第277話 恋愛バトル・ロワイアル ④

【深雪side】



「うっ、うらやましくなんか無いんだからね !」


 大江戸くんと勇気のラブラブっぷりを見せ付けられて、思わず負け惜しみを言ってしまった。


「大江戸くんの女装も凄かったけど、勇気ちゃんの男装も良かったよね !

 私も楓ちゃんに化粧のレクチャーをして貰おうかしら ?」


 博子の気持ちも解るわ、聖子や秋奈も化粧が上手いけど楓の化粧の腕は数段上だもんね。


 毒気を抜かれたのか、大江戸くんを囲んでいた人達は 料理が並んでいるテーブルに向かい食事を始めていた。

 まあ、あんなラブラブっぷりを見せ付けられたら、口直しもしたくなるわよね。

 私も砂糖を吐きそうに成ったもの。


 ふと、神宮コンビの様子を見ると、見事に天国と地獄に別れたわね。


 神宮橋和茂は、二人の美少女と楽しそうに話しをしているのに対して、神宮坂良純は、いまだに立ち直れないのか茫然自失の状態だった。

 意外と打たれ弱いのかな ? 顔は、千枚通しでも貫けないほどに面の皮が厚そうなんだけど………


 あんな残念軍師神宮橋良純なんかに構ってられないわ !

 今の内に食事を済ましてしまいましょう。

 私は博子を誘い食事をする事にした。


「 ねえ ねえ 君たちは、パートナーが決まって居ないんでしょう !

 なんだったら僕チャン達が、付き合ってあげようか ?」


 見ると、アニメの青いタヌキに出てくるイジメっ子コンビのシャイアンとツネ夫に似た二人の内、ツネ夫が声をかけて来た。


「「 チェンジで ! 」」


 私達が声を揃えて言うと二人共 顔を赤くして、


「なにおゥー ! この俺様達からの誘いを断るたぁ~、どういうつもりだぁー ! 」


「 そうだよ、王者チャンピオンの言う通りだよ !

 ド田舎の田舎娘のクセに都会のシティボーイの僕チャン達の誘いを断るなんて、身の程知らずにも程があるよ ! 」


 ………無いわぁ~、流石にれは無いわぁ~ !

 まんま、あのアニメの二人と同じような奴らだわ。


 私達のトラブルに気がついたのか、テレビカメラ📹️が私達の方を撮り出した。

 それに気がついたシャイアンとツネ夫は、


「 不味いよぉ~、王者ぁ~ ! テレビカメラ📹️僕チャン達を撮りだしたよぉ~」


「チェッ ! 行こうぜ、鶴夫ずるお

 アッチであぶれている女共でも誘おうぜ ! 」


 ばぁ~か、アンタたちなんて此方こっちがお断りよ !


 シャイアン達は、別の女子グループの方に歩いて行った。

 まったく、残りカスみたいな男しか居ないのかしら、と周りの男達を改めて観察すると、隅っこの方でウチのクラスのボッチ娘である仔馬こうま ゆいが眼鏡をかけた気の弱そうな男の子と『あやとり』をしていた。


 まっ、不味~いわ !

 このままいくと、本当に私達だけが『お局様』に成ってしまうわ !

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