第265話 迷探偵 と へっぽこ探偵団 ⑨

【忠夫side】



 達也を尾行していたら突然、閉まりかけていたエレベーターに乗り込みやがった。

 クソゥ、気付かれたか !

 急いで階段を駆け登ろうとしたら、明日香に止められた。


「ここの四階の本屋で由比ヶ浜がバイトしているから達也が来たら教えて貰うわ ! アンタはもう一つのエレベーターで六階のレストラン街まで上がって各店を確認すること ! 私はエスカレーターで一階から確認するわ、誰かと待ち合わせなら、一階の入り口か四階の本屋、最上階である六階のレストラン街が一番確率が高いわ !

 いいこと、見つけても騒がず踏み込まずに私にメールをしなさいよね !

 それでは、平団員の竜ヶ崎忠夫隊員は、速やかに任務を遂行すいこうすること! 」


 明日香の指示に黙って従った………ここで余計な事を言うとうるさいからな !


 言われた通りに達也が乗ったエレベーターの隣のエレベーターに乗り『六階』のボタンを押したのだった。

 閉まる瞬間まで明日香を見ていたが、駆け足でエスカレーターを駆け上がって行ったけど………エスカレーターを駆け上がると怒られるぞ、明日香。


 エレベーターの上昇が遅く感じるが、焦りは禁物だ !

 達也の弱みを握ったら アイツはどんな顔をするのかな ?

 クッ クッ クッ あの鉄面皮が驚きと屈辱くつじょくゆがむ姿をおがめるなら最高だぜ !


 チン ♪


 ようやく六階に着いたので回りを確認する。

 どうやら通路には居ないようだな。

 時計回りで、最初に中華料理屋を覗いて見た………どうやら居ないようだな。

 そうするとチャイナ服を着た美人のお姉さんと目が合った…………

 お姉さんが、俺の方に手を振っているけど………クゥゥゥ、達也の事が無ければナンパするのにぃぃぃ~ !

 俺は血涙を流しながら、その場を立ち去ったのだった…………やっぱり後で来ようと誓った俺だった。


 次はファミリーレストランを覗くも、やはり居ない………

 そして隣のファーストフード店を覗くと…………居たぁぁぁ~ !

 俺は直ぐに明日香にメールをした後、張り込みを続けることにしたのだった。


 達也と話しをしている女の子は誰だ ?

 俺はスマホで撮影を始めた。


「………あの野郎、南ちゃんや由香ちゃんと云う可愛い彼女がいながら浮気をするなんて……なんて野郎だ !

 この動画を証拠にらしめてやらねば……


 ボカッ 💥


「 アンタが言うな ! 浮気魔め、S級美少女の明日香様を含めて美少女三人も彼女が居る癖にナンパをする奴が何を言っているのよ !

 達也もアンタにだけは言われたく無いと思っているわよ !」


 明日香が、いつの間にか俺の後ろに来ていた。


「しかし、やるわね達也 ! あの鉄面皮が浮気するなんて、やっぱり『男』って 皆スケベなんだわ ! 」


 明日香が怒りながらスマホで写真を取り始めた。

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