは
冒険者として、
互いに決定打を持たず、戦いは
睨み合いが続く中、先に動いたのはレオネスだった。
レオネスは
咄嗟に投げつけられた袋を払い落す
狙うは生物の急所である眼、採取用のナイフを
突然の痛みに暴れ出す
ナイフを手放し、暴れる
だが、荒ぶる
衝撃により吹き飛ばされたレオネスは木に背中から激突する。
「がはっ!」
木に背面から叩き付けられた衝撃で、肺の中の空気をすべて放出し、また、
「うぐぅ……」
右の眼球を襲う痛みに怒りの炎を灯す
痛みに
確実に仕留めるべく
もはやこれまで、そんな言葉がレオネスの脳裏をよぎる。
振り下ろされる
だが、地面に転がったのは
一閃、目にも留まらぬ剣閃が
「ここらで助けてやるか」
そう呟き、草陰から現れたのは老齢の男だった。
老齢の男は、老齢とは思えぬ身のこなしで
一瞬の出来事だった。
「今晩は熊鍋だな」
老齢の男は息も切らさず、何事もなかったかのように剣に付着した血を払う。
突然の出来事で、何が起きたのか理解できないレオネスだったが、自分はこの老齢の男に助けられた、それだけは理解できた。
「ありがとうございます、おかげで助かりました」
レオネスは力を振り絞り、何とか立ち上がり、老齢の男に礼を言う。
「気にするな、俺が勝手にしたことだ」
老齢の男はレオネスを観察する。
「お前、冒険者か?」
「まあ、そうです。この前まで
老齢の男の質問に答えるレオネス。
だが、老齢の男はレオネスの言葉に驚いた。
「
老齢の男はレオネスを見て考え込む。
実は、老齢の男はレオネスと
森にたった独りで訪れた少年が
「ふむ、磨けば光るかもしれんな。お前、剣術に興味は無いか?」
「剣術に興味はあります。冒険者として強くなりたいですから。でも、どうして?」
老齢の男の問いの意図がわからないレオネス。
「俺がお前に剣術を教えてやる」
老齢の男は答える。
剣術を教えてやると。
「本当ですか!」
レオネスは驚きを隠せなかった。
目にも留まらぬ身のこなし、
「俺はテューン、お前は?」
「レオネスです。レオネス・レオルクス」
「よし、レオネス。お前は今日から俺の弟子だ!」
突然の弟子への勧誘、しかしレオネスは喜んだ。
クランから追い出され、孤独だった自分に居場所が与えられたのだ。
「お前を一人前の剣士にしてやる、覚悟しておけ!」
「はい、師匠!」
これが、レオネスと剣の師匠、テューンの出会いだった。
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