視界も心も

「見て、一面真っ白よ」

 そう話す彼女の視線の先には、窓越しに見える、これでもかと地上に降り注ぐ大雪。

 すぐ目の前を見るのが精一杯な程、今この世界は、限りなく白に染まっている。

「こういうの、なんて言うんだっけ」

「ホワイトアウトよ。実はね、私が冬で一番好きな現象なの。吹雪は好きじゃないけれど、この真っ白い光景がなんとなく良くて」

 まあ君には劣るんだけれど、と。

 突然のことに思考が停止した僕の頭は、まるで外の景色のようにホワイトアウトした。

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